表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第7章 ファジルカ大陸編
139/142

第2話 海岸の戦い

 ユージン様が黒龍の牙と一緒に入るという発言をうけて、スカーレット様が、

「何の目的で?サマルカン大陸に行ったときは単なる自慢のためでしたよね。今回は私が行きます」

ライスナー様も

「隣の大陸を少しでも見ておきたいので、俺も行く」

と発言、周りがざわついている。


「黒龍の牙とユージン様、ライスナー様、スカーレット様で突入します。ただし、ユージン様たちは入ってすぐの所までにして下さい。そして、そこに常駐できる場所をどう作るかを考えて下さい。僕たちは通信機を持って行きます。通信機は神の門を通すと繋がりません。ですので神の門の先に通信機を持った誰かに常駐してもらう必要があります」

「それで通信手段を確保するわけか。でも砦を築くわけにはいかないし、海の魔物はいるわけだし、難しいな」

「それを3人で考えて下さい。僕たちは急ぎ救出に向かいます。それから祠と神の門は絶対に押さえておいて下さい。また魔物の大軍が押し寄せるかもしれないし、水晶を盗みに来るやつが現れるかもしれないし」


「俺は突入後、アドリアナ様を連れて一度マリリアに戻らなくてはならない、国王への報告もあるし」

「ユージン、すまないな。途中、カーラの侍女のメリムがいたらこちらによこして欲しい。私は、いつでも応援に突入できるように準備して神の門に待機する」

「分かった」

「トゥシアナ王女もマリリアまでご一緒させて下さい。そのままカラプナルまで向かいますので」

「良いでしょう」

「神の門の守りには私も行く、精鋭を連れて。近くには中隊を、バフーサムには大隊を駐留させよう」

とモリエール大将軍。


「あとの細かいことは、ディオジーニに任せる。黒龍の牙は残るように」

とシェリルが締めて会議が終わる。


 黒龍の牙だけになったとき、

「あー、私も行きたい」

「だめよ。あなたは国王になるのだから」

「リーナだって教皇になるんでしょ。私が国王になるのはそれが条件なんだから」

「でも、それは今回の遠征が終わってからね」

「いいなあ。準備は良いの?」

「それは問題ないよ。マジャルガオンの袋の中にいっぱい入ってる、食料も武器も」

「女性用の服はいっぱい持って行ってね。助け出しても着替えもないだろうし」

手短に話を終え、馬車で神の門に向かう。


 ◇ ◇ ◇


 異変が起きた日までさかのぼる。


 カーラは神の門に駆け込んだ。視界は真っ青だがそんなことは意識にものぼらない。神の門に入った途端に海の中だったのに気がついた。膝の高さまでくらいの深さで良かった。目の前は果てしなく広がる蒼い海、海の色は非常に濃く、きれいではあるが不気味な感じが漂っている。振り返ると神の門は消え、砂浜がみえる。砂浜では網を持った翼のある魔物たちが休んでいる。


 加速して全力で向かうが海の中のこと思うように進まない。その時、網の一つからきらりと光る2本の筋が見えた。網の中から双剣を持つ隊員が出てきた。リリアーヌ部隊のスリンだ。スリンはウインドカッターを飛ばし有翼猿を狙って攻撃をかけている。魔物たちは網を持ち再び飛び上がろうとする。私も残り少ないMPを使ってウインドカッターを飛ばす。


 魔物たちは人間を持ったままでは飛び上がれないと悟ったのかスリンに向かって攻撃を開始した。数十匹がスリンに向かって押し寄せる。スリンは、

「カーラ、引きつけるから皆を頼む」

と叫ぶと少しずつ離れていく。私は網を一つずつ切り裂いていく。

「大丈夫? 気絶している人もいるから皆を起こして」

「分かったわ、任せて。怪我してる人はこちらへ、治療魔法を使えるから」

「近衛隊のキリスです。左腕が折れています、痛みさえ弱まれば戦えますのでお願いします」

「クラリスです。すぐ治療します。カーラ、王妃をお願い」

「妾は歩ける。カーラはあの娘を助けて」

とスリンの方を指さす。

「キリス、皆を守って」

と駆け出す。


 スリンは魔物たちが近寄ってきたところでトルネードを使い魔物たちを切り裂いていく。それでもまだ20匹くらいは残っている。ただ、魔物としては飛べるというだけの雑魚だ。こちらは戦えるのが3人それも精鋭といわれる第3近衛隊だ。5匹の魔物がこちらに襲ってきたが2人で瞬殺する。残りの魔物は森の奥にある小高い丘に逃げていく。


 あたりを警戒しながら皆のもとへ戻る。

「王妃、神の門が閉じる前にお助けできなくて済みません」

「いえ、助かっただけでも良しとしましょう。他の人たちは大丈夫ですか、クラリス」

「今、ここに残っているのは10名です。3人は連れ去られ、2人は網の中で死んでいました。死んだのは、イザベルとパルマ。2人とも全身を打ち付けた様な跡があり首の骨も折れていました。連れ去られたのはフルールと王女付きのレリア、それともう1人」

「ブリジッタ、トゥシアナ王女の侍女です」

と同じ王女の侍女アメリアが涙声で言った。


 スリンが、

「お二人を埋葬したいところですが、いつ魔物たちが戻ってくるか分かりません。安全なところまで移動しないと。泣くのはそれからです」

「魔物たちの死骸も有るので、陸や海から魔物も出てくるでしょう。向こうの森まで移動しましょう。皆、歩けますか?」

とスリンがいうと、クラリスが、

「私は、治療魔法2まで使えます。皆、完全ではないけれど歩ける程度には治療しています。落ち着いたらゆっくりと治療するので痛いでしょうけどしばらくは我慢して」

「では、森の方へ」

と言って出発する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] お帰りなさい、続き楽しみにしています。 頑張ってください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ