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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第7章 ファジルカ大陸編
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第1話 クラチエ

ブランクが長すぎました。何もかもがチグハグです。

 夏の盛りである猪の6日、クラチエに向けて出発した。メンバーは僕とセシリア、アルト、ナナル、それにロチャとオルモスの6人だ。早朝とはいえ汗ばむ気候である。見送りは辞退したが、街道には国王以下重鎮たちがずらりと並んでいた。御者席のロチャとオルモスは震えているように見える。窓からの一礼だけで済まし、先を急ぐことにする。


「今回はこのメンバーで行くことになるのね」

とナナルが不安そうに小声でささやく、いつもの「にゃ」は出ない。

「カーラとも合流するから大丈夫」

とアルト。セシリアも続ける、

「救出する人の中にも戦える人がいるでしょうし、カーラがとっくに救出して待っているかもよ」

「応援を頼むにしても1回入って様子をみてからだろうしね。神の門の管理をしっかりしてもらえば安心だよね。三つの水晶が盗まれるなんてことになったら帰れなくなるからね」


 大型軍馬4頭引きでナナの加速とセシリアのヒールを使い急ぎに急ぎ西へ向かう。タンガラーダを通り、ガビー村の南の街道を過ぎモルーヤの国境を通過する。Sランクの冒険者であることと国王からの依頼であることから国境の通過は待たずにできた。コルウェジ草原を通りクラチエに向かう。今回は隠れる必要もないので一番大きい整備された道を進む。大型軍馬なのでものすごい早さで進み3日でクラチエに到着する。イグナシオ大陸は広大なのだが南は砂漠、東は湿地帯、北と西は険しい山岳が続く。人族の住める範囲は非常に狭い。そこに3つの国がひしめき合っている。伝説では、北の神の門のさらに北に黒帝龍が住んでいると伝えられている。


 クラチエに到着するとすぐに王宮に案内される。会議室に通されると、そこにはシェリルをはじめ重鎮たちが並んでいる。ディオジーニ様が皆を紹介する。

「緊急の時なので挨拶はなしで紹介のみにします。シェリル次期国王、次期教皇候補のマルチェリーナ、ライスナー魔法士隊隊長、モリエール大将軍、私は宰相を務めますディオジーニです。こちらはルグアイ王国近衛隊のマバト様です」

「マバトです。隊長が亡くなったので私が参加させていただきます」

と申し訳なさそうに言う、このメンバーに入るとそうなるだろうな。ユージン様が続ける、

「アドリアナ王女、スカーレット第3近衛隊隊長と私は近衛隊隊長のユージンです」

「黒龍の牙のセシリア、アルト、ナナル、私はサトシです」

緊張したが何とか噛まずに紹介できた。


 シェリルが口火を切る。

「緊急の時であるので自由に発言することとする。敬語も不要です。14人が連れ去られたそうだが、ライスナー、名簿はあるのか」

「いえ、行方不明者が多く私どもでは名前までは特定できておりません、もし分かっていればお教え願いたい。ただ、目撃者からの情報によれば、連れ去られたのは全て女性、メルカーディア王国、王妃と他に10名の合計11名、そのうち3名は近衛兵だと思われます。ルグアイ王国が2名。プエルモント教国が1名だということは分かっております。服装だけで判断しておりますが間違いは無いと思います。女性の多いところを中心に襲われたので花嫁側のメルカーディア王国中心となったのだと思われます。わが国の1人は案内役としてメルカーディア王妃の側に控えていたフェニーネと分かりました」


 スカーレット様が続ける。

「カーラはもちろん、メルカーディアの名前は特定されています。サディオラ王妃、王妃付き女官のクラリス、デボラ、侍女のフルール、ジネット、イザベル。王女付き侍女のレリア、ルイーズ、パメラ。近衛隊はキリスとスリンの2人です。マバトさん、ルグアイは分かりましたか」

「トゥシアナ王女付きの侍女2名、アメリアとブリジッタです」


「全員が特定されているのですね。では、これからのことですが」

とシェリル。僕が続く、

「襲われてから2ヶ月近く経っている。すぐにでもファジルカに行きたいのですが。とりあえず黒龍の牙だけでも突入します。応援が必要ならすぐに呼びに来ます」

「シェリルは行けないけど、私は行くわよ」

とリーナ。

「許可します」

とシェリルが言ったので、ディオジーニ様は苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。


 モリエール大将軍が発言する。

「おそらくファジルカにも国が有ると思う。そこに軍を出動させると今後の関係が築けなくなる。少数で行き救出だけを目標にすべきだと思うが如何か」

 ユージン様も

「その国が仕掛けたことなら魔物を使役できることになるので、これだけでは済まないと思うし、こちらに進入されないように守ることも大切になる。神の門の確保が必須であり、そこに軍を使って欲しい」

「3つの水晶の確保は絶対です。神の門の操作は我々の手になければいけません」

とアルト。セシリアも、

「3つの水晶は黒龍の牙のものです。炎の水晶は炎獅子に返さなければいけないし、約束だから」

ディオジーニ様が答える。

「もちろんです。でも全ては救出してからのこと。で、どういう作戦でいきますか?」


 ユージン様が言った。

「黒龍の牙と俺がファジルカに入る」

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