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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第6章 三つの水晶編
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第23話 帰路

 神の門に向かうために森に入る。まだフェンリルなどの強い魔物はいないようだ。アナコンダや水猿は相変わらず襲ってくる。

「わずかだけど水猿のウォーターボールが強くなっているようね」

「魔素が濃くなっているからね」

「メロ村は大丈夫かしら」

「大丈夫だろう。結界も強くなってると思うよ」

「それなら良いのだけれど」


 神の門を開けてシャイアス大陸に戻り、門を閉じて祠に向かう。祠ではロチャが夕食の準備をしていた。

「あっ、お帰りなさい。皆さんお元気なようで安心しました。雷の水晶は手に入ったのですか」

「ああ、手に入ったよ。夕食、僕らの分もお願い。レオネスさん達は祠だね」

「はい、中です。夕食は任せてください」


 祠の中に入るとレオネスとセオスさんがいた。心なしか元気がない。

「ただいま帰りました」

「お帰り、うまくいったか」

「はい、水晶は手に入れました。全員無事に帰ってきました。ルグアイの動きは?」

「ここは静かなものだ。ルグアイの兵も山賊もここまでは来られないらしい」

「で、研究はうまくいきましたか?」

「駄目だね。右手と左手の波動の違いが分からない。私の計測では違いを出すことが出来なかった。門はピクリともしなかったよ。国に帰ってからまたじっくりと検証してみるよ。まずは属性が揃えられる南の神の門でね」

「そうなんですね」

夕食をとり、シャイアス大陸での出来事を話しながら夜は更けていった。


 朝、ルグアイの北の村ノスヒルに向かう。三角岩の砦には人の気配が無く、ノスヒルまでは人に会うことがなかった。山ハイエナとオオカミや熊には出会ったけど。ノスヒルで1泊し、預けていた馬車を受け取り、ウシュアイアに。ウシュアイアからカラプナルに入り宿泊した後、冒険者ギルドに向かう。ギルドに入り、レイアを探す。レイアは休憩中だったので呼び出してもらった。

「ごめんね、休憩中に」

「構いません、黒龍の牙の皆さんでしたら休みでも出てきますよ。お帰りなさい」

「緑鰐の牙の依頼達成手続きをお願いします」

「分かりました。パースさんこちらに」


 パースがカウンターに近づく。

「パースさんが震えてるにゃん」

「Aランク昇格だよね」

「金貨100枚もあるしね」


 無事に手続きを終えて、パースさんが戻ってきた。眼には涙が浮かんでいる。

「ありがとうございます、サトシさん。手伝える事があったら何でも言って下さい、ファジルカにだって行きますよ」

「いや、パースさん達にはこちらでの事後処理をお願いします。正直に何でも答えてもらって構いませんので」

「分かりました。でも何かあったらいつでも呼び出してくださいね、冒険者ギルドにもそう言っておきます」


 ギルドマスターからの呼び出しも緑鰐の牙に任せて急いで南下するアジメールに着いた。「トレーヴの麓」に泊まり、アジメールからは通行証を使い南の湿地帯を通る。そして、メルカーディアに入りマリリアに着いた。

「あっさりしたものね。山には入らないと魔物も少ないし、出てきても弱い物だけだし」

「まあね、そういいきれる私たちが強くなったのでしょうね」

「パースさん達は大変だろうけどね。この分も含めての金貨100枚だと諦めてもらおう」

「もうすぐマリリアだにゃん」


 マリリアに入ると華やかな中に何か緊迫した雰囲気が読み取れる。王妃が拉致されたのだから当然のことだろう。ゆっくりと馬車を進め王宮に向かう。王宮に入るとアラスティア様の部屋に案内された。

「待ってたぞ、水晶は揃ったか?」

「はい、3つの水晶が揃いました。直ちにファジルカに向かいたいと思います」

「分かった。今日中に謁見できるよう手配しよう」

「謁見ですか?」

「王妃の救出が最大の課題なのだ。王に会うのはあたりまえだろう。ちょっと待ってろ」

そう言って、アラスティア様は出て行った。セシリアは思い出したように、

「手ぶらで良いのかな」

「良いだろう、ここで王様に何か渡すと教国でも渡さないといけなくなる」

「でも、教国はシェリルでしょ。何だって良いじゃん、サトシのキスだって」

「シンプソン王にキスはいやだ」

そう言うと、レオネスが吹き出した。笑いながら、

「不敬罪で捕まりますよ」

キスがかな、キスはいやだと言ったことがかな。と思っているとアラスティア様が戻ってきた。


「1時間後だ。それまで話を聞かせてくれ」

と言った。それで、シャイアス大陸の2つの聖なる森の結界が崩れたこと。フェンリルやミノタウロス、ジャイアントコングなどが解き放たれたこと。結界が崩れると属性を持った者が生まれるという伝説があること。などを話していった。

「神の門は?」

すると、レオネスが、

「これからですね。課題が見つかったに過ぎません。しばらくは南の神の門で研究したいと思います」

「それが良いだろう。北の神の門を開けたらフェンリルが入ってきたなどとなったら被害がどれだけ出るか考えただけでもぞっとする。ちょうど良い時間だ。謁見室に向かおう」


 謁見室に入り、王に謁見する。王は、

「王妃救出を依頼する」

とだけ言った。悲しみを抑えてはいるが力強かった。

「謹んでお受けいたします。これからすぐに出発いたします」

とだけ答えた。王の退出後、アラスティア様が言った。

「頼んだぞ」


長らくお待たせしました。

やっと第6章が終わりました。登場人物一覧の後、第7章ファジルカ大陸編に入ります。


懸案だった、専門書が校正待ちとなったために時間が少し取れました。

12月か1月には発売とか。

しばらくは不定期にはなると思いますが出来るだけUPして行きたいと思います。


誤字脱字のご指摘ありがとうございます。時間が出来たら一気に修正いたします。


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