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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第6章 三つの水晶編
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第18話 それぞれの動向

 サトシがルグアイに向け出発した2日後、シェリルとリーナそれにナウラはエポロア率いる護衛隊とともに教国へと出発した。護衛隊は第3近衛隊を中心とした部隊がシェリルの乗る馬車の周りを、そして国軍が前と後ろに付く約100名の部隊となった。


「ここまで派手にしなくても良いのにね。私たちだけでも問題ないのに」

とリーナが言う。

「リーナ、次期国王候補が乗っているのよ。これでも抑えに抑えられた方だと思うわ。シェリルを軽んじていると思われたらメルカーディアは立場がないのよ」

とナウラ。

「そうね、これくらいで良かったと思ってる。アドリアナのときのような隊列だったらゆっくりとしか進めないからね」

「で、シェリル。どうするつもり」

リーナとナウラが心配そうにシェリルの顔を見つめる。シェリルはふっと笑い、

「そうね、リーナが教皇になってくれるのなら私も国王になっても良いわ」

と言った。ナウラが思わずリーナの方を見る。

「ふざけないでよ、私が教皇なんて。そんな勉強してないわよ」

「私もしてないよ。国王になる勉強なんて。公爵領だってナウラに任せようと思っているのに。プエルモント教国全体なんて。そうね、ナウラに任せていい?」

「だめです。ディオジーニ様がいらっしゃいます。私は公爵領だって自信がないのに」

「誰も自信なんて無いよ。全てはクラチエで話を聞いてからね。私だって国王になるよりもファジルカにカーラを助けに行きたいんだからね」


 5日後、シェリル達は何事もなくクラチエの王城へと入った。王城に入るとその日はディオジーニやライスナーの挨拶を受けただけでシェリルの居室で休むことになった。

「さあ、明日からが本番よ。どんな報告があるのか、何を期待されているのかじっくりと聞きましょ」

「そうね、シャイアスに入る前ならサトシ達と連絡が付くはずだし。相談できるよね」


 ◇ ◇ ◇


 シャイアス大陸ではマグルティの軍がサンセベの森を進軍していった。後から来たヌグルマも約1万の軍を統率しマグルティと合流している。マグルティはヌグルマの軍を分け、5千を補給および援護部隊とした。マグルティの軍も約1千人が死亡あるいは負傷して戦闘不能である。その者たちを森の外に出すのもヌグルマの軍に頼んだ。現在、先頭は第2相に入ったところだ。第2相には入ると魔物のランクも一気に上がった。大軍を野営させると狼や熊、それに大型のトカゲなどが群れをなして襲ってきた。そして混乱のさなか牙竜が現れた。


「このままではだめだ。ヌグルマ、俺は先に進む。精鋭100名で行く。できるだけ引きつけて森を出ろ」

「100名で大丈夫か」

「大勢だと隠れることも出来ん。10名ずつ10班に分かれて内部に突入する。お前はできるだけ派手に動いて魔物を全部引きつけて逃げてくれ」

「帰りはどうするつもりだ」

「狼煙を上げる。それを見たらまた派手に暴れてくれ。期限は1か月とする、それまでに狼煙が上がらなかったら死んだものと考え王に報告して欲しい」


 ◇ ◇ ◇


「前方にウインディドラゴン」

キンディアが叫ぶ。三角岩から龍の祠に移動中のルナ達はウインディドラゴンに遭遇した。

「山賊達ではどうにもならないね。下がらせろ。妾たちだけでやるよ」

ルナがそう言うと教皇騎士の5人が戦闘隊形をとる。

「ウインディドラゴンはルナ様と俺たちに任せろ。お前らは離れて、周りの魔物が邪魔しないように見張っとけ」

とシダクが叫ぶと山賊達はさっと四方に散った。


 ウインディドラゴンはゆっくりと上空を旋回し急降下してきた。そして近づくと同時にエアーブレスを放った。ルナも水竜の宝石を通してウォーターランスを放ち、二つが激しくぶつかり合い爆発する。辺り一面に霧が発生し気温が急激に下がる。マケニが土の壁を5枚作りウインディドラゴンの突進を防ぐ。ウインディドラゴンは3枚目の土壁を突き破ったところで止まった。止まった瞬間にキンディアが蔓の捕縛で翼を縛る。ウインディドラゴンは止まったま羽をばたつかせ蔓を振り払った。そこに隙が出来た。左からシダクがファイアーランスで、右からバンジェルがウインドカッターで攻撃する。羽は傷つき動かしてももう飛ぶことは出来なかった。マケニが地面を柔らかくして左足を捕らえる。足の骨が折れる激しい音がしてウインディドラゴンは左側に倒れた。ルナと教皇騎士団の5人が一斉に斬りかかり止めを刺した。


 戦いが終わったときに1人の山賊が近づいてきた。

「三角岩の方から狼煙が上がっています」

「そうか、まあよい。今から行ってもあいつらでは終わっているだろう。カラプナルに向かう。剥ぎ取りは山賊達に任せて急ぐぞ」

シダクが剥ぎ取りの指示を出しルナと教皇騎士は山を下った。


 カラプナルに着くと王城へ入る。

「国王、Sランクの依頼は達成した。我々は『水神の杖』と名乗らせて貰うぞ」

「『神』の文字が入るパーティーか、それはそうと『黒龍の牙』は北の門からシャイアス大陸に渡り秘宝を探すそうだ」

「秘宝、何の話だ」

「ファジルカに通じる神の門を開ける鍵となる者らしい」

「それがシャイアス大陸にあるのか。北の神の門は開いたんだな」

「そうらしい」

「では、妾も向かうとしよう」

「いや、『緑鰐の牙』というわが国の冒険者パーティーと一緒にシャイアスに向かったようなので放っておけばいいさ。事が終われば神の門は我々のものとなる」

「うむ。ルグアイがシャイアスを手に入れるということか」

「そうだ。わが国がシャイアスを、メルカーディアがサマルカンを、プエルモントがファジルカを統治するということで話をつけようと思っている」

「メルカーディアは良いとして、教国は王すら決まっていないと聞く。話し合いはまとまるのか」

「誰が教国の王になるかだな、王妃にも協力してもらわねば。まあ、まとまらなくても北の神の門はわが国の領土内にあるのだから他国には渡さないさ」


 ◇ ◇ ◇


 僕たちは北の遺跡に着いた。念のため結界石を置き外的に備えた。夕食をとり神の門の開け方をレオネスさんや「緑鰐の牙」に説明する。

「台座の3か所に闇と風と水の属性を持つ者が右手を当てて魔力を通すと神の門が開くんだ。閉じるときは左手。シャイアス大陸にも同じ祠があり、そこにもこれと同じ台座があります。今回は闇は僕が、水ははセシリアが通し、風はアルバニさんにお願いします。向こうに行ったら神の門は少し開けたままにしておきます」

そう説明すると、レオネスさんは怪訝な顔をして、

「右手と左手を判断するのか、1度目と2度目とか、開いていたら閉じて、閉じていたら開くというものではないのか」

「いえ、右手と左手です」

レオネスさんは黙り込んでしまった。

「じゃあ明日、何回か開いたり閉じたりするところをお見せします。それからシャイアスに入ります」


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