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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第6章 三つの水晶編
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第16話 シャイアス大陸へ

「お待たせしました」というより「お久しぶりです」

ペースは遅いですが更新していきたいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

 ディオジーニ様からの情報もあった。内容としてはシェリルが予想したものとほぼ同じだった。シェリル以外を王にすると内戦が起きる。誇張かもしれないが激しいものになるらしい。シェリルだったら小さな紛争は起きるだろうが大事には至らないらしい。


 もともとルグアイ王国のティレニア王女がルグアイに嫁いでいるくらい友好は深く。今回アドリアナ王女を王妃に据えようとしていたようにメルカーディアとも今は険悪な仲でではない。貴族の後継者争いとその後継者を取り込もうとする上位貴族達の争いで他国に攻め入るほどの余裕はどの国にもない。


 しかし、事態は急を要する。政変とはいつ何が起こるか分からないからだ。リーナがふと気付いたように、

「サトシ、炎獅子は龍語だったよね。どうしてアラスティア様には古代語と言ったの」

「メルカーディアの秘蔵書には古代語では読めないものがあるとレオネスさんが言っていたんだ。それの翻訳となるとまたものすごく時間がかかるだろうし意外と大変なんだよね。だからファジルカ語のことも秘密にしたいんだ」

「そういうことかぁ、翻訳の仕事ばかりじゃ大変だよね」


 それから1日しっかりと休養してサトシ達はシャイアス大陸に旅立った。シェリル達の出発は警備の関係でもう1日かかるそうだ。シャイアス大陸に向かうのはサトシ、セシリア、アルト、ナナ、ロチャ、オルモス。それにレオネスさんと助手のセオスさんも一緒だ。セオスさんが選ばれたのは属性が風だからだ。サトシ達がシャイアス大陸に入っている間にレオネスさんとセオスさんで神の門の研究をするらしい。水はロチャ担当するようだ。闇の魔石と風と水で北の神の門を操作できるようにしたいのだ。クラチエに向かうのがシェリル、リーナそれにナウラだ。


 マリリアから東に向かいトレーブ山脈の南を回り湿原に入る。最初の関所で通行証を見せて案内人を雇う。国王が発行した通行証であるため、しっかり便宜を図ってくれる。最も早くアジメールに着けるように頼んだら快く引き受けてくれた。湿原には今回の事変は届いていないかのようだ。アジメールに入っても何事もなくのんびりした雰囲気だった。ギルドに入りレイアさんを呼んでもらう。レイアさんはカラプナルのギルドに転勤になったとかでいなかった。ナナが、

「カラプナルって首都ですよね。私たちのせいで監視されているなんてことはないですよね、出世したのなら良いのですけど」

「さあ、どちらだろうな。とにかく『緑鰐の牙』を探そう」

そう言ってカウンターに行き、

「『緑鰐の牙』に会いたいんですけど。今どこにいるか分かりますか」

と聞いてみる。

「それは教えられません」

ときっぱり言われた。そう言われると後が続かない、交渉のときにリーナがいないのが痛い。


 困っていると、カウンターの中から1人の男性職員が向かってくる。

「『黒龍の牙』の皆さんですよね」

ギルド中の注目が集まる。べつに隠す理由も無いので良いのだが。

「指名依頼を出していただければ呼び出せますよ。彼らはBランクのパーティーですから。Bランクの依頼は相当数こなしているようですし、Aランクの指名依頼を達成すればAランクになれるはずです。きっと喜んで連絡してきますよ」

女性職員も僕たちの正体に興奮したのか、

「『黒龍の牙』からの依頼ですし絶対ですよ。依頼内容は何にしますか?」

と力強く言う。

「じゃあ、秘宝探索の協力ということで」

「えっ、秘宝って何ですか?」

「それは秘密でも良いですか」

「教えてくれないんですか。達成時には何だったか見せなければ達成確認が出来ないと思うのですけど」

そこへまた男性職員が、

「依頼内容は秘密にしておきます。ここにいる人には聞かれましたけど。Aランクに見合うかどうかは拠点のギルドで報告して判断して貰って下さい」

「そうして貰えると助かります」


「依頼を受理いたしました。どこのギルドでお会いになられますか」

「カラプナルでお願いします」

そう言ってサトシ達はギルドを出た。


ギルドの中では、

「秘宝だって」

「おう」

「ついて行くか」

などの囁きがやまなかった。


カラプナルへと馬車は走る。すぐに準備して着いてこられる者など一人もいない。ギルドの情報伝達は水晶を通して行われるらしい。多くの情報は伝えられないが速度は早い。文字制限があるのでギルドには共通のコード表が有るそうだ。それなら通信機なんていらないのじゃないかと思ったが、全てのギルドに筒抜けで秘密は保てないらしい。今回も、「黒龍の牙」が「緑鰐の牙」にカラプナルでAランクの指名依頼とだけ伝わるそうだ。どこかのギルドに「緑鰐の牙」が訪れればそれが伝わるわけだ。


カラプナルまでに2度の検問があった。前回まではこのようなことはなかったので、この国もやはり非常時なのだろう。途中で野営して次の日の昼過ぎにはカラプナルに着いた。レオネスさん達を馬車に残し、「黒龍の牙」の4人でギルドに入る。


 ギルドに入ると、昼過ぎだというのに中は騒然としていた。

「『黒龍の牙』が来るんだって」

とか、

「『緑鰐の牙』に指名依頼だってよ、すげーな」

とかが聞こえる。サトシ達が入っていっても一瞥されただけでどうってことはなかった。小声で、

「僕たちが『黒龍の牙』って分からないみたいだね」

と言うと、セシリア達は、

「そうね、助かるね。帰りはどうなるかわからないけど」

「あっ!レイアがいる」

そう言ってカウンターに近づく。レイアはにっこり微笑んで、

「お久しぶりです。ご案内いたします」

と言ってカウンターの奥に通された。


「レイアさん、カラプナルに来てたんだ」

とセシリアが尋ねると、

「結婚してこちらに来ました。今後ともよろしくお願いします」

「わっ、おめでとう」

「僕たちのせいで何か有ったのかと心配しました」

「私は『黒龍の牙』の専属って訳じゃないんで・・・」

「僕たちはそのつもりだったけどね」

「そう言っていただけると嬉しいです。ここです」

そう言ってレイアは応接室をノックする。


 応接室に入ると、がっちりしたスキンヘッドの老人と緑鰐の牙がいた。レイアが紹介する。

「ギルドマスターです。『緑鰐の牙』の皆さんはご存じですよね。こちらは『黒龍の牙』の皆さんです」

「トルノルガスだ。さっそくだが今回はA級の指名依頼と言うことで良いのか」

ギルドマスターが低い声で言う。

「間違いありません」

「金貨100枚以上の依頼と言うことになるが」

「はい、経費はこちら持ちで金貨100枚、もちろん素材は分配ということで。依頼する秘宝は私たちのものにします」

「秘宝か、それが問題なのだ」

「と、言いますと」

「秘宝がわが国に有って、わが国の冒険者が協力して手に入れるのなら国の方も黙ってはいないだろう」

「その心配には及びません。秘宝はルグアイには有りませんから」

「しかし、秘宝とは何なんだ。秘密ではわが国のものかどうか分からんぞ。それでは説明が付くまい」

「秘宝とはファジルカ大陸に通じる神の門を開ける鍵となるものです。それ以上は言えません。手に入れた後なら明らかに出来ます」

「ファジルカに助けに行くのだな。それなら良しとしよう。では金貨120枚を納めてくれ。手数料、税金込みだ」


 パースさんが口を開く。

「私らで出来る依頼なんですか、A級なんでしょ。B級依頼は結構やったけどA級は初めてだし」

「僕らも今回は4人なんで、絶対とは言えませんが」

コリーさんが、

「どうせ引き受けるんだからいろいろ言わないの。私らの実力は皆さんには分かっているのだし」

「そうだな、でも金貨100枚も貰って良いのかな」

「その分働きましょ」

ギルドマスターは声を出して笑って立ち上がり、

「じゃあ、そう言うことで。あとはレイラに任せよう」

と言って部屋を出ていった。


 レイアが持って来た機械で魔素を支払い。裏口から外に出て北に向かった。


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