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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第6章 三つの水晶編
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第15話 情報交換

 国王が帰った後、アラスティアがファジルカ大陸からの魔物侵攻についての話をしてくれた。思ったよりひどい惨状だったようだ。海の魔物の侵攻、それより少し遅れての空飛ぶ魔物の侵攻。魔物がファジルカに帰ったとたんに神の門が閉まったこと。アルトが、

「なぜメルカーディアの軍も教国の軍も神の門をくぐらなかったのですか?」

「躊躇したのだ。神の門から見えたのは真っ青な一面の海。陸地は全く見えなかったそうだ。カーラだけが勇敢にも飛び込んだのだ。飛び込んだあとカーラが海の中に立ったのを見て浜辺に近い浅瀬だということが分かったのだ。そのときには神の門はほとんど閉じていたらしい」

「青大蟹が最大の難敵だったんならカーラなら逃げ切れるはずよ。生き残るくらいなら何でもないはず。恐いのは人と出会って言葉が通じるかどうかよね」

とリーナ。アラスティアが、

「王妃や王女が襲われたのが偶然なのか意図的なものなのかが最初の難題なのだ。意図的だとしたら神の門だけではなく魔物達を自在に操る何者かがいることになる。また、偶然だったら最悪のタイミングで起こっただけの事になる。今のところ判断材料は何もない」

「魔物を自在に操る存在ですか、そんなものが・・・」

「あくまで仮定の話だ。偶然の可能性の方が大きいと俺は思っている。サトシ、俺からも頼む。急いで神の門の鍵を手に入れてくれ」

「そのつもりです。カーラも助けたいし」

アラスティアにそう返事する。アルトの表情が少し変わった、だがアルトは一言も発しなかった。王妃よりも妹をと言ってはいけないと考えたのだろう。


 明日の朝早く出発することになりロチャとオルモスを休ませ、アラスティ様も部下にいろいろと指示を出した。シェリル達の護衛隊長にはスカーレットの従者から正騎士となったエポロアが選ばれた。今日中に編成を終え明日の朝早く迎えに来るそうだ。


「それで、北の神の門へのルートだが混乱している教国は通らないほうが良いだろう。お前らを押さえられる奴はいないとは思うが検問、検問でとてつもなく時間がかかるかもしれない。ルグアイ王国ルートの方が早く行けるだろうな、そうだろう、アラスティア」

「クラウディオ、おそらくそうだろうがルグアイも不穏な動きはある。バーナード説明してくれ」

「今回の事件でティレニア王妃は助かったが多数の貴族が被害を受けている。それにヴァンデル教の教皇の動きがつかめない。山賊の動きが変なのもある。北へ北へと動いているようだ」


 シェリルが思い詰めたような表情で話し出した。

「今回の魔物侵攻は私たちのせいかもしれません」

みんな絶句する。

「どうして」

とカタリナが聞く。

「私たちは初めてリトルサマランダーを倒したときに南の神の門を閉めました。そしてシャイアス大陸に行ったときに北の神の門を閉めました。どちらも完全に閉めました」

「そうか、神の門を完全に閉じるとどれか一つが不安定になるのだったよね」

「そうよリーナ、だから西の神の門が不安定になったのは私たちのせいかもしれないの」

「だから、今回は南の神の門は少しだけ開けておいたのね」

「火トカゲくらいなら通っても問題ないからね。リトルサマランダーは通れないだろうし、レッドウルフも無理なくらいにしておいたわ」

クラウディオが怪訝な表情で、

「アラスティア、念のため南の神の門を監視しておいたほうが良いだろうな。操作できる属性は火と光と土だったな、光の属性持ちはやっかいだな何とかなるか」

「何とかなる。兵士ではないが何人か押さえてある」


「北の神の門は、水、風、闇だったな」

とコンラッド。

「闇は無理だ。闇の魔石を使って出来ればよいのだが、変換装置か何かが必要かも知れない、レオネス達に調べさせよう」

シェリルが、

「私が一緒に行かなくて風は大丈夫?」

「うん、『緑鰐の牙』に一緒に来てもらおうと思っている」

「そうか確かアルバニさんが風だったよね」

「パースさんが水だし、レオネスさんが一緒に来てくれれば『緑鰐の牙』に護衛してもらい、北の神の門でいろいろ実験が出来ると思うんだ。魔物は遺跡に入れないし、結界石で人も何とかなるだろうし」

「ではレオネスに伝えよう」


 一応の方針が決まると話はサマルカン大陸に移る。

「兎人族!」

「そうです。兎人族がいました」

「とってもきれいな人達でした。もちろん街にもいましたが、兎人族だけの隠れ里なんかもありました」


「炎獅子と交流を持つことが出来ました。魔物と言うよりも神獣というほうが良いと思います。話も出来ましたし、炎の水晶も預かることができました」

「サトシ、話せたのか」

「古代語だったので問題はありませんでした。生贄になっていたところを助けた兎人族が炎獅子の巫女になりましたし、これからは彼女を通じて誰でも話せると思います」

「まあ、巫女に会えればだろうけどな。神殿の奥にかくまわれてしまったらよそ者では会えないな」


 それからいろいろな話で盛り上がりお開きとなった。帰ろうとするアラスティアから手招きをされた。アラスティアに近づくと、

「サトシ、ディオジーニの考えではシェリルを女王にするつもりだ、おそらくそうなるだろう。また、これは不確かだがマルチェリーナも教皇にと考えているようだ」

「そうなる可能性が有ることは何となく分かっていました」

「そのとき、お前はどうする」

「どうするって」

「女王の夫として教国にとどまるのか。シェリルやマルチェリーナと別れて冒険を続けるのか」

「・・・」

「まあ、じっくり考えておくのだな」


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