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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第6章 三つの水晶編
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第7話 岩山の追跡

 ユージンとスカーレットは空飛ぶ魔物を追いかけていった。教国の魔法師隊長ライスナーも精鋭を率いて馬に乗り魔物を追う。ユージンとスカーレット、それにユージンの従者、スポール、プルジェ、ボイア、スカーレットの従者、ジャンティ、カーラは魔法師隊の馬を借りて追いかける。ユージンが大声で叫ぶ。

「ブルジェ、お前は残りマリリアに報告。クランドとバンジェルが生きていたら近衛隊を任せたと伝えろ。もし2人とも死んでいたらお前が指揮をとり、マリリアには別のものをやれ」

スカーレットも、

「第3近衛隊はエポロアに任せると伝えてくれ。頼んだぞ」

と叫んだ。ブルジェは馬を返し地獄絵と化している公園に向かった。


 魔物たちは3匹で女性1人を網で吊り下げて運んでいる。おおよそ50の網が見える。思ったより多くの女性を攫うことができたのか一気に飛んでいくことは困難なようで、山の麓で降りて休んでいた。そこにライスナー達が一斉に向かって行く。それを見た魔物たちは再び飛び上がる。


「どこまで飛ぶのかは分からないが魔物もそうとう疲れているようだ。一気に追いつくぞ」

とライスナーが檄を飛ばす。魔物たちは300mくらい上がったところでまた降下を始めた。追いかけるライスナーたちの馬も限界に近づいてくる。支援魔法師が馬にヒールをかけるが間に合わないようだ、それに足場も悪くなってきた。彼らは馬を降り自分の足で山を上る。もう少しで追いつくところまで来たとき魔物たちは空へ舞い上がる。それ程高くは舞い上がれない。


「魔物は疲れている。こちらには支援魔法師がいる。絶対に追いつくぞ」

とユージンが檄を飛ばす。魔物達はまた300mくらい上ったところで地上に降りた。降りたと言うよりも力尽きたと言うほうが当たっているのかもしれない。降りた瞬間に網から拉致された女性たちの何人かが転げ落ちる。その中にリリアーヌもいた。


 リリアーヌは右膝を強く地面に打ち付けられたが気丈にも剣を抜き、魔物に斬りつけた。リリアーヌを吊り下げていた魔物3匹を屠り、王女の救出に向かう。リリアーヌは王女からここまで視線を離していなかった。王女までの距離は約50m。左足1本では思うように進めない。

「リリアーヌ、私は無傷です。網から出して」

と聞き慣れた声がする。

「エトシャ、王女をお願い」

と言い、網を切る。エトシャが王女に向かって走り出す。リリアーヌは近くにいた魔物を倒しながら網を切っていく。


 異変に気付いた魔物たちは再び空に舞い上がる。助けられたのは7名だけだった。そのうち戦えるのはスカーレットの第1従者のエトシャとリリアーヌ隊の支援魔法師のワーリンだけだった。ワーリンはリリアーヌに治療魔法をかけている。魔物を見ると翼のある痩せたゴブリンに見える。

「リリアーヌ、無事だったか」

とスカーレットが追いつく。

「残念ながら王女はまだ捕まっています。エトシャが追いかけています」

「分かった。カーラ、神速を使って魔物を追え」

とカーラに告げる。

「かしこまりました」

と、カーラや魔法師隊で神速を使える者は一気に駆け上がる。他の者もそれに続く。


 追いかけては逃げられ、また追いかける。だんだんと救出される人数も増えてきた。その中にはルグアイの王妹も含まれていた。残ったのは16人となった。網の数が減るにしたがって1つの網を持つ魔物の数も増えていく。先頭を行く魔法師隊が、

「祠が見えます」

と言った。おそらく神の門が近いのだろう。ユージンが叫ぶ。

「神の門を守るのだ」

「神の門から行かせてはいけない。風の者は神速を使え」

とライスナーも叫び、ものすごい勢いで上っていく。


 魔物たちが地面に降り立ったときに、満を持してパフィアが動いた。網の中から魔物を切り裂く。魔物たちは突然の反抗に戸惑っているようだ。空を飛べるとはいえ所詮はゴブリンの仲間だ。動いているうちに網の端が見えた。そこに鞘を入れ思いっきり跳ね上げる。網から抜け出すことが出来た。

「アドリアナ様、王妃様」

と叫ぶ。

「パフィア」

と10mくらい離れたところからアドリアナ王女の声がする。振り向いたときには、もう魔物が空へ舞い上がろうとしていた。

「蔓の捕縛」

と唱え何本もの細長い蔓を魔物めがけて放つ。蔦は網を掴んでいた4匹のうち2匹の翼に絡みつく。2匹が舞い上がれずに網が広がっていく、網から王女が転げ落ちる。パフィアが王女を助けに走る。魔物たちは落ちたものには目もくれずに14人の女性を抱えて飛んでいった。


 そこに風の属性を持つ兵士たちが駆け上がってくる。パフィアはカーラの姿を見つけて、

「カーラ、王妃様をお願い」

と叫んだ。


 少し行くと神の門が有った。神の門からは海が見える。魔物たちは空を飛んだまま次々に神の門を通っていく。神の門は目に見えてだんだん狭くなっている。ライスナーが叫ぶ、

「行くな。神の門を守れ」

それを聞いた魔法師隊は神の門を中心に半円を描くように止まる。その中をただ1人、カーラが神の門から見える海に突っ込んでいった。


 神の門は完全に閉じてしまった。


お久しぶりです。

仕事が忙しくなり、なかなか続きが書けません。

不定期な投稿になるとは思いますが完結目指して頑張ります。


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