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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第5章 迷走編
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第14話 水竜

 水竜の湖は直径2km程の湖だ。これくらいの大きさで水竜が生きているのが不思議なくらいだ,

とてつもなく深いのかもしれない。島まではこちらの岸から600mというところだろう。緑1色の草原の中にあり湖水も緑がかった色をしている。


 陸に上がった魔物はほとんど倒すことができた。見える範囲にいる魔物は鰐やトカゲが数匹だけだ。岸から50m程のところに湖の中から水竜の長い首が突き出ている。高さは約30m程はあるだろう。首の上の方にはシェリルが放った矢が刺さっている。首の上部にあるために水竜は矢を抜くことができなかったようだ。もう暴れていないところをみると痛みは治まっているらしい。


「あれだけ奥にいると剣は使えませんね」

とセシリアが言った。

「そうだね、シェリルの矢くらいかな効果がありそうなのは」

リーナも、

「雷槍を放つにしてももう少し前にきて欲しいところね。こちらも岸のぎりぎりまで近づかないと届かないかも。雷槍は一度も見せていないし濡れているし傷もあるので効果は期待できるはずよ」

と言う。

「そうね、もう1、2本矢を当てたいところね。でも私中心に視線がきているから矢を放っても避けられるかもしれないわ」

とシェリル。このままでは何の解決にもならない、試して見るべきだと思い、僕は言った。

「とりあえず攻撃してみよう。水竜がどう出るか反応を見よう。リーナ、雷槍はまだ使わないで」


「ナナ、支援魔法をお願い」

ナナが加速と身体強化の支援魔法をかける。シェリルが後方から矢を射る。それに合わせてファイアーストームやマインドボールをセシリアもウォーターボールを放つ。水竜はシェリルの放った矢だけを避けた。後の攻撃は当たったが全く効かなかったようだ。水竜が大きく息を吸い込んだ。

「ブレスがきます」

とナナが叫んだ。


 僕たちは散らばり逃げる。水竜はしっかりと狙ってシェリルに向けてウォーターブレスを放った。シェリルは風の盾を構えて受けた。魔法攻撃は装備で消えるのだから強力な水鉄砲を受けるだけで良い、距離も離れている。風の盾なら受けられるだろう。シェリルは1歩下がったが受けきった。水竜がシェリルを睨んでいる。


 湖面から少し撤退した。水竜が岸に上がってこないのが有り難い。

「ブレスを受けるのはあと1回が限度と思う。もう少し下がるね」

「矢が届く範囲には居てよ」

とリーナ、何か考えがあるようだ。リーナが続ける。

「私が水竜の目に向かってライトボールを打つから、目がくらんでいる間に矢をお願い。そのまま一気に岸に近づくわ。他の魔物がまだ湖に隠れているかもしれないのでみんな援護して」

アルトが、

「分かった。雑魚は私とナナで何とかするわ」

セシリアも、

「じゃあ予定通り首めがけて蔓の捕縛を連射するわ。ご主人様が首を切り落としても浮かんでくるように」

「じゃあ、行こう」

と僕は駆け出す。


 シェリルを除いてみんな岸に向かう。シェリルは大きく風の弓を構える。水竜はシェリルをじっと見ている。リーナがライトボールを2発連続で目を狙って放った。光の塊が水竜を襲う。一瞬、水竜は視線をライトボールに向けた。その隙を狙ってシェリルが矢を放つ。セシリアも蔓の捕縛を連射した。矢は水竜の首に当たった。


 水竜は痛みにもがき低く呻く。すると湖から何かが一斉に襲ってきた。ミズトビウオだ。数百匹はいるかもしれない。ミズトビウオは一斉にウォーターボールを放った。あちらこちらからウォーターボールが飛んでくるが装備のおかげで何も感じない。地面に落ちたミズトビウオは跳ねているだけだ。


 岸辺にはタイガーシャークが集結していた。その中から鰐が出てくる棘大鰐だ。水竜の眷属として伝説にも出てくる奴だ、弱点は火。アルトがファイアーストームを放つと急に動きが悪くなる。水竜は再びシェリルに向かってウォーターブレスを放った。シェリルは下がったにもかかわらず風の盾は後方に飛ばされ、耐えきれずに尻餅をついた。もう腕の力が限界にきていたのかもしれない。


 僕は思いきって湖に飛び込んだ。アルトが叫ぶ。

「サトシ様」

リーナが冷静に、

「アルト湖面に火を」

アルトはヘルファイアーを僕が飛び込んだ辺りに放った。水の爆ぜる音がする。水蒸気爆発が起こる。タイガーシャークの破片が飛び散る。


 僕はシャイアス大陸の聖なる森でミメシスから魔食いした擬態を使った。ミズトビウオに化けて水竜の所まで泳ぐ。水竜の腹にピッタリとくっつき魔食いと叫ぶ。叫んだとたんに人間の姿に戻った。


 水竜はシェリルが倒れたのを見て周りを見回し牽制して、再び大きく息を吸い込んだ。シェリルの風の盾は後方に吹き飛んだままだ。シェリルは低く身構えた。だが何も起こらなかった。水竜はウォータブレスを放てなかった。水竜は混乱しているようだ。僕は再びミズトビウオに擬態し水竜の背中に飛び乗った。水竜が後ろを振り向く。それを見たリーナが、

「雷槍」

と叫んだ。雷が水竜の頭から首にかけて落ちる。矢の刺さったところから血が噴き出した。僕は魔力を剣に込めて首を両断した。


 水竜の胴体はゆっくりと湖底に沈んでいく。首も沈もうとしたが幾重にも巻かれた蔓の浮力でかろうじて浮いている。僕はタイガーシャークに擬態して蔓を引き浅瀬に水竜の首を引き込んだ。もちろん浅瀬にきたところで人の姿に戻っている。


「みんな、引き上げて」

と言って手伝わせるも重くて岸には引き上がらなかった。ナナがパースさんたちを呼んできた。

「水竜を倒したのか」

「首を岸に引き上げます。まだ、水の中には魔物がいるかもしれません」

「分かった」

と言って、パースさんたちは首に縄をかけてくれた。そして、みんなで引っ張り上げた。


「水竜の宝石は依頼品なので貰います、あとは適当に持って行って下さい。小さく解体できれば闇の袋に入れられますから」

パースさんたちは驚いて言う。

「水竜の角は貰うわけにはいかない。できれば青大蟹の鋏を1本貰えるか」

「それなら何本でも、でもどうやって運びます」

「材木屋の頭領に頼みましょう」

とコリーさんが言った。材木屋も木材を山から町まで運ぶのでそういう人足を雇っているらしい。ロチャに水竜を倒したので材木屋の頭領にお願いして、人足を1人金貨1枚で50人程雇って水竜の湖まで来てくれるように頼んだ。青大蟹4匹分以上あるので荷車も用意してもらった。


 アルバニさんとナナと僕で宝石と角、それに牙を外し闇の袋に入れた。その間にパースさんたちが筏を組み立てた。運搬する人たちが来るのは明日になるだろうから今のうちに島に渡ることにした。


 島に渡り、パースさんたちには筏の番をしてもらい僕たちは祠の中に入る。祠にある文字はファジルカ語だった。全て書き写し祠の中央にある水晶を鑑定する。雷の水晶と出た。

「これだ間違いない」

といって水晶を外し闇の袋にしまった。再び筏に乗り岸まで渡り野営の準備をする。パースさんたちは運び出せるように魔物の解体をしている。僕とナナが手伝ったのは言うまでもない。


 リーナとシェリルのレベルが上がった。これで全員がレベル18になった。リーナはシャイニングバースト、シェリルはトルネイドを取った。夕食の後、僕は美少女5人に囲まれた。何だか恐い。


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