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異世界はバラ色に  作者: 里中 圭
第5章 迷走編
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第10話 ファジルカ大陸の謎

 ルグアイ王国の国王執務室では、国王が宰相の報告を受けていた。

「宰相会議が行われます」

「議題は何だ」

「ガルシアス王とアドリアナ王女の婚礼の件。それに『黒龍の牙』のギルドカードの件だそうです」

「王族の結婚なんて今さら驚くようなことでもないが、『黒龍の牙』が宰相会議の議題になるとは驚きだな」

「それほど力を付けてきたのでしょう。3人がメルカーディア人、2人が教国人、1人が我が国に国籍があるとか。メルカーディア人の1人の父親は我が国の兵士であったそうです。ですから緑、赤、黄の2つずつにするか、いっそ黒色にするか話し合おうということらしいです」

「龍の文字はそのままか、まあ良い。色だけでも変われば国民のイメージも変わるだろう」

「それで、情報では冒険者ギルドを通せば依頼を受けるそうです。懸案だった水竜の宝石を依頼で出すというのはいかがでしょう」

「文献では水の魔石の上位だそうだな、金貨千枚くらいか」

「いえ、指名依頼ということで3千枚は必要かと」

「高いな、本当のところ、効力は分かっていないのだろう」

「いえ、教皇様が1つお持ちですので効力は確かかと」

「そうか、では依頼しろ」

「かしこまりました」


 ◇ ◇ ◇


「ファジルカ大陸に行けるの」

とセシリアが聞いた。僕は答える。

「3つの鍵が揃えば神の門が開くと書いてある」

まるでRPGの設定だ。

「それで鍵はどこにあるの」

「ちょっと待って、読んでみるから」

神の門のページの続きを読む。

「鍵は3つ、氷の水晶、雷の水晶、炎の水晶だって。マジャルガオンが持ってきたらしい。そしてそれを3つの大陸に置いたとある」

リーナが、

「隠したんじゃなくて置いたの?」

「そう、この3つを集めることができる冒険者にだけ神の門が開かれると書いてある。何か目的があるのかな、マジャルガオンは」


 シェリルが、

「置いたのなら場所はわかるのよね」

「ああ、雷の水晶はシャイアス大陸、アルヘンの森にある千年樹の祠だそうだ」

ぼくが読むと、リーナが、

「聖なる森ってサンセベの森だったよね。アルヘンの森ってどこだろう」

「長老さんに聞くしかないよね。ちゃんと挨拶して帰ってくればよかったね、怒ってなければいいんだけど」

「で、他は」

「氷の水晶はイグナシオ大陸の水竜の湖にある島に、と書いてある」

ナナが、

「水竜の湖、ルグアイ王国の西の草原にあります」

「そして、炎の水晶はサマルカンのアルティカス山の洞窟」

シェリルが、

「ということは3つの大陸に1つずつなのね。半年じゃ無理ね」

リーナも、

「1つ集めてもギルドには貢献できないよ。依頼じゃないし。Sランクにはなれないわ」


 話は進んでいるが、僕はみんなに聞いた。

「でもファジルカ大陸に行く必要ってあるの」

みんなはビックリした顔になって、

「「当然です」」

と声を揃えて言った。

「でも、どうして」

と聞くとみんなは黙り込んだ。行かなければならない理由はないらしい。

「でも、行きたいよね、行けるなら。私たちの新しい目標はファジルカ大陸に行くことでいいよね」

みんな頷いている。その後もいろいろと盛り上がっていた。行く目的なんてどうでも良いらしい。


 夕食の用意ができたと侍女の1人が呼びに来た。広間に行くとナウラが帰ってきた。

「ルグアイ王国から指名依頼が入っています。SSクラス扱いです」

「どんな」

「水竜の宝石を取ってくる依頼です」

「それって水竜の湖の」

「そうです」

「島にあるという宝石」

「いいえ違います。水竜の額に付いている宝石のようなものです。ルグアイ王国の国宝に1つあります。確かヴァンデル教の教皇が持っているとか。これは国王からの依頼です」


 良かった。氷の水晶だったらルグアイに差し出さなければいけないところだった。依頼を断って、依頼の品だけ横取りするのも問題だしね。

「受けよう。みんなそれでいいね」

というと、みんなは当然というような顔をした。ナウラは、

「Sランクに近い魔物よ。ウォータードラゴンは。ウィンディドラゴンと同格かな。それに水と火の魔法は効かないし、湖の多くの魔物を従えているわ。だからSSランクになるのよ依頼としては」


 シェリルが聞いた。

「じゃあ、それを達成したらサトシはSランクになれるのよね」

ナウラは、

「はい、間違いなくSランクです」

と言った。みんなは少し複雑な顔をしている。


「じゃあ、明日から連携を確認して2週後に出発しよう。ロチャたちも少しレベル上げをしよう、自分の身を守れるくらいにはね」

「それでは私は水竜について調べておきます」

とナウラが言った。


 次の日はロチャたちと一緒に、いつものアダラールの森に黒色狼を討伐しに向かった。ロチャはナナやセシリアが使っていた装備を、オルモスは僕が使っていた装備を使っている。ランクの高い装備だ。連携の確認はほんの少しで終わった。黒色狼では連携も必要がないくらいだ。ロチャとオルモスのための討伐になった。2人とも筋がよく危なげがなかった。


 1週間は連携と水竜の湖までのルートの検討に費やした。そして白龍の23日、僕たちはルグアイに向けて出発した。


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[気になる点] ロチャはナナやセシリアが使っていた装備を、オルモスは僕が使っていた装備を使っている。ランクの高い装備だ。 恩返しという名の寄生やん。ただで豪邸住めてるしその上男連れてくるし。ロチャが…
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