FILE.03 愉快痛快誘拐?/あの天然は厄介事しか呼び込まない
サブタイちょこっと変更しました。
今回は変身しません。
代わりに簡単な説明回です。
この作品に合いそうなOPを探してます…提案してくれると嬉しいです!
―無草家・諒助自室
「へぇ、つまりアレって訳かい。種族毎に夢想鎧に封印していけば能力や武器が増えるって事か」
《ソウダ。コノ前ノ奴ハ『ロウガ族』…狼ッポイ奴ラダナ。他ニモ、『ゴルオ族』、『ダッカ族』、『カァフ族』等ガイル》
基本的な家具しかない殺風景な部屋にたった一人の青年…主人公である『無草諒助』の姿があった。
そして諒助の目の前の机の上に、ドクロを模した禍々しいシルバーリングが、カタカタと動いて独りでに話していた。
その正体は、本来、人間の夢を喰らう異形の存在『ドリーマー』の自称残忍凶悪な裏切り幹部、『デッド・スカル』(女)である。
ドリーマーと戦う存在、『夢想騎士』となった諒助に、デッド・スカルは自分の知りうる限りの『夢想騎士』の知識を与えていた。
《サテ、復習ダ。サッキマデ教エタ事ヲマトメテミロ》
「おう。えーっと…
・夢想騎士ってのは神様連合的な奴らが、一人の善良な市民に力を与えて、『善良的』なドリーマーと相互契約して力を得た存在。
・相互契約したドリーマーと親交度や友好度、その他で強さは上下するらしい(確かじゃないのかよ)
・標準装備である『夢想鎧』は超々高密度記憶媒体で、基本用途はドリーマーの封印。
・封印したドリーマーによって、『夢想鎧』で使える武器は様々。種族毎に違う。
・そしてその武器は、同種族を複数封印することで強化が可能。
・一応、並行的に別種族と相互契約を結ぶことで別の姿に変わる『夢幻武装』と、100%以上に力を発揮する『夢想転換』が可能となるが、心身共に激しく浪費する。
ふぅ…んなもんか?」
《ア、アァ。上出来ダ》
長々とした長文をスラスラと言い放ち、一息付いてデッド・スカルに確認をする。
デッド・スカルは戸惑いながらも上出来と返すが…
(外見デハ解ラナイモノダナ…理解ノ仕方ハ妙ダガ確カニ理解シテイル。頭モ悪クナイ…コイツ、何者ナンダ?)
諒助の理解速度に驚愕していた。
多少面倒で…失礼…解るだろう範囲のみで教えてみれば一変。殆どの事を理解してしまった。
「あ、そうだ。デル、一つ聞きたいんだけど…」
《ソノ『デル』トハ何ダ…?》
「ん?だってお前の名前長いし、【『デ』ット・スカ『ル』】でデルってわけ。
んで、聞きたいことってのが…」
(有無ヲ言ワサズカッ!?)
本当に何なんだこの人間…
そう思ったデッド・スカルであった。
「お前、俺の夢に出たときに男だったよな?何でなんだ?女なのに」
《舐メラレナイ為ダ。フフン…ナカナカ『イケメン』ダッタロウ?》
「いや、仮面してたし顔判らないし」
どや顔っぽく言うデッド・スカル…デルであったが、諒助の発言で…
(ホァァァアアアアア!!||||(°Д°;)||||)
(あ、すっげー絶望した顔してる…)
ドクロのシルバーリングが大口開けて絶望してる姿は相当シュールだろう。
そこで諒助は敢えて黙っていた。
《ワ、私トシタ事ガ…仮面ガ『カッコイイ』ト思ッテ付ケタノガ仇トナッタカ…フ、不覚ッ!》
「…普通に出れねーのか」
《!!》
(あ、今気付いたって顔してらぁ…。コイツ結構天然入ってんな…)
コイツ面白れぇ…
そう言いそうになった諒助であった。
《フ、フフフフ…良イダロウ!!私ノ可憐ナ姿に酔イシレルガイイ!!》
ドクロのシルバーリングが眩く輝くと、そこには大きく広がる黒く長い髪に、宝石のルビーを思わせる真紅の瞳、そして…完成されたその体だった。
…まぁ所謂『裸』なわけで。
「ん?どうした…惚れたか?(ニヤニヤ」
「…ハッ(嘲笑」
「鼻で笑われたのじゃ!
Σ(°Д°;)」
と、その瞬間だった。
「お兄ちゃ~ん、ホッチキス貸し…て……」
「「あ」」
ノック無しに、妹の百乃が入ってきたのである。
つまり…
裸で仁王立ちの女性
腕と足を組んでそれを眺める青年
その光景を偶然見てしまう少女
の図が完成するのである。
―…パタン
―タタタタタタタ…
「お姉ちゃんお姉ちゃん!!お兄ちゃんが自分の部屋で美人さんと主従プレイしてるぅぅぅぅぅ!!」
「「待て待て待て!!(汗」」
――数分後――
―無草家・客間
「成る程…大体わかったわ」
(結局、夢吼狼の事を話してしまった…(※小声)
(姉貴、考古学者目指してるから興味津々だし…その辺良識在るし…大丈夫じゃね?(※小声)
「でも、私に隠れてコソコソするのは頂けないわ(黒笑」
「「申し訳有りません!!」」
ものすっごく威圧感のある笑顔に諒助とデルは萎縮し、即座に土下座で謝った。
恐るべし、無草円…
「さて、デルさん。両親が居ない今、私が年長者として言うと、りっくんにそんな危険な事はさせたくありません」
「う、うむ…」
それもそうである。
両親の居ない今、男手は諒助のみ、そして長男であり、円にとっては可愛い弟である。
家族に、命を失いかねない戦いに出すなど、到底出来ない。
しかし……
「そこで、絶対的な約束事…『契約』があるそうですね?」
「…確かにそうだ。我らドリーマーは滅多にしないが、決して破らない約束事、『契約』がある。
見返りも何も必要ない…ただ約束するだけじゃ」
『契約は絶対』
それはドリーマー共通のルールであった。
それを破る者も度々居たが、即座に同族が処理していた…
「ならば、無草円から…デッド・スカル、無草諒助両名に契約させます。
『必ず生きる事』
何が何だろうと、帰る場所はここ…無草家です。
…簡単でしょ?」
『戦うならば、必ず生きて帰ってきなさい』
そう言う思いが込められた契約であった。
「諒解…契約完了じゃ!」
「こちらも諒解だ。俺も絶対守るぜ。その契約」
決意を形にした両名の瞳には、それぞれの覚悟が映っていた。
そして、その時だった。
「お、お兄ちゃんおにいちゃん!!大変だよ!テレビ見て!!」
百乃が客間に入ってきて、テレビを点ける。
テレビではニュースをやっており、その画面には…
『今日午前、隣町銀行に強盗が押し入り、黒いバイクに乗って人質の一人を誘拐したようです!誘拐されたのは『姫宮美月』さん。付近の大学生で…』
「…あの人って、お兄ちゃんの昔の同級生だよね?」
「・・・・・」
画面に映る元同級生の顔に、思わず天――ここでは天井だが――を仰ぐ諒助。
「あー…諒助、天を仰いでいる所悪いが…
あの銀行強盗とやら…お約束と言わんばかりにドリーマーが捕り憑いておるぞ」
「…だよなぁ」
あの天然トラブルメーカーめ…
そう小声で呟く諒助であった。
―FILE.03 end...
次回
FILE.04
切り裂きの咆哮/解放の刃