FILE.01 夢の終わり/白昼夢の始まり
第一話です。
あと、平成ライダー、牙狼は出ませぬ。
あくまでそっくりさんが多いです。
―ここは…何処だ?
俺は知らない場所に立っていた。
周囲は月明かりのみが照らす草原。
遠くには明かりの無い大きな街が見える。
とても幻想的で神秘的…純粋に美しい場所だと思えた。
「ここは貴様の夢の中だ」
声が聞こえる。
後ろからだ。
振り返ると、少しデフォルメ化した骸骨の仮面を被った全身茶色のローブに包まれ、頭をフードで隠した男が居た。
―誰だアンタ。
俺は問うた。
「私か。私は『死骸骨』と名乗っておこう。少し、貴様の『夢』、頂くぞ」
―は?アンタ何を言って…
瞬間、暗転…
訳も分からぬまま、視界が黒に染まる。
薄れる視界の中、厨二臭ぇ名前の男が何かにうろたえる。
「もしやこやつ…クッ…面白いな暫く厄介になるぞ」
―――――――――――――――――――――――――
「…変な夢」
バサッっという音と共に起きた俺は開口一番にそう言った。
時刻は朝六時ちょっと。
普段なら二度寝タイムに突入するところだが、いかんせん…
「ぬっふふ…今日こそダイナミック☆おはようございますができ………ない、だと…!?」
馬鹿が居るからだ。
「あ、ありのままに今起こった事を話すぜ…
ダイナミック☆おはようございます――相手の上に全体重を掛けて飛び込む究極目覚まし奥義――を我が兄に決めようとしたら…
『既に我が兄が起きていた!!』
完徹とか夜更かしとかそんなチャチなもんじゃ断じてない!
もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ…」
「何JO○Oってんだ。お前は」
こんな阿呆な事を抜かしてるのが俺の妹…『無草百乃』。
油断すれば俺に飛び込んで(主に首と腰と鳩尾に)ダメージを叩き込む困ったチクショウだ。
「どうせ飯作れ…だろ?リビングで大人しく待ってやがれ」
「はーい。…うむむ、今日は槍とか鉛弾でも降ってくるのかな?」
すっごい失敬なこといってる気がする…
まぁいいか。
そう言えば、俺の名を言ってなかったな。
俺は『無草諒助』。
絶賛ニート生活中なフリーターである。
え?働け?
…俺には恐らく天職ってもんが…
[ダメ人間の主張である]
何か言われた気が…まぁいいか。
[朝食前まで…時を吹っ飛ばす!]
…というわけで、今回の朝食は
マーガリンの代わりにマヨ塗った食パンの上に炒め絡めた卵付きベーコンを乗っけて、その上からチーズをかけてオーブンで焼いたオリジナルトーストだ。
調理法は今言った通りだ。
是非実践してみるといい。
[作者のマジな簡単朝食(or夜食)です。ご賞味あれ♪]
「うんうん…やっぱりっくんの朝ごはんはおいしーね」
「こんな簡単料理で褒められても嬉しくないぞ」
(お兄ちゃんの腰で嬉しそうにパタパタと振ってる犬尻尾の幻覚が見える…)
う、嬉しくないんだからな!
[↑実はツンデレ自覚無し]
失礼、取り乱した。
さて、姉というのは『無草円』。
感情と連動するように形を変える謎のアホ毛が特徴だ。
ちなみに親は居ない…と言うよりも帰ってこない。
家出じゃないし蒸発でもない…考古学者で世界を飛び回ってるだけだ。
そして円姉も考古学者の卵だ。
ん?そんだけだが?
「あ、それと今日の皿洗い当番、百乃だからな。逃げんなよ、って言った傍から逃げんな愚妹よ」
こっそりリビングから出ようとする百乃の後ろ襟を掴む。
「あ、あはは…
許して?お兄ちゃん…(涙目+上目遣い」
―ドキッ…
…とはしないぞ?(嘲笑
「…ハンッ(超嘲笑」
「鼻で笑われた!!?」
見飽きたわ愚妹よ!
毎回同じ手を使えば嫌でも飽きる!
[つまり最初はひっかかってたらしい]
「働け働け!馬車馬の如く!
○(▽・)フフフ…
щ(▽°)フハハハハ…!
Щ(∀°)アッハハハハ/ \ / \ ノ \ ノ \ ノ \!!」
「くっ…誰かこの悪の三段笑いをする兄を止めてくだしあ…!」
いつもの日常。
退屈だが、全員幸せと思えるこの世界…良いじゃねぇの。
(《続ケバ良イ…ガナ》)
脳裏の更に奥…何かが聞こえた気がした。
―FILE.01 end...
次回
FILE.02
日常崩壊の音色/人と夢魔の相互契約