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【完結】社内食堂でお味噌汁を作っていただけなのに、失恋したCEOに溺愛されていました  作者: 木風


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第十二話

家に帰ると、凪がキッチンで夕食を作っていた。

ドアを開ける前から、廊下にまでいい匂いが漂ってくる。


「おかえりなさい」

「ただいま」


後ろから凪を抱きしめる。

肩越しに、鍋の中をのぞき込む。


じゃがいも、にんじん、肉……

それに、見たことのない透き通ったパスタみたいなもの。

とにかく、美味しそうだ。


「どうしたんですか? 今日は特別、甘えん坊ですね」

「……今日、マークに会ったんだ」


凪の手が、ぴたりと止まった。


「前の恋人の?」

「うん」

「……どうでしたか?」

「元気そうだった。それに……僕が幸せそうでよかったって言ってくれた」


凪は何も言わず、ゆっくり料理を再開する。

元恋人の話なんて、聞きたくないかもしれない。

それでも――凪には、隠し事をしたくなかった。


「それで、気づいたんだ。

僕は、過去を引きずる必要はないって。大切なのは、今……君と一緒にいることなんだって」




薄明りのベッドルーム。

何度も、ここで凪を抱きしめて眠った。


でも、今日は――それだけじゃ足りない。

どうしても、凪とひとつになりたい。


「凪……いいかな……?」

「……はい」


細い肩。柔らかい体。

触れるたびに、心臓が高鳴る。


「その……女性とは初めてで……うまくできないかもしれなくて……」

「サムさん。大丈夫です。私も、初めてですから」

「……え?」

「一緒ですね」


その言葉に、胸が熱くなる。

驚きと、嬉しさと、守りたい気持ちが混ざり合う。


「……無理だと思ったら、今日はそこでやめましょう?」

「凪……」


そう言いながら微笑む顔が、いつもと少し違って、艶めいて見えた気がした。

柔らかい頬に触れる。

細い首筋、そして……ピンク色の唇。


こんなに緊張するなんて。


「……こんな気持ち、知らなかった」


軽く、触れるだけのキス。

あまりの柔らかさに驚いてしまう。

どうしよう。可愛い。可愛くて仕方ない。


過去の恋が偽物だったとは思わない。

どの人も素晴らしい人だった。


なのに……ここまで愛しく思い、焦がれる気持ちは経験したことがない。


「んっ……はぁ……」

「凪……どうしよう」

「?やっぱりやめます?」

「いや、君を好きで仕方なくて……傷付けたくないのに……加減がわからなくなりそうで」


凪の細い腕が首に回る。

こんなに細いのに、温かい。

壊してしまわないか……無理をさせてしまわないか……

嫌われないか、全部が怖くて仕方ない。


「サムさんは優しいです。大丈夫ですよ。私は絶対に傷付きません」


その言葉が合図のように、再び重なる唇。

今度は深く長く。何度も何度も。


柔らかい肌に、お互いの体温が溶け合い混ざり合う。

お互いの名前を何度も呼びながら。




ある朝。


凪の作った朝食がテーブルに並ぶ。

味噌汁、煮物、卵焼き、納豆、ご飯。


「ねえ、サムさん」

「ん?」


凪が、少し恥ずかしそうにもじもじしている。


「……実は、妊娠してるみたいなんです」

「……本当に?」


思わず立ち上がってしまい、箸が床に落ちた。


「まだ病院では確認してないですけど……多分」

「……すごい……」

「……嬉しいです」

「……僕も」


胸がいっぱいになって、言葉が続かない。


凪と一緒じゃなければ、見られなかった未来。

凪とだからこそ、手に入れられる時間。


AIで世界を変えるなんて言っていたけれど、

凪はそれ以上に、僕の世界を変えてくれた。


思いもよらない方向で。

でも――確実に、幸せな方へ。

世界を変えるのはAIじゃなく、凪だった。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

サムにはモデルがいるんですが……もし、わかったら、ブックマーク、★★★★★、よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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