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第7話 「鑑定結果――ギルドが沈黙した理由」

お読みいただきありがとうございます。

第7話は、

主人公の鑑定が“公式に通用する”ことが示される回です。

あわせて、

次のヒロインが少しだけ登場しています。

(分かる人には分かるタイプです)

楽しんでいただければ嬉しいです。

ギルドの簡易会議室は、いつになく人が集まっていた。

 冒険者。

 ギルド職員。

 そして――《紅蓮の牙》。

 全員の視線が、俺に向いている。

 「……では、アインさん」

 受付の女性が、緊張した面持ちで言った。

 「問題になっている魔物の鑑定を、お願いします」

 机の上に置かれたのは、討伐された魔物の一部――黒い牙。

 俺は、それに手を伸ばした。

 ――鑑定。

 

 【鑑定結果】

 名称:洞窟棲魔獣(変異個体)

 本来のランク:D

 現在の状態:異常進化

 原因:外部干渉

 

 「……外部干渉?」

 誰かが、思わず口にした。

 俺は、淡々と続きを読む。

 

 【補足】

 該当区域一帯に、

 魔力循環の歪みを確認

 通常鑑定は機能しない

 

 沈黙。

 まるで、音が消えたみたいに。

 「つまり……」

 ギルド長が、慎重に言葉を選ぶ。

 「この魔物が強かったのは、

  冒険者の判断ミスではない?」

 「はい」

 俺は、即答した。

 「鑑定結果が、そもそも間違っていた」

 ざわ、と小さなざわめきが起きる。

 だが、すぐに静まった。

 ――反論できないのだ。

 なぜなら。

 俺の鑑定結果と、

 現場の状況が、完全に一致しているから。

 「……では」

 《紅蓮の牙》のリーダーが、硬い声で言う。

 「俺たちは……」

 その先を、俺は見なかった。

 代わりに、別の違和感を拾う。

 視線。

 会議室の隅。

 壁際に立つ、フードを深く被った獣人の少女。

 耳は隠しているが、

 動きの端々に、鍛えられた気配がある。

 ――強い。

 直感が、そう告げていた。

 俺は、一瞬だけ彼女を見る。

 そして、鑑定しそうになるのを――やめた。

 今は、まずこちらだ。

 「この街周辺の魔物は、

  全体的に“本来より強い”」

 そう告げると、

 会議室の空気が、さらに重くなる。

 「通常のランク分けでは、被害が出ます」

 「今後は、俺の鑑定を前提にしてください」

 断言だった。

 誰も、反論しない。

 できない。

 それが、答えだ。

 会議が終わり、

 人が少しずつ引いていく中。

 俺は、背後から声をかけられた。

 「……さっきの鑑定」

 低く、少し掠れた声。

 振り向くと、

 例の獣人の少女が、そこに立っていた。

 フードの下から覗くのは、鋭い金の瞳。

 「本物だな」

 短い一言。

 だが、その目には――

 試すような色があった。

 「久しぶりに見た」

 「“正しい鑑定”ってやつを」

 そう言い残し、

 彼女は踵を返す。

 その背中が、人混みに紛れる直前――

 俺の視界に、文字が浮かんだ。

 

 【警告】

 未鑑定対象

 戦闘特化個体

 制御不完全

 

 「……なるほど」

 思わず、息を吐く。

 まただ。

 世界の“ズレ”は、

 魔物だけじゃない。

 人の中にも――

 確実に、広がっている。

 隣で、リリスが小さく言った。

 「……強い人」

 「ああ」

 「しかも、面倒そうだ」

 だが、嫌な予感はしなかった。

 むしろ――

 次の波が、

 すぐそこまで来ている気がした。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

今回は

・鑑定結果の公開

・ギルドの沈黙

・新ヒロインのチラ見せ

を描きました。

まだ名前も明かされていませんが、

彼女は今後、戦闘面で大きな役割を担います。

次話では、

彼女が“なぜ強いのか”

そして“なぜ制御不完全なのか”が見えてきます。

よろしければ、

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引き続き、よろしくお願いします!

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