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第65話(最終話) 「委ねられた世界」

お読みいただきありがとうございます。

第65話は、

終わりではなく

“託される”話です。

答えは出ません。

ですが、

続ける理由だけは

残ります。

世界は、

 結論を出していなかった。

 それは、

 停滞ではない。

 保留でもない。

 「……判断不能?」

 アリアの言葉に、

 新しい調整側は  静かに首を振る。

 「違います」  「“不要”です」

 不要。

 その言葉に、

 誰もすぐには  反応できなかった。

 「世界進行は  継続しています」  新しい調整側は続ける。  「破綻も、  停止も、  致命的逸脱も  検出されていません」

 「だが」  フェンが言う。  「安定も  してないだろ」

 「はい」  即答だった。  「安定ではありません」

 俺は、

 目を使った。

 【鑑定結果】

 対象:世界進行

 状態:未定義

 備考:選択委任中

 ……委任。

 世界が、

 自分で決めるのを  やめている。

 「鑑定士」  神の声が、  最後に届いた。

 怒りはない。

 裁定もない。

 「確認する」

 神は、

 はっきり言った。

 「この世界は、  もはや  最適解だけでは  進めない」

 否定しない。

 認めた。

 「管理も、  調整も、  続行は可能だ」  「だが――」

 一拍。

 「それだけでは  足りない」

 俺は、

 黙って  聞いていた。

 「鑑定士」  神は続ける。  「お前を  固定することも、  排除することも  できる」

 できる。

 だが――

 しない。

 「そうしない  理由は一つだ」

 神は、  はっきり告げる。

 「お前の選択は、  再現できない」

 「再現できないものを  基準にはできない」  「だが――」

 「消すには、  意味が大きすぎる」

 新しい調整側が、

 初めて  こちらを見た。

 「……鑑定士」  「あなたは、  規定外です」

 「だろうな」

 「ですが」  彼女は続ける。  「規定外が存在する状態を、  世界は  “許容”しています」

 許容。

 それが、  最終的な結論だった。

 【世界更新】

 鑑定士:存続

 役割:未定

 責任:委任

 役割は、

 与えられない。

 命令も、

 期待も、  しない。

 ただ――

 残す。

 「……自由か?」  フェンが、  小さく笑う。

 「違う」  俺は、  首を振った。  「重いだけだ」

 選ぶ理由も、

 選ばない理由も、

 全部、  自分のものになる。

 神の気配が、

 薄れる。

 最後に、

 一言だけ残す。

 「鑑定士」  「この世界は、  お前に  答えを求めない」

 「だが」  「選択は、  見ている」

 それで、

 終わりだった。

 世界は、  今日も  続いている。

 正しいからでも、

 最適だからでもない。

 誰かが動き、

 誰かが選び、

 誰かが  続けようとするから。

 俺は、

 目を閉じる。

 鑑定結果は、

 もう  答えじゃない。

 ただの、  “見えているもの”だ。

 それでも――

 見続ける。

 世界が、  続く限り。

ここまでお読みいただき、

本当にありがとうございました。

この物語は、

「正しさが世界を救う話」ではありません。

「最適解が勝つ話」でもありません。

それでも、

世界は続きます。

理由のない選択が、

ときどき

正しさより遠くへ進むからです。

鑑定士は、

英雄になりません。

神にもなりません。

世界を変えもしません。

ただ、

選び続けます。

それが、

この世界に許された

唯一の“不具合”だからです。

――完。

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