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第52話 「呼び出し――神は誤差を許さない」

お読みいただきありがとうございます。

第52話は、

これまで裏で回っていた

管理の階層が

表に出てくる回です。

感情は問題ではありません。

問題なのは、

遅れたという事実です。

変化は、

 音もなく起きた。

 空間が、

 “薄くなる”。

 それだけで、

 十分だった。

 「……来たわね」

 女が、  小さく息を吐く。

 「神か」

 俺が言うと、

 彼女は

 否定しなかった。

 次の瞬間――

 世界の裏側が、

 静かに開いた。

 色がない。

 方向もない。

 だが――

 “基準”だけがある。

 「調整側」

 声は、

 あらゆる方向から

 同時に響いた。

 威圧はない。

 怒りもない。

 それが、

 一番怖い。

 「確認する」  神は言う。  「判断遅延が  発生したな」

 女は、  即座に頷いた。

 「事実です」

 言い訳はしない。

 【鑑定結果】

 対象:世界管理存在

 状態:平常

 備考:情緒反応、未検出

 完全だ。

 「原因は」  神が問う。

 女は、

 一瞬だけ

 俺を見る。

 ほんの一瞬。

 だが――

 十分すぎる。

 「……例外個体の  判断が、  想定を超えました」

 「例外?」

 神の視線が、

 こちらに向く。

 正確には――

 “重なった”。

 「鑑定士か」

 「はい」

 「彼は、  制限下でも  効率を  下回る選択をした」

 下回る。

 つまり、

 “余計なこと”。

 「結果は」

 「救命数は、  予測を  上回りました」

 神は、

 少しだけ

 間を置いた。

 「……それは  評価に値しない」

 即断。

 「個体数の増減は、  世界全体に  影響しない」

 女は、

 反論しない。

 できない。

 「問題は」  神は続ける。  「その判断が、  お前の  処理速度を  落とした点だ」

 「調整側は、  感情で  遅れてはならない」

 感情。

 その単語が、

 正式に出た。

 「……はい」  女は、  短く答える。

 「修正は  必要か」  神が問う。

 女は、

 即答しなかった。

 ――二拍。

 世界が、

 ざわめく。

 【警告】

 調整側個体:

 判断遅延、再検知

 やめろ。

 そう思ったが、

 声にはならない。

 「……不要です」  女は、  はっきり言った。  「現段階では」

 空間が、

 凍る。

 神は、

 否定しない。

 肯定もしない。

 「理由は」

 「彼は」  女は、  俺を見ずに言う。  「世界の  歪みを  早期に検知できる」

 「排除すれば」  「別の形で  損失が出ます」

 理屈だ。

 感情ではない。

 その形に、

 無理やり  押し込めた言葉。

 神は、

 静かに告げる。

 「承知した」

 世界が、

 少しだけ  緩む。

 「だが」  神は続ける。  「次に  同様の遅延が  確認された場合」

 間。

 「調整側を  再構成する」

 再構成。

 それは、

 処分ではない。

 もっと酷い。

 「……了解しました」  女は、  頭を下げた。

 世界が、

 元に戻る。

 色が、

 意味を持つ。

 空気が、

 再び流れる。

 「……ねえ」  女は、  小さく言った。  「あなた、  本当に  厄介ね」

 「褒め言葉か?」

 「いいえ」  彼女は、  苦く笑う。  「警告」

 彼女は、

 世界から  目を逸らした。

 「次は、  私が  壊れる」

 その言葉は、

 冗談じゃなかった。

ここまでお読みいただき、

ありがとうございます。

神は、

誰かを責めていません。

世界の効率を

確認しただけです。

調整側は、

道具ではありません。

ですが、

壊れたら  作り直されます。

主人公は、

まだ裁かれていません。

ですが、

“問題の中心”として

正式に認識されました。

次話、

調整側の選択が

物語を大きく動かします。

彼女が

世界を取るか。

それとも――

例外を取るか。

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