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第46話 「不正侵入――世界の外から、内へ」

お読みいただきありがとうございます。

第46話は、

選択の結果として

主人公が一線を越える回です。

正しさの話ではありません。

戻れなくなる話です。

その覚悟を

感じていただければ幸いです。

準備は、

 静かに進んだ。

 許可申請は、

 しない。

 報告も、

 通さない。

 「……本当に行くのか」  フェンが、  低く訊く。

 俺は、  頷いた。

 「世界が  やらないなら」  「俺がやる」

 「管理違反だ」  アリアが、  苦しそうに言う。  「見つかれば、  あなたは――」

 「管理対象になる」  俺は、  続きを言った。  「神にも  言われた」

 沈黙。

 誰も、  止めなかった。

 止める理由が、

 もうなかった。

 「……座標は?」  リリスが、  静かに訊く。

 「遮断境界の  薄い部分」  俺は、  目を使う。  「元々、  人の流れが  多かった場所だ」

 世界は、  完全ではない。

 遮断にも、

 “歪み”がある。

 「……危険度は」  セリアが、  最後に問う。

 「高い」  俺は、  正直に答えた。  「戻れない可能性も  ある」

 それでも、

 誰も下がらない。

 「……行って」  アリアが、  小さく言った。  「戻れなくなったら」  「責任は、  私が取ります」

 俺は、  首を振る。

 「いい」  「これは、  俺の選択だ」

 境界は、

 見えない。

 だが――

 “拒否”の感覚は、  はっきりある。

 「……鑑定」

 目を使う。

 【鑑定結果】

 対象:遮断境界

 状態:強制維持

 備考:例外侵入、可能(短時間)

 短時間。

 猶予は、

 わずかだ。

 「今だ」

 一歩、

 踏み出す。

 ――重い。

 空気が、

 身体に絡みつく。

 「……っ」

 拒否反応が、

 全身を締め付ける。

 だが――

 止まらない。

 鑑定結果を、

 “適用”する。

 世界の側が、

 一瞬、

 戸惑う。

 その隙を、

 抜けた。

 次の瞬間――

 景色が変わる。

 遮断区域の内側。

 音が、

 鈍い。

 色が、

 沈んでいる。

 空気が、

 重たい。

 「……これは」

 修正されなかった歪みが、

 そこかしこに残っていた。

 倒れた柵。

 傾いた建物。

 止まったままの  設備。

 人の姿は――

 少ない。

 「……誰か!」

 声を出す。

 返事は、

 遅れてきた。

 「……こっちだ」

 瓦礫の向こうから、

 かすれた声。

 駆け寄る。

 そこには――

 疲れ切った顔の  住民たち。

 「……管理が」  誰かが言う。  「戻ると思ってた」

 俺は、  答えられなかった。

 戻らない。

 それを、

 知っているのは――

 俺だけだ。

 【鑑定結果更新】

 警告:世界的検知、上昇中

 猶予:残り僅少

 時間が、

 ない。

 それでも――

 来た意味は、  もうある。

 「……大丈夫だ」  俺は言う。  「今は、  俺がいる」

 それが、

 救いになるかどうかは、

 分からない。

 だが――

 言わずには  いられなかった。

 世界のルールは、

 破った。

 次に壊れるのが、

 世界か、

 俺か。

 それは――

 まだ分からない。

ここまでお読みいただき、

ありがとうございます。

主人公は、

正義のために動いていません。

世界を変えるためでもありません。

ただ、

「見捨てない」という

個人的な選択をしました。

それは、

世界にとって

最も扱いづらい行動です。

次話、

世界は

この侵入を

見逃しません。

どんな形で

“修正”が入るのか。

物語は、

いよいよ

戻れない領域に入ります。

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