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第45話 「それでも、介入は行われない」

お読みいただきありがとうございます。

第45話は、

選択の余地が残っているようで、

実は残っていない回です。

救わない理由は、

すでに決まっています。

その冷たさを

感じていただければ幸いです。

呼ばれたわけではなかった。

 だが――

 分かった。

 ここだ、と。

 世界の縁が、

 薄くなる。

 色が、

 意味を失う。

 「……来たか」

 声は、

 前より近かった。

 「神」  俺は、  名を呼ぶ。

 「遮断区域の件だな」  神は、  先に言った。  「把握している」

 「なら――」  俺は、  一歩踏み出す。  「なぜ、  何もしない」

 「何もしていない?」  神は、  淡々と返す。  「遮断という最適処理を  行った」

 「その内側で、  異常が積み上がっている」

 「想定内だ」

 即答だった。

 否定も、

 言い訳もない。

 「修正すべきだ」  俺は言う。  「今なら、  まだ戻せる」

 「戻す必要はない」

 神の声は、

 揺れなかった。

 「遮断区域は、  世界全体の安定に  寄与していない」  「優先度は低い」

 優先度。

 「……人がいる」  俺は、  歯を噛みしめる。

 「承知している」

 それでも、

 変わらない。

 「救わないのか」

 「放置する」

 はっきりと、

 言い切った。

 「介入は、  他領域への  影響が大きい」  「それは、  管理者として  許容できない」

 俺は、  目を使った。

 【鑑定結果】

 対象:世界管理存在

 状態:判断確定

 備考:介入確率、極小

 ……確定。

 「最初から、  助ける気は  なかったんだな」

 「違う」  神は言う。  「助ける価値が、  比較の結果、  下回った」

 比較。

 天秤。

 その上で、

 切られた。

 「……それでも」  俺は、  最後に問う。  「この結果を、  “正しい”と?」

 神は、  少しだけ  間を置いた。

 「正しい」  「世界は、  安定を維持している」

 否定の余地が、

 なかった。

 世界は、

 確かに

 安定している。

 俺は、  静かに息を吐く。

 「なら」  そう言った。  「俺が、  割り込む」

 一瞬。

 世界が、

 軋んだ。

 「……それは」  神の声に、  初めて  感情が混じる。  「仕様違反だ」

 「知ってる」

 俺は、  目を逸らさない。

 「でも、  本来あるべき姿は――」

 「――存在しない」

 神は、  遮った。

 「それは、  お前の解釈だ」

 沈黙。

 否定も、

 肯定もない。

 ただ、

 線が引かれた。

 「……戻れ」  神は言う。  「次に会う時、  お前は  管理対象になる」

 世界が、

 元に戻る。

 色が、

 意味を取り戻す。

 だが――

 俺の中で、  何かが  決定的に変わった。

 神は、  放置を選んだ。

 世界は、  それを  正解とした。

 なら――

 残る選択は、  一つしかない。

ここまでお読みいただき、

ありがとうございます。

神は、

冷酷だから放置したわけではありません。

管理者として、

正しい判断をしました。

だからこそ、

否定ができません。

世界は、

人を救うために 作られていない。

その前提が、

はっきり示されました。

次話、

主人公は

世界の外側ではなく、

内側から

ルールを破ります。

それが

何を壊すのかは、

まだ誰にも分かりません。

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