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第43話 「遮断――世界は、人を守らない」

お読みいただきありがとうございます。

第43話は、

対話でも、説得でもない

「処理」が行われる回です。

誰かを罰するためではなく、

ただ続けるために

切り離されます。

その冷たさを

感じていただければ幸いです。

最初に消えたのは、

 音だった。

 怒鳴り声が、

 途中で途切れる。

 叫びも、

 泣き声も、

 不自然なほど

 すっと消えた。

 「……何だ?」

 誰かが、

 戸惑いの声を上げる。

 だが――

 その声も、

 届かない。

 空気が、

 一枚、

 切り取られたような感覚。

 俺の目には、

 はっきり見えていた。

 【鑑定結果】

 対象:管理区域外縁

 状態:遮断処理中

 備考:人為干渉、不可

 「……遮断だ」

 呟いた俺の声は、

 やけに大きく

 響いた。

 「遮断……?」  アリアが、  理解しきれないまま  周囲を見る。

 見える景色は、

 変わっていない。

 人も、

 建物も、

 地面も。

 だが――

 “つながり”が

 消えている。

 「通信、切断!」  ルークが叫ぶ。  「外部と、  完全に――」

 言葉が、

 終わる前に

 端末が沈黙した。

 「……世界が」  リリスが、  震える声で言う。  「自分で……  境界を閉じています」

 群衆は、

 まだそこにいる。

 叫んでいる。

 詰め寄っている。

 だが――

 こちらには、

 一切届かない。

 逆も同じだ。

 「……壁、か」  フェンが、  唸る。

 「違う」  俺は首を振る。  「壁じゃない」

 「“切り離し”だ」

 世界は、

 怒っていない。

 恐れてもいない。

 ただ――

 邪魔だと

 判断しただけだ。

 「……そんな」  アリアが、  唇を噛む。  「人が、  そこにいるのに……」

 「いるからだ」  俺は言う。  「感情が、  干渉になる」

 遮断の向こうで、

 人々が

 こちらを指差している。

 何かを

 叫んでいる。

 だが――

 意味は、

 もう届かない。

 「……鑑定士」  フェンが、  低く言う。  「これ、  元に戻るのか」

 俺は、

 目を使った。

 【鑑定結果更新】

 備考:遮断解除条件、未設定

 未設定。

 それは、

 「予定がない」  という意味だ。

 「……分からない」  俺は、  正直に答えた。  「少なくとも、  今は無理だ」

 沈黙。

 誰も、

 怒鳴らない。

 誰も、

 泣かない。

 それが――

 一番重かった。

 「……守った、  のか」  フェンが、  ぽつりと言う。  「それとも……」

 「続けるために、  切った」  俺は、  言葉を継いだ。

 世界は、

 人を守らない。

 ただ――

 世界を守る。

 その結果、

 人が

 外に出ただけだ。

 遮断は、

 静かに

 完了した。

 世界は、

 何事もなかったように

 安定している。

 まるで――

 最初から

 そうだったかのように。

 「……これが」  リリスが、  小さく言う。  「神の、  言っていた  “管理”……」

 俺は、

 否定しなかった。

 否定できなかった。

 人の声が、

 届かない世界。

 それでも――

 世界は、

 正しく動いていた。

ここまでお読みいただき、

ありがとうございます。

世界は、

誰かを裁いたわけではありません。

怒りも、

憎しみもありません。

ただ、

不要な干渉を

切り離しました。

それが

人だっただけです。

ここから先、

主人公が向き合う相手は

人でも、神でもありません。

「世界そのもの」です。

そして世界は、

説明をしません。

それでも、

鑑定は

示し続けます。

見えてしまう限り。

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