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アリア視点短編 「合理の外側で」

お読みいただきありがとうございます。

今回は、本編とは少し距離を置いて、

民間管理会社エリア・ロジック現地統括責任者――

アリアの視点から物語を描いています。

合理的で、現実的で、

それでも迷いのない人物ではありません。

彼女が何を見て、

何を“怖い”と感じたのかを

感じ取ってもらえれば嬉しいです。

世界は、数字でできている。

 人の数。

 資源量。

 移動距離。

 事故率。

 それらを並べれば、

 最善手は、たいてい一つに絞れる。

 ――少なくとも、私はそう信じてきた。

 未管理領域の境界に立つ。

 風は、思ったより穏やかだ。

 暴走も、異音もない。

 「……おかしい」

 データでは、

 もっと荒れているはずだった。

 それなのに、

 ここは――

 静かすぎる。

 これは、

 制御された静けさではない。

 止められてもいない。

 押さえつけられてもいない。

 ただ、

 「待っている」感じがする。

 鑑定士。

 彼の目を見た瞬間、

 私は理解した。

 この人は、

 世界を“使おう”としていない。

 分析はしている。

 だが、

 支配しようとはしていない。

 それは――

 経営者として、

 少しだけ、

 怖い姿勢だった。

 私は、人を守りたい。

 それは本心だ。

 未管理領域の近くで暮らす人々は、

 いつ事故が起きるか分からない不安の中にいる。

 王国は決めない。

 だから、

 民間が動く。

 合理的だ。

 正しい。

 ……はずだった。

 だが。

 この場所に立っていると、

 計画書の行間が、

 急に薄っぺらく見える。

 「世界が嫌がっている」

 あの少女――

 リリスの言葉。

 最初は、

 比喩だと思った。

 だが今は、

 違う。

 この静けさは、

 拒絶ではない。

 警戒だ。

 「まだ、触るな」

 そう言われている。

 私は、合理的な人間だ。

 だからこそ、

 分かる。

 ここで無理をすれば、

 短期的な成果は出る。

 だが――

 長期的には、

 すべてを失う。

 数字が、

 そう告げている。

 そして、

 もっと厄介なことに。

 私の直感も、

 同じ結論を出していた。

 「……面倒ね」

 思わず、

 独り言が漏れる。

 合理性だけで動けない相手ほど、

 扱いづらいものはない。

 世界も。

 鑑定士も。

 でも――

 だからこそ。

 「取引、か」

 完全な管理はしない。

 放置もしない。

 利益は得るが、

 壊さない。

 その綱渡りを、

 私は選んだ。

 合理的に見えて、

 実は一番、

 非効率な選択だ。

 それでも。

 彼が「条件次第だ」と言った時、

 私は少しだけ、

 安心した。

 この人は、

 拒絶しない。

 だが、

 迎合もしない。

 ……嫌いじゃない。

 合理の外側に、

 こういう存在がいるのは。

 世界は、

 まだ答えを出していない。

 ならば――

 私も、

 決めすぎない。

 人を守るために、

 世界を壊さない。

 それができるかどうか。

 この第3章は、

 私自身が試される章になる。

 合理的な女が、

 どこまで“踏みとどまれるか”。

 ――面白くなってきたじゃない。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

アリアは、

いわゆる悪役ではありません。

・人を守りたい

・生活を安定させたい

・合理的に判断したい

そのすべてが本心です。

ただし、

彼女は「世界の声」を

数字に変換できない。

だからこそ、

鑑定士やリリスの存在が

彼女にとっては異物であり、

同時に無視できない変数になります。

アリアがどこまで合理性を手放せるのか、

そして主人公がどこまで彼女を信用できるのかが

大きな軸になっていきます。

よろしければ、

本編とあわせて

アリアというヒロインの行方も

見守っていただけると嬉しいです。

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