表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/71

セリア視点短編 「正しく管理されない世界で」

お読みいただきありがとうございます。

今回は本編とは視点を変えて、

王国側・制度側の立場にいるセリアの内面を描いた短編です。

彼女がなぜ

「未管理領域を利用する」

「悪役と呼ばれても構わない」

という選択をするのか。

その背景を知ってもらえたら嬉しいです。

 未管理領域は、美しい。

 そう評価すると、

 多くの人間は眉をひそめる。

 危険だ。

 異常だ。

 近づくべきではない。

 ――感情論としては、正しい。

 だが、私は管理者だ。

 危険だからこそ、

 数値に落とし、

 枠に入れ、

 責任を明確にする必要がある。

 放置が一番、被害が広がる。

 それを、私は何度も見てきた。

 「未管理存在は、

  いずれ消耗し、

  周囲を巻き込んで崩壊する」

 報告書に、そう書いた日。

 却下された。

 理由は簡単だ。

 前例がない。

 前例がないから、

 誰も責任を取りたがらない。

 だから私は、

 管理課に残った。

 嫌われ役を引き受けるのは、

 慣れている。

 だから――

 彼を見たとき、少し驚いた。

 鑑定士アイン。

 彼は、数字を示さない。

 声を荒げない。

 制度を否定もしない。

 ただ、

 「戻す」と言った。

 それは、

 制度側の人間が

 一番言えない言葉だ。

 戻すには、

 元の姿を知っていなければならない。

 だが、私たちはもう、

 元が何だったのかを忘れている。

 だからこそ、

 彼の鑑定は危険だった。

 正しいから。

 正しすぎるから。

 リスクは、

 利用できない“正しさ”が

 現場を止めること。

 だが同時に、

 それがなければ

 世界は壊れる。

 フェンを見たときも、

 私は同じことを思った。

 強すぎる力は、

 制御できなければ

 制度の敵になる。

 だが、制御できるなら――

 それは、切り捨てる理由にはならない。

 そして、リリス。

 世界樹管理者。

 あれほど露骨な“例外”を前にして、

 制度を優先し続けるほど、

 私は愚かではない。

 だから、条件を出した。

 支配ではない。

 排除でもない。

 監視と牽制を前提とした協力。

 彼は、拒否しなかった。

 それが、何よりの証拠だ。

 アインは、理想主義者ではない。

 現実を知った上で、

 引き受ける覚悟がある。

 ――最も、厄介で、

 最も信頼できるタイプ。

 私は、記録用のペンを置く。

 未管理領域は、

 まだ拡大している。

 世界は、

 確実に管理を放棄し始めている。

 なら。

 誰かが、

 その空白を引き受けなければならない。

 制度か。

 鑑定か。

 それとも、世界そのものか。

 答えは、まだ出ていない。

 だが――

 少なくとも今は。

 彼がいる。

 それだけで、

 最悪の未来は、少しだけ遠のいた。

 だから私は、

 悪役令嬢でいることを選ぶ。

 誰かに嫌われる役なら、

 いくらでも引き受けよう。

 世界が壊れないのなら。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

セリアは、

冷酷な合理主義者でも、

単なる敵役でもありません。

彼女は

「誰かが責任を引き受けなければならない場所」に

自ら立つ人間です。

正しさを守るアイン。

世界を感じ取るリリス。

前線で戦うフェン。

そのどれとも違う形で、

彼女は世界を支えています。

本編では、

この三者の価値観がぶつかり合いながら、

少しずつ“共通の管理”へと近づいていきます。

よろしければ、

「セリア視点が良かった」「この考え方は好き/怖い」など、

感想をいただけるととても励みになります。

引き続き、本編もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ