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第11話 「世界のズレは、街の外にある」

お読みいただきありがとうございます。

第11話は、その導入として

舞台とスケールが一段階広がる回です。

街で起きていた問題が、

実は“世界全体のズレ”の一部だったことが、

少しずつ見え始めます。

楽しんでいただければ嬉しいです。

街を出る準備は、思ったより静かに進んだ。

 荷物は少ない。

 剣も、防具も、最低限。

 それでも――

 街の空気が、背中に重く残る。

 「……本当に、行くんですね」

 ギルド前で、受付の女性がそう言った。

 名残惜しさと、安堵が混じった顔。

 「ええ」

 俺は頷く。

 「ここは、もう大丈夫です」

 鑑定の仕組みは整えた。

 対応方法も共有した。

 この街は、

 しばらくは“正しい状態”を保てる。

 ――問題は、外だ。

 門をくぐると、

 フェンが伸びをした。

 「やっと、窮屈なのが終わるな」

 「街は嫌いか?」

 「嫌いじゃねぇよ」

 肩をすくめる。

 「ただ……

  強さの話しかしない場所は、疲れる」

 その言葉に、リリスが小さく頷いた。

 「外の方が、世界の声がはっきり聞こえます」

 森を抜ける風が、

 わずかに冷たい。

 そして――

 違和感が、増していた。

 「……来るな」

 俺は、足を止める。

 地平の向こう。

 何もないはずの場所が、

 微かに歪んで見える。

 「見えますか?」

 リリスが、静かに言う。

 「ああ」

 「でも……今までとは、違う」

 鑑定を使う。

 

 【鑑定結果】

 対象:未指定領域

 状態:管理不在

 備考:鑑定範囲外

 

 範囲外。

 初めて見る表示だった。

 「……鑑定が、通じない?」

 フェンが、眉をひそめる。

 「正確には」

 俺は、息を吐く。

 「誰の管理下にもない」

 魔物の異常でも、

 個人の問題でもない。

 仕組みそのものが、存在しない場所。

 「世界樹の、外側です」

 リリスが、はっきりと言った。

 「本来、触れてはいけない領域」

 「でも……」

 視線を遠くへ向ける。

 「今は、放置されています」

 沈黙。

 風が、草原を揺らす。

 フェンが、剣の柄に手を置いた。

 「面倒そうだな」

 「間違いなく」

 だが――

 嫌な感じはしなかった。

 むしろ。

 「……仕事だな」

 俺がそう言うと、

 リリスは小さく微笑んだ。

 「はい」

 「鑑定士の仕事です」

 フェンは、口の端を上げる。

 「管理者付き、前線担当」

 「悪くねぇ」

 こうして、俺たちは歩き出す。

 街の問題は終わった。

 だが、世界のズレは――

 まだ、始まったばかりだ。

 鑑定士の役割は、

 この先、もっと重くなる。

 それでも。

 俺は、迷わなかった。

 世界が間違っているなら、

 正すだけだ。

 ――それが、

 俺の鑑定だから。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

ここからは、

個人や街単位ではなく、

「管理されていない世界そのもの」に踏み込んでいきます。

・鑑定が通じない領域

・世界樹の外側

・管理者不在という異常

次話では、

未管理領域で起きている

最初の“事件”を扱います。

よろしければ、

引き続きブックマーク・評価・感想で応援していただけると励みになります。

これからも、どうぞよろしくお願いします!

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