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第9話 「正式鑑定――獣人剣士フェンの本来の力」

お読みいただきありがとうございます。

第9話は、

獣人剣士フェンの正式鑑定回です。

暴走の理由と、

彼女の力が本来どんなものだったのかを描いています。

仲間として一歩踏み出す瞬間を、

楽しんでいただければ嬉しいです。

暴走が収まったあと。

 街外れの簡易治療所で、フェンは大人しく椅子に座っていた。

 ――大人しく、というのは正確じゃない。

 落ち着かない様子で、尻尾がゆっくり揺れている。

 「……じっとしてるの、慣れてない」

 ぼそりと、そう零した。

 「暴れられないよりは、いいだろ」

 俺が言うと、

 フェンは肩をすくめる。

 「まあな。

  頭がうるさくないだけ、マシだ」

 その言葉に、リリスが小さく頷いた。

 「今は、安定しています」

 「仮の制御が、うまく働いている」

 ――仮。

 つまり、根本的な解決じゃない。

 俺は、フェンの正面に立つ。

 「じゃあ、始めるぞ」

 「……本番か」

 フェンは、金の瞳で俺を見る。

 「鑑定、だな」

 逃げない。

 目を逸らさない。

 それだけで、彼女が本気だと分かる。

 ――鑑定。

 

 【正式鑑定】

 名前:フェン

 種族:獣人(狼)

 特性:戦闘特化個体

 スキル:

 ・身体能力超強化

 ・戦闘感覚拡張

 ・闘争同調

 

 「闘争同調……?」

 聞き慣れないスキルだ。

 

 【補足】

 周囲の戦闘状況に同調し、

 能力を際限なく引き上げる

 本来は“部隊運用前提”のスキル

 

 俺は、思わず息を吐いた。

 「……なるほど」

 フェンのスキルは、

 一人用じゃない。

 仲間と連携し、

 指揮官の管理下でこそ、真価を発揮するタイプだ。

 だが――

 

 【異常】

 管理者不在

 制御プロトコル欠損

 

 「これじゃ、暴走するわけだ」

 俺の呟きに、

 フェンが目を細める。

 「つまり?」

 「お前は、欠陥品なんかじゃない」

 はっきりと言った。

 「使い方を、間違えられてただけだ」

 一瞬。

 フェンの耳が、ぴくりと動いた。

 「……そういうの」

 低い声。

 「今まで、誰も言わなかった」

 俺は、続きを選択する。

 

 【修正権限】

 処理:制御権限付与

 管理者:アイン(仮)

 

 「仮、だけどな」

 そう前置きして、実行した。

 空気が、軽く震える。

 フェンの身体を巡っていた赤い魔力が、

 静かに整列していく。

 荒々しさが消え、

 刃のように研ぎ澄まされた気配に変わる。

 「……っ」

 フェンが、息を呑んだ。

 「違う……」

 「力は、あるのに」

 「ちゃんと、止まってる」

 

 【通知】

 制御権限:仮設定完了

 状態:安定

 

 俺は、視線を上げる。

 「これで、お前は」

 「暴走しない」

 「代わりに――」

 フェンは、ゆっくり立ち上がる。

 剣を持たなくても、

 その存在感だけで、空気が変わった。

 「指示が、必要になる」

 少し間を置いて、

 彼女は、笑った。

 「いいじゃねぇか」

 「今まで、勝手に暴れるしかなかったんだ」

 「今度は……」

 フェンは、俺を見る。

 真っ直ぐに。

 「使われるんじゃない」

 「一緒に、戦うってことで」

 その言葉に、

 リリスが小さく微笑んだ。

 「仲間、ですね」

 「……ああ」

 俺は頷く。

 こうして、正式に――

 フェンは仲間になった。

 暴走する剣士ではない。

 管理され、制御され、

 正しく力を振るう戦士として。

 そして俺は、改めて思う。

 鑑定士の仕事は、

 強さを測ることじゃない。

 強さが、正しく使われる場所を作ることだ。

 世界の“ズレ”は、

 また一つ――修正された。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

フェンが、正式に仲間になりました。

強さそのものではなく、

「使い方が間違っていた」

という点が今回のテーマです。

これで

・世界樹管理者リリス

・戦闘特化フェン

という2人のヒロインが揃いました。

次話では、

ギルドと元パーティが

この事実を“正面から”知ることになります。

よろしければ、

ブックマーク・評価・感想で応援していただけると励みになります。

引き続き、よろしくお願いします!

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