ツンデレ悪役令嬢登場
「ああ、包容力のある大人って素敵。」
「ルルディ、貴女、流行病にかかってから、頭のネジを1本、何処かに落としてきたんではなくて?」
「ネーレイスには分からないわよね、シュウ先生の 大人の魅力が。」
「 分からなくて結構ですわ。」
昼休み、 久しぶりに登校したルルディに会いに悪役令嬢、もとい、 王太子の婚約者の公爵令嬢であるネーレイスが保健室を訪れていた。
なんと、ネーレイスのピアノの教師がルルディの母だった縁で、幼少期に連弾などをしたことにより、子爵令嬢であるルルディは、ネーレイスの幼馴染なのである。
ツンツンツンデレ気味のネーレイスは肯定してくれないが 、もはや親友と言っても過言ではない。
ネーレイスは、バニラアイスのような黄みがかった柔らかいクリーム色の髪をポンパドールにして、サイドを編み込んだ華やかな髪型をしている。
ぼんきゅっぼんのマーベラスでグラマラスなバディを持つ、超絶美女である。
流石、悪役令嬢。
「………あの俺様な王太子にはもったいない。」
「あら、ルルディにまであの噂が伝わっていたんですのね。」
「あの噂?」
こてん、とルルディが首を傾げると、 広げたレースの扇子で口元を隠して、ネーレイスは目をほそめた。
「 殿下がいま、ピンクブロンドの髪の男爵令嬢とよく一緒にいるという噂ですわ。」
「うん。噂は知らなかったわ。
でも、ヒロインちゃんは知ってる。」
「まあ!ヒロインちゃん。
その表現方法はぴったりですわ!
わたくしも 今日からそう呼ぼうかしら。」
「それはナイスアイディアですね、お嬢様!」
ぐっと、爽やかに親指を立てるのは、タキシードを着たネーレイス専属執事であるロクトだ。
「どこから湧いて出たの?」
「ネーレイスお嬢様のためなら、どこからでも湧いて出る所存です。」
「爽やかにいう台詞じゃないですわね。」
冷たく言い放ち、ネーレイスはロクトのエスコートを受けながら優雅に立ち上がった。
ロクトは隠しキャラの攻略対象だが、今の所は以前からと変わらない、忠実でお嬢様命な執事だ。
ネーレイスのツンデレをこよなく愛するロクトとルルディは、こっそり同盟を結んでいる。
「……休んでいる間の授業で分からないことがあれば、そこのロクトに声をかけてくださいな。
ノートは控えさせているから。」
「貴重なデレをありがとう。」
「は?」
「調子に乗りました、ごめんなさい。」
ギリッとネーレイスの扇子が軋み、ルルディは逃げるように毛布に潜り込んだ。
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本作は短編「雨の日には君を想う。」「視線の行方」と登場人物が繋がっているので、気が向いたらぜひご覧ください。




