発見!同郷者
「私達も年単位で滞在予定だから、しばらくここにいると良いわ。
レインが新婚の嫁を残してバイトに行っちゃうから暇してるの。
この国のことを教えてくれたら嬉しいわ。」
「3時からはずっと一緒にいるだろ。
だいたい夜寝かせてないから、美月が起きるのは昼過ぎじゃないか。」
「今すぐその余計なことを言う口を閉じないと、お夕飯は野菜だけにするわよ、レイン。」
ルルディを気遣って明るい空気をだそうとする美月。
空気を読まないで、好きなことを言うレイン。
「あの、わたし今失恋傷心中なんで、いちゃいちゃは傷口から大出血なんですけど……」
特にレインが変わり者なようだけど、嫌悪感はなくて、ルルディは自嘲しながらも笑った。
1人でいると思考が暗くなりがちだから、誰かとこうして話すのは気が紛れる。
「歳も近そうだし、敬語はいらないわ。」
「ありがとう。しばらく厄介になります、なるね。」
「家族や公爵令嬢への連絡はどうする?」
「置き手紙を残してきたので、今はどうするか決められないかな。」
「他に連絡したい人はいる?」
ちらりと脳裏にひらめく、白衣の裾。
「……いない。」
寂しそうなルルディ。
失恋中、と言っていたが。
さて、本当にそうなのか。
学園内での様子を知るレインは気遣わしそうにルルディを見る美月に、にやにやと意味深な笑みを見せて首を振った。
「それじゃあ、ルルディの部屋を作りましょうか。
たまに海水に浸る必要があるらしいわよ。
ここなら海に近いからちょうどいいわ。」
「あの、なんで人魚について、そんなに詳しいんですか?」
レインがにやりと笑う。
同じ人外同士なら、隠す必要もないだろう。
「俺が神の分霊だからだよ。」
「わけみたま?神様の?……は?チート?」
日本の独特の表現に、ぴくっと反応する美月。
思わず、ルルディの手を握りしめた。
「そうよね、チートよね。貴女も異世界転移?」
「ううん、異世界転生。」
「世間は狭いわね、良ければ話を聞かせてくれない?」
美月が日本から来たことを知り、ルルディは一気に親しみやすく感じた。
なるほど、レインから感じていた変わってる雰囲気は、人ではなかったからか。
まずは、魔力の回復。
練習すれば、元の人間の姿に戻ることはできるらしい。
そうすれば、少なくともシュウはもうヒロインの敵に回る必要はなくなるし、いつかシュウに会いにいけるかもしれない。
夢見たシュウのお嫁さんにはなれないにしても、遠くから見守ることはできるだろう。
希望の端を掴んだ気がして、ルルディは拳を握りしめた。
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「雨の日には君を想う。」のヒーローがレイン、ヒロインが美月として異世界転移の恋愛模様を完結してるので、よろしければ是非。




