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甦れ前世の記憶

 激情を押し殺すような低い唸り声が耳を掠めた。

 噛みつくような深い口づけに、 ルルディの胸はキュンとした。


 え、え、何これ!?

 こんなシチュエーションある?

 もう死んでもいいわ、嬉しすぎる!!



 流行り病にかかり死にかけたせいか、ルルディは、前世の記憶を思い出した。

 心配そうにベッドサイドに立ち、熱が下がったルルディの顔を覗き込むイケメンは、弟であるルクスだ。


 この顔 、前世でもどこかで見たことがある。

 そうだ、前世でやった乙女ゲームだ!


 ルルディは心の中で叫んだ。

 推しがいる。

 今なら推しが生きている……!!



 部屋に誰もいなくなったベッドの中で、手鏡の中に映る姿をまじまじと見ながら、ルルディはにこっと笑った。

 真珠の光沢の髪、珊瑚の瞳。

 ちょっとやつれて頬がこけている、鏡の中の美少女もにこっと笑った。


 前世の記憶は曖昧だ。

 ただタイトルを忘れた乙女ゲームに関する記憶だけは、一部だけ鮮明に覚えている。


 世界で一番東にある島国。

 貴族が通う3年制の高等学校が舞台。

 RPG 要素がある乙女ゲームで、ラスボスあり。

 攻略対象は5人。

 俺様系、王太子の王子様。

 頭脳系、温厚な宰相の息子。

 クール系、無口な騎士団長の息子。

 ショタわんこ系、宮廷音楽家の息子。

 隠しルートは、王子様の婚約者の悪役令嬢の元暗殺者執事。

 ヒロインはふわふわピンクブロンドの、元気で明るくて健気な女の子。

 それぞれの攻略対象者のルートにより、 王妃、女性文官、女性騎士、音楽家に成長することとなる。

 ちなみに逆ハーレムルートはない。


 そして推し!

 攻略対象外だが、ビジュアルがすごく好みで、フルボイスゲームの低いバリトンの声にキュンキュンした。

 隠しルートキャラかとワクワクしながらゲームをプレイしていたら、なんとRPG部分のチュートリアルボスで、ヒロインたちに倒されて死んでしまうのである。

 しかも序盤のチュートリアルなせいで、なぜ ヒロインたちに襲いかかったなどの背景が全然出てこない。

 イラストレーターと声優の無駄遣いとも言われていたが、ルルディの前世は激しくこのキャラクターを推していた。

 どうしようもない事情があるような雰囲気を出しながら、悲痛な叫びをあげて死んでいくのだ。

 壮絶である。

 絶対に攻略できなかったからこそ、前世の記憶の中で忘れられない位に印象に残ったのかもしれない。


 前世の記憶があるのは何かの運命だ。

 推しの為に、これからは生きていこう。

 流行り病にかからなくても元々病弱なルルディは、 療養の為に押し込められたベッドの中で、ぐっと拳を握りしめた。


よろしければ★を頂けると嬉しいです。


本作は短編「雨の日には君を想う。」「視線の行方」と登場人物が繋がっているので、気が向いたらぜひご覧ください。

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