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羅針盤なき航路 ―太平洋戦争開戦の真実―

作者: 智有 英土

※本作は史実を参考にしたフィクションです。

登場人物の多くは創作であり、会話や心情描写は作者の想像によるものです。

ただし、作中に登場する「総力戦研究所」や「太平洋戦争開戦に至る経緯」などの骨格は、史実を基盤としています。

史実と虚構を交差させることで、当時の空気感と意思決定の歪みを描くことを目指しました。

羅針盤なき航路 ―太平洋戦争開戦の真実―

第1章 影に葬られた真実

第一節 招集

 昭和十六年六月、梅雨の湿り気がまだ残る東京。霞が関の一角に、ひっそりと「総力戦研究所」の看板が掲げられた建物があった。表向きは内閣直属の研究機関。だが、その実態を知る者は少なかった。

 その朝、若き研究員の高瀬直哉は、封書一通を握りしめて研究所の門をくぐった。帝大法学部を出て大蔵省に籍を置いていたが、ある日突然「極秘任務」の招集を受けたのである。同行するのは、陸軍省、逓信省、鉄道省、さらに民間企業から選ばれた精鋭たち――皆、三十歳前後の若手官僚や技師だった。

 扉を開けると、すでに十数人が会議室の長机に腰掛けていた。見知った顔は少ない。だが彼らの表情には共通の色があった。緊張と、わずかな好奇心。

「君たちに課せられるのは一つだ」

 壇上に立つ初老の教授が口を開いた。東京帝大の経済学者で、研究所の所長を務める人物だった。

「もし、米国と戦争になった場合、日本はどうなるのか。その結末を科学的に解明すること。それが任務である」

 ざわめきが広がった。戦争の是非を議論するのではない。すでに「戦争になる」ことを前提に、その結末を予測せよというのだ。

 高瀬は心の奥に冷たいものが走るのを感じた。だが同時に、官僚としての理性が囁く――これは滅多にない機会だ。虚妄や精神論を排し、純粋に数字と統計から未来を描き出すことができるのだ、と。

 机の上には膨大な資料が積まれていた。海上輸送の統計、石油備蓄量、国際金融のデータ、鉄道輸送の限界……。

 高瀬は無意識に、手元の一枚をめくった。そこには、英国ロイズがまとめた第一次世界大戦中の船舶撃沈率の数字が整然と並んでいた。

 その数字が、後に「二年で日本は石油を失う」という冷酷な未来を告げることになるとは、このとき誰も予想していなかった。


第二節 初対面の声

 午前の陽が斜めに差し込む会議室。ざわめきは次第に収まり、研究員たちは配布された分厚い統計資料をめくり始めていた。

 高瀬は隣の席の男に目をやった。背広の胸元に「逓信省」と記された名札。眼鏡の奥の視線は鋭い。

「初めまして。大蔵省の高瀬と申します」

「逓信省の井口です。通信網の整備に関わっています」

 言葉は抑揚が少なく、まるで相手を測るようだった。

 その向こうでは、鉄道省から来た若い技師が声を上げていた。

「もし戦争となれば、国内輸送の負担は倍増します。軍需列車を優先すれば、市民生活は破綻しますよ」

 彼の声は熱を帯び、周囲の者も思わず耳を傾けた。

 一方で、商社出身の男は乾いた笑みを浮かべてつぶやいた。

「結局、石油がなければ何も動かない。南方資源に夢を見ても、輸送船が沈められたら終わりだ」

 机を囲む空気は重く、それでいてどこか奇妙な連帯感が芽生えつつあった。誰もが、この場で口にされた言葉の重さを感じ取っていた。

 高瀬は資料の数字を見つめながら、思わず呟いた。

「我々は、未来を予言する役目を負わされたわけですね」

 井口は眼鏡の奥で目を細め、静かに答えた。

「予言ではなく、計算です。ただし、計算が無視されることもまた、容易に予測できる」

 その瞬間、部屋に一層冷たい緊張が広がった。

 外では、学生たちが笑い声をあげてキャンパスを歩いている。だが、この会議室の中だけは、確実に「敗戦の影」が忍び込んでいた。


第三節 シミュレーション開始

 午後、会議室の机には大きな地図が広げられていた。南方資源地帯、太平洋の航路、そして本土を結ぶ線が幾重にも描き込まれている。

 所長が咳払いをして告げた。

「まずは石油の収支から始めよう。帝国海軍の備蓄は現在約一年分。だが、戦時に必要となる量は平時の二倍以上だ」

 沈黙の中で、研究員たちは鉛筆を走らせた。輸送船の数、航路の長さ、潜水艦による撃沈率……。表計算用紙が次々に埋まっていく。

「インドネシアの油田を占領できたとして、月産二百万トン。しかし――」

 井口が計算尺を置き、声を低める。

「英国ロイズの統計によれば、第一次大戦中、輸送船の平均撃沈率は三割を超えていた。この数字を当てはめると、二年で輸送船はほぼ全滅する」

 室内にざわめきが走った。鉄道省の技師が顔を上げる。

「つまり、補給線が断てば、どれだけ油田を奪っても意味がない……」

 商社出身の男は唇を噛んだ。

「石油を巡る戦争で、石油に届かないとは。皮肉だな」

 高瀬は、数字の並ぶ紙をじっと見つめていた。計算上の線が、やがて現実の破滅を形作っていくように思えた。彼の胸に、冷たい汗がじわりと滲む。

「……我々は今、この国の敗北の設計図を書いているのかもしれない」

 誰かがぽつりと呟いた。

 その言葉は否定されることなく、重苦しい沈黙となって会議室に落ちた。


第四節 報告と沈黙

 数日後、霞が関の会議室。窓の外では初夏の光がまぶしく輝いていた。だが室内の空気は異様に重かった。

 総力戦研究所の若手研究員たちは、分厚い報告書を手に整列していた。その表紙には「対米戦争シミュレーション」と記されている。

 冒頭で所長が口を開いた。

「結論から申し上げます。現状の国力と輸送力をもってしては、対米戦争は二年以上継続不可能であり、最終的には敗北必至であります」

 紙をめくる音だけが響いた。前列に座るのは陸軍、海軍、外務省の要人たち。中央には陸軍大臣・東条英機の姿もある。鋭い目が報告書を射抜くように走った。

 研究員の一人が補足する。

「石油の供給は二年で途絶します。輸送船の損耗率を考慮すると、インドネシアの油田を制圧しても意味をなしません」

 だが、返ってきたのは沈黙だった。誰も「理解した」とは言わない。ただ、互いの視線を探り合うように、軍服の袖がわずかに動いた。

 やがて一人の参謀が小声で言った。

「精神力で補えるのではないか」

 その瞬間、研究員たちの胸に冷たいものが走った。計算も統計も、いままさに「精神論」という霧の中に溶かされようとしていた。

 高瀬は拳を膝の上で握りしめた。

(我々の結論は、ここで消されるのか――)

 所長は報告を続けたが、誰も顔色を変えず、会議室には沈黙が漂い続けた。やがて議題は形式的に締めくくられ、報告書の束は机の端に積み上げられた。

 その山は、まるで誰の手にも取られぬまま埋もれていく運命を告げているかのようだった。


第五節 楽観の幻影

 報告会の数日後、再び研究所に通達が届いた。

「陸軍が独自の試算を行った。比較のため研究員も立ち会え」

 高瀬たちは半ば不安を抱えながら、軍令部の会議室に足を運んだ。そこには、白地図の上に赤鉛筆で線を引いた簡素な資料が並べられていた。

 参謀の一人が胸を張って説明する。

「ご覧のとおり、南方油田の確保後は年間数百万トンの石油が確保できる。輸送船の損耗率は低く見積もって五パーセントに過ぎない」

 研究員の誰かが思わず声を上げた。

「五パーセント……? それは根拠はあるのですか?」

 参謀は顔をしかめ、吐き捨てるように答えた。

「数字に縛られる必要はない。我が軍の練度をもってすれば、被害は最小限に抑えられる」

 室内にざわめきが広がった。研究員たちは互いに目を見合わせる。英国ロイズの詳細な統計をもとに導いた「三割超」という数字は、ここでは完全に無視されていた。

 鉄道省の技師が小声でつぶやいた。

「これは……結論ありきの計算だ」

 高瀬の胸に、怒りと虚しさが交錯した。

(我々の冷徹なシミュレーションは、もはや『不都合な真実』に過ぎないのか)

 参謀は続ける。

「国民の精神力も考慮せよ。数字には現れぬ力が、この国にはある」

 その言葉は、研究員たちにとって悪夢のように響いた。論理の積み上げが、一瞬で「精神論」という霧に呑み込まれていく。

 会議の終わり、机上には二つの未来が並んでいた。

 一つは、冷徹な計算による「敗北の設計図」。

 もう一つは、曖昧な数字と精神論に彩られた「楽観の幻影」。

 だが、どちらが採用されるかは、すでに明らかだった。


第六節 圧力と分裂

 研究所に戻った翌日、会議室の空気は張り詰めていた。

 机上には二つの報告書が並んでいる。

 一つは、研究員たちが導いた「敗北必至」のシナリオ。

 もう一つは、軍部が提示した「楽観の幻影」だった。

 所長は疲れた表情で言った。

「軍からは協調的姿勢を求められている。あまりに悲観的な結論は、報告から削除すべきだと」

 沈黙。誰もすぐには口を開けなかった。

 やがて逓信省の井口が声を上げる。

「それでは研究所の存在意義が失われます。我々は事実を示すために集められたのではないのですか」

 しかし、別の研究員――大手財閥から派遣された男が口を挟んだ。

「だが、現実に抗っても意味はない。軍部の顔を立てるのも必要だろう。私たちの将来を考えれば、反発は得策ではない」

 室内に冷たい波紋が広がった。研究員たちの間に、亀裂が走る。

「真実を貫くべきだ」

「いや、ここで波風を立てれば、研究所ごと潰される」

 高瀬はそのやり取りを聞きながら、心の中で叫んでいた。

(結論を歪めてまで生き延びるのか。それとも、真実を記録に残すのか――)

 彼の視線の先で、机上の報告書が風に揺れた。まるで未来そのものが迷走しているかのように。

 やがて所長が低く告げた。

「最終報告には……両論併記とする」

 それは事実上、敗北の警告を骨抜きにする決定だった。

 研究員たちは誰も拍手しなかった。ただそれぞれの胸に、苦い沈黙が沈殿していった。


第七節 市民社会の光景

 研究所の扉を出ると、東京の街は眩しいほどに日常を謳歌していた。

 銀座の通りにはネオンが灯り、ダンスホールからは軽快なジャズが流れてくる。背広姿のサラリーマンや、モダンな洋装の女性たちが笑い声を上げながら店に入っていく。

 高瀬はふと立ち止まり、喫茶店の窓越しに目をやった。そこでは若い男女が、新聞を広げながら談笑している。新聞の一面は、外交交渉の行き詰まりを伝えていたが、彼らの表情はどこか楽観的だった。

「まあ、なんとかなるだろうさ」

 そんな言葉が聞こえてくる気がした。

 道端では、靴磨きの少年が汗を拭きながら客を呼び込んでいる。映画館の前には長い列ができ、ハリウッド映画の看板が煌々と輝いていた。

 そこには、戦争の影など一片も映っていない。

 だが高瀬の耳には、別の音が鳴り響いていた。

 机に広げられた統計表、沈黙する会議室、そして「二年で石油は尽きる」という冷たい数字の響き。

 街の賑わいと重ね合わせると、その落差は残酷なほど鮮烈だった。

 井口が隣に並び、煙草に火を点けた。

「……この街の誰も、敗戦を信じはしないだろうな」

 煙が夜空に溶けていく。高瀬は言葉を返せなかった。

 ただ胸の奥で、ひとつの問いがこだました。

(もし我々の結論を誰も受け止めないのなら、私たちは何のために数字を積み上げたのか)

 街の灯りは明るすぎて、その問いの答えを見つけることはできなかった。


第八節 影の結論

 六月の終わり、研究所の会議室には最終報告書が積み上げられていた。厚さ数百ページに及ぶ紙束。その中には、敗北を予言する冷徹な数字と、軍部が持ち込んだ楽観的な数値が、並列して記されていた。

 所長は重く口を開いた。

「……最終的には、両論併記とする。研究所の使命を果たしつつ、軍との摩擦を避けるためだ」

 言葉が落ちると、室内は沈黙に沈んだ。敗北の未来を告げる計算式は、存在していながら、曖昧な希望の影に覆い隠された。

 高瀬は報告書を閉じ、静かに机に置いた。

 初めて招集を受けた日のことが脳裏に浮かぶ。――「未来を科学的に予測せよ」と命じられたあの言葉。

(だが、我々が導いた未来は、ここで封じられるのか)

 窓の外では、夕暮れの光が街を黄金色に染めていた。遠くからはジャズの旋律と、人々の笑い声が微かに届く。

 その光景はあまりにも平和で、報告書の中に潜む「敗北」の影と交わることはなかった。

 やがて、書類の山は内閣に送られることになった。だが誰も、その束が本気で読まれるとは信じていなかった。

 高瀬は心の奥で小さく呟いた。

「真実を知りながら、止められない……これが我々の結論か」

 答えのない沈黙だけが、会議室を満たしていた。


第2章 追い詰められる選択

第一節 外交の行き詰まり

 昭和十六年夏。霞が関の外務省には、緊張と焦燥の空気が漂っていた。

 会議室の窓際には分厚い電報束。ワシントンから届く返答は、どれも日本にとって厳しいものばかりだった。

 石油禁輸が決まってから、時間は明らかに日本の敵となった。備蓄は一年分、いや半年で尽きるとの試算もある。外務官僚たちは机に突っ伏すように資料を広げ、英語で綴られた文面に目を走らせていた。

「ハル長官の態度は、ますます強硬だな」

「こちらが譲歩を示しても、先方はさらに条件を積み重ねてくる」

 議論は次第に苛立ちを帯びていった。机を叩いた若手官僚が声を荒げる。

「このままでは、我が国は石油を失い、産業も軍も立ちゆかなくなる。外交で解決できなければ……」

 その言葉を遮るように、年長の官僚が低く答えた。

「戦争しか道は残らん、ということか」

 部屋に重い沈黙が落ちた。

 一方、外の街はまだ平和な顔を見せていた。映画館には人々の列ができ、新聞には大きく「交渉続行」と活字が踊っている。だが実際には、交渉はすでに出口を失いつつあった。

 その現実を知る者は少数だった。総力戦研究所の報告を胸に秘めた高瀬もまた、その少数の一人である。彼は外務省の動きを遠巻きに見ながら、胸の内で重い疑問を繰り返していた。

(外交が失敗すれば、国は一気に破滅へ突き進む。だが、仮に外交が成功したとしても、果たして軍はそれを受け入れるのか――)

 答えは、どこにも見つからなかった。


第二節 内閣の焦燥

 同じ頃、首相官邸の会議室では、東条内閣の閣僚たちが顔を揃えていた。

 壁際に並ぶ扇風機が空気をかき混ぜていたが、その涼しさは誰の心にも届かなかった。

「石油備蓄は、もって一年。外交が進展しなければ、我が国は自壊する」

 経済官僚が声を張り上げた。机に置かれたグラフには、石油残量が急激に減少していく曲線が描かれていた。

 東条英機は腕を組んだまま、静かに聞いていた。その眼差しは鋭く、だが奥底には複雑な迷いが宿っているように見えた。

「戦わなければ、ジリ貧だ」

 軍部の一人が吐き捨てるように言った。

「だが戦えば――」

 外務大臣が言葉を継ごうとしたとき、別の声が重なった。

「戦えば、ドカ貧であることは分かっている」

 会議室に沈黙が広がった。言葉は真実すぎて、誰も反論できなかった。

 しかし、やがて東条が口を開いた。

「国民は、外交が続いていると信じている。だが実際には、選択肢は限られている。我々が決断せねばならん」

 その声音は冷徹でありながら、どこか自らを追い詰める響きを帯びていた。

 机上には、二つの未来が置かれている。

 一つは「戦わずに石油を失う未来」。

 もう一つは「戦って、より早く破滅する未来」。

 誰もが胸の奥で分かっていた。どちらを選んでも「勝利」という答えは存在しないことを。

 だが会議は形式的に結論を急ぎ、やがて議題は「戦争準備」へと傾いていった。

 その場にいない高瀬たち研究員の「敗戦シナリオ」が、再び無視されていく音が、彼らには確かに聞こえる気がした。


第三節 軍部の論理

 九月初旬、軍令部と参謀本部の合同会議。

 机の上には太平洋を横断する航路図が広げられ、赤と青の線が幾重にも交錯していた。

「米国との戦力差は承知している。しかし、短期決戦なら勝機はある」

 海軍の将官が声を張り上げた。

「真珠湾を奇襲し、太平洋艦隊を壊滅させれば、講和に持ち込める」

 陸軍の参謀は即座に反論した。

「海戦だけで戦争は終わらぬ。大陸の補給線をどう維持するつもりだ? 我が軍の主戦場はあくまで中国と南方だ」

 会議室には怒声が飛び交い、地図を指す指先が震えていた。

 一見すれば激しい対立。だが高瀬が後方から眺めていると、その対立は結論を覆すためのものではなく、「戦うのは前提」という共通認識の上での争いに過ぎないことが見えてきた。

 やがて一人の幕僚が低い声でまとめた。

「……つまり、短期決戦であろうと、持久戦であろうと、結論は同じ。戦わざるを得ない、ということだ」

 その言葉に、誰も表立った異議を唱えなかった。

 高瀬の胸に冷たいものが広がった。

(どの論理も、戦わないという選択肢を消している……)

 会議が終わるころ、机の上に残ったのは、対立の痕跡ではなく「一戦不可避」という一枚岩の論理だった。

 廊下に出ると、井口が苦笑まじりに呟いた。

「論理というより、これは組織の意地だな。陸も海も、負けると知りながら主導権だけは譲らない」

 その皮肉は、高瀬には笑えなかった。

 数字が導いた「敗北の未来」よりも早く、軍部の論理は日本を戦争へ押し出そうとしていた。


第四節 研究員の孤立

 秋風が吹き始めた頃、総力戦研究所の会議室は閑散としていた。

 かつて山のように積まれていた統計資料は、いまや机の隅に追いやられ、誰からも参照されることがなくなっていた。

 高瀬は報告書のコピーをめくりながら、ふと気づいた。――提出から一か月以上が過ぎても、政府からの正式な照会は一度も届いていない。

「結局、我々は必要なときだけ呼ばれる便利屋に過ぎないのか……」

 井口が苦い笑みを浮かべた。

「それどころか、呼ばれもしなくなった。敗北を告げる数字など、誰も耳を貸したくないのだろう」

 別の研究員は声を潜めて言った。

「軍の方針はすでに決まっている。研究所の結論は、ただの記録として棚に置かれるだけだ」

 会議室に沈黙が落ちた。かつては熱気に包まれていた討議の場が、いまは虚ろな空洞のようだった。

 窓の外からは、学生たちの笑い声や、街を走る市電の音が聞こえてくる。その賑わいは、研究所の重苦しさをいっそう際立たせていた。

 高瀬は拳を机に置き、心の中で言葉を噛みしめた。

(真実を示したはずなのに、誰も見ようとしない。我々は、この国にとって存在しない声なのか)

 その孤立感は、敗北を予測した数字以上に重く、彼の胸を押し潰していった。


第五節 市井の声

 日曜日の午後、銀座通りは買い物客で溢れていた。洋装の若い女性たちがパラソルを手に歩き、子どもを連れた家族連れがアイスクリームを頬張っている。電車通りには人力車と市電がひしめき、どこか祝祭めいた空気さえ漂っていた。

 高瀬は、研究所帰りにその雑踏を抜けて歩いていた。道端の新聞売りが声を張り上げる。

「米国との交渉、なお継続! 和平の可能性あり!」

 新聞の大見出しに、買い求めた人々は安堵の表情を浮かべる。

「やっぱり戦争にはならないさ。いくらなんでも無茶はしないだろう」

「アメリカの映画だって、まだ上映されてるじゃないか」

 喫茶店の中では、学生らしき青年が声を弾ませていた。

「開戦なんてあり得ないよ。国際社会が許さないさ」

 その横で女性が笑いながら応じる。

「ほら見て、今夜もダンスホールは満員よ。戦争なんて、遠い国の話に決まってる」

 高瀬は足を止め、窓越しにその光景を見つめた。

 胸に重くのしかかる研究所の報告――「二年で石油は枯渇」「敗北必至」――その結論を、街の誰一人として知らない。むしろ信じようとさえしていない。

 井口が隣で低く呟いた。

「庶民が楽観しているのは無理もない。彼らにとって戦争はまだ新聞の活字に過ぎないのだから」

 高瀬は返す言葉を持たなかった。ただ、明るい笑い声と、心に沈殿する数字の影との差が、痛いほど胸を突いた。


第六節 決断の兆し

 十月下旬、秋晴れの空の下でも、官邸の廊下には冷たい緊張が漂っていた。御前会議を控え、各省からの報告が続々と積み上げられている。分厚い資料の山が机を埋め尽くし、その多くが「戦備充実」「短期決戦可能性」といった文字で彩られていた。

 総力戦研究所の報告書も、その山の中に紛れ込んでいた。しかし、その表紙には赤鉛筆で小さく「参考」と記されている。

 井口はその文字を見て、苦い笑みを漏らした。

「参考とは便利な言葉だな。要するに、誰も開くつもりがない、という意味だ」

 高瀬は唇を噛んだ。数字と統計に基づいた冷徹な敗戦シナリオは、いまや誰の眼差しも届かぬまま、紙の山に埋もれていく。

 会議室では、陸軍の参謀が声を張り上げていた。

「国力差は承知している。しかし、国民の士気と精神力をもってすれば、一撃講和は可能だ」

 その言葉に、閣僚の何人かが頷いた。外務官僚が弱々しく「外交の継続を」と付け加えたが、すぐに軍の声にかき消された。

 やがて東条が静かにまとめる。

「御前会議には、戦争準備完了の見通しを上奏する」

 その瞬間、部屋の空気は凍りついた。誰も口にはしなかったが、「戦争回避の道は閉ざされた」という認識が全員の胸に刻まれたのだった。

 廊下を出た高瀬は、窓越しに夕暮れの街を見下ろした。市電が鈴を鳴らし、人々が帰路を急いでいる。

 その穏やかな風景が、これから訪れる嵐をあざ笑うかのように見えた。


第七節 影の会話

 御前会議を数日後に控えた夜、総力戦研究所の一室に数名の研究員が集まっていた。照明は落とされ、机の上には薄い蝋燭の火だけが揺れている。

 井口が低い声で切り出した。

「今のままでは、我々の報告は完全に埋もれる。だが、最後に一言でも記録に残さねばならない」

 鉄道省の技師が身を乗り出した。

「どうする? 正式な場では口を封じられる。軍部の資料がすでに正史として上奏されるのだ」

 重苦しい沈黙。蝋燭の炎が小さく揺れた。

 高瀬は、机の上に置いた分厚い報告書に手を置いた。

「……ならば、せめてこの数字を外部に漏らすことはできないか」

 その言葉に皆が顔を上げた。しかしすぐに、商社出身の研究員が首を振った。

「無理だ。新聞社は軍の検閲下にある。もし我々が独断で動けば、研究所ごと消されるだろう」

 井口が苦笑した。

「つまり、真実を知る者は、我々数十人に限られる……ということか」

 その言葉は誰も否定できなかった。

 窓の外には秋の夜風が吹き込み、遠くから楽隊の音楽がかすかに響いていた。街はまだ平和を信じて眠ろうとしている。だが、この部屋の中だけは、未来の破滅を見据えていた。

 最後に高瀬が呟いた。

「声を上げることも許されないのなら……せめて、この沈黙が歴史の証言になることを願うしかない」

 蝋燭の火が揺れ、やがて静かに消えた。


第八節 運命の前夜

 十一月末、冷たい風が都心を吹き抜けていた。

 官邸では御前会議の準備が整えられ、廊下には軍服の影が往来していた。机上に並ぶのは、軍部が揃えた「短期決戦可能」という報告書の山。その端に、総力戦研究所の分厚い冊子も積まれていたが、誰の手にも触れられることはなかった。

 高瀬は窓際に立ち、灰色の雲を見上げた。

(数字は語った。だが、その声は封じられた。……ならば、明日から始まるのは、誰も止められない未来だ)

 そのとき、廊下を通り過ぎる将校の声が耳に入った。

「もはや交渉に期待する者はいない。天皇陛下におかれても、決断は下されるだろう」

 足音が遠ざかると、会議室は再び静寂に沈んだ。

 その夜、研究所の宿舎で井口が高瀬に言った。

「君はまだ、奇跡を望んでいるのか?」

 高瀬は少し間を置き、首を振った。

「……奇跡ではなく、せめて理性を望んでいる。しかし、この国は理性よりも意地を選ぶだろう」

 二人は言葉を失い、しばらく蝋燭の炎を見つめていた。

 窓の外では、子供たちが追いかけっこをして遊んでいた。笑い声が夜気に響く。その光景は、数日後に訪れる運命とは無縁のように見えた。

 だが高瀬の胸には、静かな確信が芽生えていた。

(明日の会議で、この国の未来は決まる。戦争は――避けられない)

 彼は報告書の表紙にそっと手を置いた。それは、すでに誰も読まぬ「影の結論」。

 やがて蝋燭が燃え尽きると同時に、部屋は闇に沈んだ。


第3章 決断と開戦

第一節 御前会議

 昭和十六年十二月一日。

 宮中の御文庫附属建物に、政府と軍の最高首脳が集められた。御前会議――天皇自らが臨席し、国家の命運を決する場である。

 重厚な扉が閉ざされると、会議は静かに始まった。天皇は席に着し、東条首相が深々と頭を下げた。

「本日は、帝国の進路を決定すべく、全力を尽くす所存にございます」

 陸軍参謀総長が立ち上がり、南方作戦の概要を朗読した。

「開戦後、おおむね六ヶ月をもって南方資源地帯を確保し、国力の充実を図る見通しであります」

 海軍軍令部総長が続ける。

「太平洋艦隊は奇襲により壊滅可能。短期決戦により、米国を講和へ導くことができます」

 その言葉は、まるで確定した未来を告げるかのようだった。だが、机の上に積まれた一冊の報告書――総力戦研究所の「敗北必至」のシナリオ――は、誰の手にも取られないまま置かれていた。

 外務大臣が小さく声を絞り出した。

「交渉の余地は、もはや残されておりません。しかし、開戦は……」

 言葉は途中で途切れた。東条の鋭い視線がそれを封じたのだ。

 やがて天皇が静かに問いかけられた。

「勝つ見込みはあるのか」

 短い沈黙ののち、東条は深く頭を下げて答えた。

「六ヶ月ならば必ず勝てる、との確信を持っております」

 その瞬間、室内の空気が固まった。真実を知る者は少数だったが、もはや誰も異議を唱えることはできなかった。

 やがて会議は形式的に結論を下した。

「帝国は対米英開戦に踏み切る」

 高瀬はその場に居合わせてはいなかった。だが、遠く研究所の部屋で、彼は不思議な胸騒ぎを覚えていた。

(いま、この瞬間に、国の運命が決まった――)

 冬の曇天の下、東京の街はまだ平和を謳歌していた。だが、決定はすでに覆せぬ「歴史」となったのである。


第二節 開戦決定

 御前会議が終わった直後、閣僚と軍首脳は重々しい表情で会場を後にした。

 だが、その背中に浮かぶ影は一様ではなかった。安堵、緊張、そして恐怖――。

 廊下を歩きながら、陸軍の参謀が小声でつぶやいた。

「これで国は一丸となる。後は勝つだけだ」

 その声には無理に自分を鼓舞するような響きがあった。

 一方、外務大臣は青ざめた顔のまま誰とも口を利かなかった。外交の敗北を認めたも同然の決定に、言葉を失っていたのだ。

 東条は歩みを止め、振り返りざまに言った。

「帝国は、すでに退路を断った。あとは進むしかない」

 その声音は確信に満ちていたが、近くにいた井口には、むしろ自らを追い詰める響きに聞こえた。

 やがて会場の扉が閉ざされると、官邸内に一枚の公文書が作成された。

「対米英蘭開戦ノ件」――

 それは数行の文で、国の未来を決定づけるにはあまりに簡素であった。

 高瀬は研究所でその報を聞いた。

「……ついに、決まったか」

 言葉に出すと、自らの声が震えていることに気づいた。

 机の上には、彼らが積み上げた敗戦シナリオが広がっている。

 二年で石油は尽きる、輸送線は絶たれる――。

 それでも国は、開戦を選んだ。

 窓の外からは、冬の陽射しを受けた街のざわめきが聞こえていた。人々はまだ、戦争が現実になったことを知らない。

 高瀬は報告書の一頁を閉じながら、胸の奥で静かに呟いた。

「これは勝利の決定ではない。……敗北への出発だ」


第三節 暗号の影

 十二月初旬、研究所の廊下にひそやかな噂が流れていた。

「暗号通信の数が急に増えたらしい」

「海軍省では徹夜続きだそうだ」

 表向き、新聞は依然として「交渉継続」を伝えている。だが、霞が関の建物に出入りする将校の顔には、張り詰めた緊張がはっきりと浮かんでいた。

 井口は耳打ちした。

「ハワイに動きがあるかもしれん。海軍の暗号班が異様に慌ただしい」

 高瀬は黙って頷いた。確証はない。だが心の奥で、数字が導いた未来と、目の前の兆候が重なり始めていた。

 その日の夜、研究所に残っていた若手研究員の一人が、焦った様子で報告した。

「港に、見慣れぬ艦が集結している。出港準備らしい。……南方か、それとも」

 室内が静まり返る。誰も言葉に出さなかったが、全員の胸に同じ疑念がよぎっていた。

(もし本当に米国を狙うのだとしたら――)

 やがて井口が重く呟いた。

「これは、数字以上に危険だ。……戦争の扉は、もう開かれたのかもしれん」

 高瀬は窓の外を見た。冬の夜空には星が瞬いている。だが、その光の下で、暗号と命令が静かに飛び交い、破滅へと国を導いていた。


第四節 研究員の沈黙

 御前会議から数日が経った。総力戦研究所の会議室は、奇妙な静けさに包まれていた。

 以前は統計表と討議の声で溢れていた空間が、いまやただの空虚な箱のように感じられる。

 高瀬は机の上の資料を見つめた。敗戦を予測する数字の列は、なお鮮烈な真実を刻んでいる。だが、その真実を聞こうとする者は、もうどこにもいなかった。

 井口が椅子に深く沈み込み、煙草に火を点けた。

「……我々は、もう舞台から降ろされたんだ。数字で未来を示したはずなのに、誰にも届かない」

 鉄道省の研究員が力なく笑った。

「否定されたわけじゃない。ただ、無視された。それが一番残酷だ」

 しばし沈黙が続いた。外からは街を走る市電の音と、子供たちの笑い声が聞こえてくる。研究員たちが胸に抱える暗い未来とは対照的な、あまりにも平和な響きだった。

 やがて高瀬は口を開いた。

「……我々に残された役割は、もはや抵抗ではない。証言者として、この時代を記録することだけだ」

 誰も反論しなかった。

 その言葉は敗北を認める宣言であり、同時に最後の矜持でもあった。

 蝋燭の炎が揺れ、壁に映る影だけが、彼らの存在を確かに記録していた。


第五節 市民社会の昂揚

 十二月上旬、東京の街は年の瀬の賑わいに包まれていた。

 百貨店のショーウィンドウには華やかな飾り付けが施され、喫茶店には若者たちの笑い声が満ちていた。新聞の一面は「日米交渉、なお継続」と踊り、見出しを読む人々は口々に安堵を語る。

「アメリカと戦争? そんな馬鹿なこと、あるものか」

「政府だって分かっているさ、戦争になれば国が潰れるって」

 ダンスホールでは軽快なジャズが響き、映画館の前にはハリウッド映画の看板を背にした長い行列ができていた。まるで平和が永遠に続くかのような錯覚を、人々は心地よく受け入れていた。

 その一方で、総力戦研究所の研究員たちは沈黙を守っていた。

 高瀬は休日、街角に立ち尽くして人々の笑顔を眺めた。

(彼らの信じる未来は、我々の知る未来とはまるで違う……)

 隣にいた井口が低く呟いた。

「市民が平和を信じるのは当然だ。……だが、信じているからこそ、この国は破滅に向かって突き進む」

 高瀬は返事をしなかった。心の中にあるのは、研究所で積み上げた数字――「二年で石油は尽きる」「海上輸送は壊滅する」――それだけだった。

 街の喧騒と研究員の沈黙。その落差は、夜の闇と街灯のように、あまりに鮮烈だった。


第六節 出撃の朝

 十二月七日未明。極東の港町を、冷たい海風が吹き抜けていた。

 湾内には、静かに並ぶ巨大な艦影。甲板には霜が降り、艦上に立つ水兵たちは黙々と作業を続けている。

 「総員配置に就け」

 低い号令が響き、錨鎖が軋む音とともに錨が巻き上げられた。

 重苦しい静寂の中で、艦隊はゆっくりと湾を離れていった。

 艦橋で、将校が短く呟いた。

「これより真珠湾へ――」

 その言葉は誰に聞かせるでもなく、しかし確かに歴史を刻む響きを持っていた。

 一方、遠く東京の研究所では、高瀬が不眠のまま机に向かっていた。窓の外はまだ闇に包まれている。

 奇妙な胸騒ぎに、彼はペンを置いた。

(いま、どこかで大きな歯車が動き始めた……)

 井口が眠そうに目をこすりながら言った。

「夜明け前の静けさは、嫌な予感がするものだな」

 外の空がうっすらと白み始める。街はまだ眠りの中だ。

 だがその静けさの裏で、艦隊はすでに太平洋の暗い波間を進んでいた。


第七節 最後の会話

 その夜、総力戦研究所の一室に、数人の研究員が集まっていた。窓の外は冷たい雨が降り、灯りに濡れたガラスが淡く光っている。

 机の上には使い古した報告書の束。端は擦り切れ、数字の列はなおも鋭く未来を告げていた。

 井口が口火を切った。

「……いよいよだな。艦隊は動いた。もう後戻りはできない」

 鉄道省の若い研究員が、両手を握りしめた。

「分かっていたことだ。それでも、まだどこかで奇跡を信じていた」

 沈黙が落ちた。雨音だけが窓を叩いていた。

 やがて高瀬がゆっくりと口を開いた。

「我々は敗北を予測した。だがその声は届かなかった。……ならば、我々に残されたのは、真実を記録することだ」

 井口が頷いた。

「たとえ歴史に埋もれても、誰かが掘り起こすかもしれん。その時のために、我々は存在した証を残さねばならない」

 一同は互いの顔を見つめた。誰の目にも疲労と諦念が浮かんでいたが、その奥にはかすかな決意が宿っていた。

 高瀬は窓の外を見た。街はまだ平和の眠りに沈み、人々は明日を信じて夢を見ている。だが彼には、その夢が砕け散る音が、すでに聞こえていた。

「明日、国は戦争を始める。……だが、我々は真実を知っていた。その記憶だけは奪われない」

 誰も返事をしなかった。ただ静かに頷き合い、蝋燭の炎がゆらめく中で、彼らは最後の沈黙を共有した。


第八節 開戦の報

 昭和十六年十二月八日未明。

 まだ夜明けの薄闇に包まれた東京に、ラジオの声が響いた。

 ――「帝国は米国および英国に対して宣戦を布告す」――

 短い一文が、国の運命を告げた。

 ラジオの前に集まった人々は、一瞬の静寂ののち、歓声を上げた。

「ついにやったか!」

「これで大東亜の新時代だ!」

 新聞号外が街に舞い、子供たちまでが「勝った、勝った」と声を弾ませて駆け回った。市電の車掌までが笑みを浮かべ、乗客に号外を掲げて誇らしげに読んでみせた。

 その熱狂の渦の中で、総力戦研究所の部屋だけは異様な沈黙に包まれていた。

 高瀬はラジオから流れる声を聞きながら、拳を机の上に固く置いた。

(これは勝利の鐘ではない。……敗北の鐘だ)

 井口が低く笑った。

「国民は歓喜している。だが、我々には分かっている。ここから始まるのは終わりへの行進だと」

 窓の外では、まだ幼い子供たちが号外を振り回して駆けていた。その笑い声は、未来を知らぬがゆえの無垢さに満ちていた。

 高瀬は目を閉じた。

 心に浮かぶのは、あの報告書の最後の一行――「二年以内に帝国は石油を失い、敗北する」――。

 それでも歴史は動き始めてしまった。

 誰も止められぬ歯車が、轟音を立てて回り出していた。

本作は「なぜ太平洋戦争は避けられなかったのか」という問いに、フィクションの形で迫る試みです。

数字が告げた真実、そしてそれを無視した人々の決断――。

その落差が、この国を「羅針盤なき航路」へと進ませてしまいました。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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素晴らしい!! ☆5入れときました!! 感無量です! こちらこそありがとうございました! _(_^_)_
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