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第二話:聖女の苦悩と影の兆候

乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私、エヴァンジェリン。

どの周回でも、私はヒロインを虐げ、最終的には断罪される運命だった。

しかし、この物語の「悪役」は、私だけではなかった。

真の敵を倒すためには、私が「悪役」として世界を救うしかない、と。



リリアに黒い影が近づいてくる。

彼女が人々から恐れられ、孤独に陥ることは、エヴァンジェリンが最も避けたかったことだった。


その力に抗うためにエヴァンジェリンは周回の魔力を解放することを決める。



さあ、物語の続きは本文で。

 兄との対峙から数日後、学園の魔術実習棟で、奇妙な噂が流れ始めていた。


「リリア様が、触れたものを枯らしてしまうらしい」

「聖なる力が、人を癒すどころか…」


 人々の囁きは、教室の隅でひっそりと花を育てていたリリアに向けられていた。

 彼女の表情は、数日前の無邪気さとは程遠く、罪悪感と怯えに満ちていた。


 私は、噂が広まる前に彼女を助けなければならないと焦っていた。

 彼女が人々から恐れられ、孤独に陥ることは、私が最も避けたかったことだ。


 リリアは、私の姿を見つけると、慌てて鉢植えを隠した。


「エヴァ様……どうしてここに? 私、今は……」

 彼女は、まるで私が穢れたものに触れるかのように、私から距離をとろうとする。


「リリア様。大丈夫ですわ。私は、貴女の味方です」

 私は、迷わず彼女に近づき、そっと手を差し伸べた。


 リリアは、私の手に触れることを躊躇している。


「だめです…! 私の力は、人を…傷つけてしまうんです!」


 彼女の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。


 私は、彼女の手を優しく包み込んだ。

 その瞬間、全身を突き刺すような、冷たい魔力の奔流が私を襲った。


 それは、温室で感じたものよりもはるかに強く、悪意に満ちた、凍えるような気配だった。

 リリアの聖なる力から、まるで毒のように流れ出るその魔力は、彼女の体を蝕んでいる。


(これだ……! 影の魔術師の魔力が、この子の中で増幅している!)


 その時、リリアが育てていた鉢植えのバラが、一瞬でしおれ、黒く変色した。

 その異様な光景に、周囲の生徒たちがざわめき始める。


「やっぱり……リリア様だ!」

「恐ろしい……」

 人々は、まるで悪魔を見るかのように、リリアから遠ざかっていく。


 リリアは、その視線に耐えきれず、その場にうずくまって泣き崩れた。


「私は、怪物だ……!」

 彼女の悲痛な叫びが、私の胸を締め付けた。


 私は、周囲の視線も気にせず、彼女を抱きしめた。


「違いますわ、リリア様。あなたは怪物なんかじゃない。あなたは、誰よりも優しい聖女ですわ」


 私の言葉は、誰にも届かないかもしれない。

 しかし、この言葉だけは、彼女に届けたかった。


 その瞬間、リリアの体から、影の魔術師の魔力が怒涛のように押し寄せ、私の魔力と衝突した。

 その圧倒的な力に、私の体が震える。


(……まだ、この力じゃ足りない)


 過去の周回で蓄積してきた魔力も、この強大な魔力には及ばない。

 私は、このままではリリアも、そして世界も滅んでしまうことを、改めて痛感した。


「エヴァ様……」


 リリアは、私の腕の中で、弱々しい声で呟いた。

 彼女の聖なる力は、影の魔術師によって利用されている。この子を救うには、そして世界を救うには、私はもっと強くなるしかない。


 人々から悪役として罵られようと構わない。

 兄に裏切り者と罵られようと構わない。

 私は、この大切な友情と、この世界を守るために、「真の悪」として覚醒しなければならないのだ。


 私の背後で、魔術実習棟の窓から、不気味な影が、リリアと私を見下ろしていることに、誰も気づいていなかった。

これは、孤独な悪役令嬢が、抗うことのできない運命の中で、


かけがえのない仲間たちと「居場所」を見つける物語。




リリアの力が黒い影に侵され始めます。


影の魔術師の存在を感じたエヴァンジェリンは本当の力を解放することを決意しました。




彼女たちの行く末を見守っていただけたら嬉しいです。



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