表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】断罪された悪役令嬢は、世界を救うために「真の悪」になる ~何周目かの人生で、ようやく見つけた私の居場所~  作者: ましろゆきな
第一章:善良な令嬢の仮面と不穏な影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/14

第一話:完璧な令嬢と、見抜く王子

乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私、エヴァンジェリン。


どの周回でも、私はヒロインを虐げ、最終的には断罪される運命だった。


しかし、この物語の「悪役」は、私だけではなかった。


真の敵を倒すためには、私が「悪役」として世界を救うしかない、と。


そんなエヴァンジェリンの真意を訝しむレオンハルト王子。


王子の目を欺き、自分の道を悪役令嬢は歩めるのか。


さあ、物語の続きは本文で。

 舞踏会の翌日、エヴァンジェリンは王城の一室に呼び出されていた。


 陽光が差し込む優雅な客間には、朝露をまとったバラが飾られ、甘く清々しい香りが漂っている。

 しかし、エヴァンジェリンの心は、この部屋の穏やかな雰囲気とはかけ離れた、張り詰めた緊張感に包まれていた。


「ようこそ、エヴァンジェリン嬢。昨夜は、素晴らしい夜会をありがとう」


 レオンハルト王子が、にこやかな笑顔で私を迎え入れた。

 その整った顔立ちからは、優しさと同時に、王族としての揺るぎない威厳が感じられる。

 彼は、断罪の舞踏会で私を絶賛した張本人だ。


「もったいないお言葉です、殿下。私など、ただ皆様の和を願ったに過ぎません」


 私は完璧な淑女の笑顔を浮かべ、差し出された紅茶に口をつけた。

 口の中で広がる上品な香りが、私の高鳴る心臓を少しだけ落ち着かせてくれる。


「ただの和……か」


 王子の声が、ふと真剣な響きを帯びた。

 彼は、私の言葉をまるで吟味するかのように、じっと私の瞳を見つめる。


「君のこの一年間の振る舞いは、王国の社交界を根底から変えた。

 リリア嬢との誠実な友情、そして何よりも、我が王家への献身……その類稀なる統率力は、社交界の模範と呼ぶにふさわしい」


 彼の言葉は、昨日と全く同じ、寸分の狂いもない「称賛」だった。

 私は、ただ微笑みを深くする。


「ですが、殿下……」


 王子の言葉は続いた。


「君は、その力と才覚を、なぜもっと早く示さなかったのか?」


 その問いに、私の完璧な笑顔に微かなひびが入った。


(来たわね、探り……)


 ゲームのシナリオでは、私はこの一年間、ヒロインを虐げ、高慢な態度で社交界の嫌われ者として君臨していたはずだ。

 しかし、この周回では、私はひたすら「善良」を演じ続けてきた。王子の言葉は、私の「演技」に気づいている可能性を示唆していた。


「恐れ入ります。ただ、公爵家の一員として、王家の名誉を傷つけないよう努めているだけですわ」


 私は、用意していた模範解答を口にする。


 その時、部屋の扉が開き、兄ルシアンが入ってきた。

「殿下、失礼いたします。妹がご迷惑をおかけしたかと」


 ルシアンの表情は、いつものように冷静で、感情を読み取ることができない。

 しかし、私に向けられた一瞬の視線には、凍てつくような冷たさが宿っていた。


(兄様にも、もう隠しきれない……)


 ルシアンは、私が「悪役」として覚醒することを家訓として求めている。

 彼にとって、私の「善良」な振る舞いは、家の名誉を汚す行為に他ならない。


 私を信じられない王子と、私を信じられない兄。

 私は、この孤独な板挟みの中で、ただひたすら完璧な淑女を演じ続けるしかなかった。


 部屋に張り詰めた空気が流れる中、私は再び紅茶に口をつけ、心の中で決意を新たにする。


(この平穏を、絶対に守り抜く。そのために、私がどんな嘘をつこうと……)

これは、孤独な悪役令嬢が、抗うことのできない運命の中で、


かけがえのない仲間たちと「居場所」を見つける物語。


次回、エヴァンジェリンを悪夢が襲います。


魘されるエヴァンジェリンを心配する兄ルシアン。


そんな場面が描かれます。


願わくば、この物語が皆様の心に、ささやかな光を灯すことができたなら幸いです。


感想やお気に入り登録をいただけると、とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ