日本崩壊後 その4
赤煉瓦の階段から、他の人たちも外へ出たようだ。その時、一人の青年が道路で立ち止まり、今の新宿の荒廃した景色に驚いていた。
「これは、ゲームのワンシーンだよ。そうだよ! ダウンロード版やったけど、OUTLINEにあるんだよ! ここで、プレイヤーを誰が操作するか決めるんだよ!」
「え? プレイヤー?」
「あ、ああ。キャラクターは全部で10人なんだ。そうだ。喫茶店のオーナーもいるんだよ。ここにいる人たちと同じ人数だし。……ゲームだと、その中で、プレイヤー。つまり、主人公は誰か決めるんだ」
上空を飛ぶ蜂や蝿の羽音が煩かった。
気温は暑くもなく寒くもない。
「プレイヤーって、誰が決めるのかな?」
さっきの私を呼び止めてくれた男が、青年の傍から言った。
「さあ、知らねえけど、多分、この場合。リーダーでいいんじゃね?」
「そう、リーダーね」
「ああ、あんたがなるかい? 別にいいけど」
「あなたは?」
「俺? いや、いいよお」
荒廃した新宿は、確かにどこかゲームの世界を彷彿させるかのようなビルディングの黒煙が規則正しく昇っている。
野鳥も蝿や蜂も、どこか機械のような規則的な動きをしていた。
「リーダーになると、何か不味いのか?」
「いや、俺は面倒だから……」
呼びとめた男と青年が話している間に、両親のことが不安になった私は一旦実家へ連絡してみようとした。スマホを取り出すと、コールした。
「今、どうしてるの?」
電話に相手が出る前に話していた。
だが、すぐに。
ツー、ツー、ツー、と電話が切れる。
実家には、母と父が今も駄菓子屋と年金暮らしという細々とした生活をしている。もしもという時のために、すぐに出られるようにと固定電話は繋がっているはずだが……。




