日本崩壊後 その2
「そう……」
赤煉瓦の階段は何ともなかったが、私は思い止まって、再び寝袋へ戻った。
「お、テレビがついたぞ!」
喫茶店のオーナーが、いつの間にかカウンター席に小型のテレビを置いていた。
デジタルテレビの液晶画面では、速報ニュースをしていた。それは幸多田インダストリー社が脳内にゲームを直接ダウンロードする技術を開発したと、ジャーナリストの声にニュースキャスターが、深刻な顔で聞いているというものだった。
「一体、何のことなの?」
「さあ……」
さっき、私を呼びとめた男性もテレビの内容に首を傾げた。
「脳内にゲームを?」
「ええ。これは簡単にいうと脳内をゲーム機に例えると、コントローラーは肉体になるのだそうですね」
「へえ……」
ジャーナリストの上気した声に、ニュースキャスターが一々相槌を打っている。
「それをインターネットに繋げられるプラウザゲームというものになったのが、今から丁度4年前なんです」
「つまり……知らない間に私たちの身体がゲームのコントローラーになっている?」
「そうなんですよ。そういっても、何ら間違いはありません」
喫茶店のオーナーも首を傾げた。
私は、他のチャンネルにしてと頼もうとしたら、急にテレビから番組中止の画面がでてしまった。