UTOPIA その4
次の日の朝。
今日も朝起きてから、のんびりと出社する。ここOUTLINEというゲーム世界を管理する幸多田インダストリー社内で、プレイヤー達の安全を守る。プレイヤー達の中に、リーダーらしき人物がいた。周りの人に指示をだしたり、長谷則さんと私が、せっかくoutにならないような安全な指示を一々確認していた。
昨夜は、このリーダーはプレイヤー達全員に休むようにと指示したのか、皆、眠りについていたようだ。
「あ、賢いな。この人」
「ええ。きっと、私と長谷則さんがだした指示を、安全だということを確認しているだけじゃないわね。ほら、時々、こっちを見ている」
プレイヤー達のリーダーは、こちらのモニターへ映る東京都全体に設置してあるビデオカメラの一つを見つめたりしていた。
「うん。どうやら、この人。男性のようだ」
「ええ。そうね」
ジーンズ姿のラフな格好のそのリーダーは、柔らかそうなウェーブがかかった髪の毛を撫でて、こちらへにっこりと笑った。
「どうやら、気が付いてくれたみたいだ。こっちは味方だってね」
「ふふふ……そうみたい」
「あ、西新宿のまるまるまじろにたどり着いたようだ。これで、こちらの指示ももういいみたいだ。あとは、高速道路だけだし」
「あ、高速道路に差し掛かったみたいね。こっちに手を振っているわ」
「それと、口を開いている。ありがとうって、言っているようにみえるね」
「ええ……」