日本崩壊後 その12
「いや、はっはっはっはっは! もう、人数もだいぶ減ったし、これで管理しやすくなったぞ! あははははははは!」
ゲームマスターは、愉快で堪らないといった感じで、軽快に笑い続けた。
私は、さすがに腹も立ち。
何か一言いおうとした。
だが、ゲームマスターは、ここで意外なことを言いだした。
「ふう。……合格だ。それじゃあ、木ノ神くんと長谷則くん? だったね? 君たちには、仕事をしてもらうことにする」
「し、仕事ですって?! ふ、ふざけないで!」
「ふふふ。ふざけてなんかいない。さあ、そこから、外へ出て。そう。喫茶店から小道にまた戻って、大通りにでてくれればいいんだ。あ、今度はちゃんと歩かなくてもいいんだよ。じゃ、一旦。電話を切るよ」
私は、長谷則に電話でのやり取りを知らせ、慎重な歩きで小道へと向かった。
「今の電話が、ゲームマスターから?」
「そうよ」
規則的な野良犬の吠え声のする小道を進んでいると、またスマホの着信メロディーが鳴り出した。
「やあ、そこから少し先にあるビル。君たちには、目の前にある。あの大きなビルが見えるだろう。そこは、幸多田インダストリー社の支社だ。そこで、働いてもらうんだ。仕事内容は、OUTLINEというゲーム内の総合管理だ。清掃。人事。システム開発など。OUTLINEという君たちが今いるその世界そのもののゲーム内で、そこで、自分たちで自分たちの世界を運営してもらうのさ。どうだい? とても興味深いだろう。給料ははずむよ」
そういえば、ここへ来てから夜中だったのだが。この世界。OUTLINEの世界には、朝も昼もないようだ。まだ、それほど時間は経っていないのだろうが、腕時計を見てみると、もう朝の5時になっているからだ。なのに、東の空はちっとも明るくはならない。
「ゲームマスターは、一体どこから電話を掛けてるのかな?」
「さあ、多分。とても散らかっている机からよ」
長谷則の問いに、私は皮肉を返した。