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日本崩壊後 その10

 大通りから交差点を一つ渡って、電柱の角を曲がり。フライドチキンと寿司の店の真ん中にある小道を歩いた。息が切れてきてから、ウンザリとして私は腕時計を確認した。


 あと7分だ。


 3分という貴重な時間が過ぎ去っていた。


「一つ言い忘れたんだよ。肝心なことを……木ノ神さん。あんたなら、なんとかできるだろうさ」


 戸田が、私と同じ早歩きの状態から話し掛けて来た。 

 私は、戸田が言う肝心なものという事よりも、早歩きに専念したかった。

 長谷則は、もうあんなに遠くを歩いている。


「何? 後にして、あと7分よ!! 7分しかないの!!」

「いや、俺のいいたいのは……山口 理恵さんたちのことだよ。生き返るんだ。あることをするとな。簡単に……」

「え? 悪いけど、もう6分もないわ!!」

「あー、きっと。俺は……なあ、木ノ神さん。後は頼んだぜ……」


 戸田が、急にぐらりとして倒れた。


 それでも、私は前を歩いた。


 ところが、前を歩く長谷則が意外な行動にでた。回れ右して、戸田のところに前進していったのだ。


 グングンと前進する特殊な歩き方は、やはり何かの武道をしているのだろう。それも、かなり熟練した歩き方だ。


 私も、何故か長谷則の後を追った。


 規則的な野良犬の吠え声が聞こえる小道で、戸田は倒れていた。長谷則が戸田の右足を指差した。そういえば、一見しただけでわかるはずだ。そこには、戸田の裸足が伸びているだけだったが、右靴が無かったのだ。


「うん。どうやら、歩いている際に、右靴をどこかに無くしたんだ。きっと、普段から靴をちゃんと履いていなかったんだよ」

「それで、バランスを? それじゃあ、戸田さんはoutじゃないの?」

「いや、ほら。息をしているけど、意識がない。転んだだけじゃ、こうはならないさ」

「え?」

「ううんと、歩いて。だから、きっとバランスを崩してもダメなのだろうな。しっかり、歩いていないといけないんだよ」

「……」

「さあ、喫茶店までちゃんと歩いて行くよ」

「……ええ」

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