日本崩壊後 その9
「そうそう。だから、早く行った方がいいかもな。その「まるまじろ」まで。さあ、行こうよ」
戸田が急かして来た。
「「まるまるまじろ」よ」
「行こうか。その喫茶店まで」
「じゃあ、西新宿まで歩いて行くわよ!」
野鳥や蝿などが上空で、飛びまわる中で、どうやら西新宿まで真剣に行かないといけなくなった。長谷則まで私を急かすので、私と腹野と新居田も早川も緊迫してきた。
「自転車使えば楽だぞ。人数分ないけど……」
腹野がポツリと言った。
「なら、車の方が良くない?」
新居田も言うが、どこか不安気な声音だ。
「あ、乗り物はダメみたいね」
私は、ゲームマスターから言われたことを思い出した。
「そんな! 自転車も車もダメなら、走るしかないじゃない!?」
真っ青な顔の早川が、いきなり西新宿の方向へと走り出した。それから、腹野と新居田も走り出すが……。
「あ! 走っちゃダメ!」
長谷則と戸田も走ろうとしていた。
早川が、私の声を聞いて立ち止まったが、急に倒れてしまった。
「あ! outだ?!」
「……?!」
戸田と長谷則が、それを見て勢いよく立ち止まった。
「ごめん! 言うのが遅くなったけど、走るのもダメって、ゲームマスターが言っていたわ!」
腹野と新居田も倒れてしまった。
「そんな……」
私がゲームマスターのルールを、そのまま言わなかったせいで、一瞬のうちに三人も倒れてしまった。
「早く歩くんだ!! 倒れた人達は今は放っておいて!」
長谷則が叫び、速足で前進した。
何か武道でも学んでいるのだろうか?
そのうしろで、戸田が笑って、早歩きした。
私も西新宿まで、生まれて初めて危ないほどの速さで歩いて行くことになった。