日本崩壊後 その8
「電話で何を話しているのかはわからないけど、逆らわないほうがいいよ」
さっきまで、首を左右に振っていた長谷則が忠告してきた。
私は落ち着いて、通話を続けた。
「outって、何?」
「ほらほら、君たちにあまり時間はないのではないかね?」
「ちょっと!!」
「さあ、行った。行った……。outと言っても、君が思っているほど、深刻なものではない。ただ、この世界から消されないといけなくなるんだがねえ」
「え?? 消されないといけなくなる?」
ツー、ツー、ツー、と電話が切れた……。
「何? 電話に誰が出たの? 木ノ神さん?」
正気を取り戻した戸田が、こちらを窺う。
「えーっと、西新宿にある喫茶店「まるまるまじろ」まで、10分以内に歩いていかないといけないって……」
「きっと、ゲームマスターだよ。そいつ。電話に出た奴……」
戸田の言葉に首を傾げていると、長谷則が、こう答えた。
「あ、ゲームの世界だから、その世界を統括している人物がいる?」
「ああ、きっと、幸多田インダストリー社の社員の誰かだろ? そいつがゲームマスターやってるんだよ」
長谷則の答えに戸田が応える。
「……OUTLINE? ここはOUTLINEっていうゲームの中ってわけなの?」
私は、歩いて西新宿まで13分はかかることを思い出した。