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『異界樹物語』  作者: 大井翔
第三章

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第135話 迫る危機と揺れる感情

魂光の湿原――。

エピメスから目印だと言われた地点に辿り着いた瞬間、背後の空気がかすかに揺らぐ。

振り返ると濃霧をかき分けるようにカティフラクトが現れた。

その視線には逃がす余地を一切認めない冷たい鋭さがあった。

背後では湖面が底知れぬ静けさで広がり、逃げ場のない現実を突きつけてくる。


「やはり怪しいと思っていたが……裏切り者だったのか。それで、この後はどうするつもりなんだ?」


湿原の重い空気に声が溶け、湖面へ落ちる波紋のように消えていく。


「……違う。裏切る気なんかない。エピメスにこの場所までひとりで来いと言われた。だからお前たちとは行動を別にした」


「では何故、我々へ知らせなかった?貴様の行動は煌月家への重大な背信と変わらん。王国に背を向けるつもりか」


苛立ちを隠さない声だった。

だが俺は呑まれないようにゆっくり息を吐き、胸の奥のざわつきを押さえつける。


「俺は王国にも帝国にもつかない。俺は俺の意思で動く。今はパンドラを助けたい。それを最優先にしてるだけだ。嘘は言ってない」


「……つまり貴様は煌月守衛軍ではなく、魔影軍の軍団長を信じると言うわけだな」


「へっ。パンドラを敵に連れ去られる守衛軍に無条件で信頼しろってほうが無理だろ」


一拍置いてから返したが、その一言が予想以上に鋭く刺さったらしい。

カティフラクトの表情に、ゆっくりと怒気が滲む。


「貴様……我々を愚弄するか」


その瞬間だった。

彼は左手で右腕を抑えながら、ためらいもなく詠唱に入った。

魔力が掌へ集中し、肌を刺すような圧が広がった。


「もう逃げ場は無い。――スピリ アクティス」


白い閃光が湿原の空間を一直線に突き抜け、泥と水を鋭く押し分けながら迫ってきた。


「くっ……!センソーラ!」


反射を超える速度で俺は人差し指と中指を伸ばし、迫りくる閃光魔法の律動へ意識を合わせる。


――ズンッ!!


衝撃が骨の奥を震わせ、肺が掴まれるように収縮する。

それでも声を絞りだし、全身の力をぶつけた。


「はあああああっ!!」


力任せではなく魔力の流れを読み、閃光魔法の構造を割るように両腕を左右へ振り抜く。

閃光の表面が裂け、中心から左右へと割れていき、白い粒となって霧散した。

湿原に鋭い衝撃音が走り、水と泥が混ざりあい、空へ散った。


「ば……馬鹿な。スピリ アクティスを分解しただと?」


カティフラクトの声には明らかな動揺が混ざる。

だが、油断する余裕なんて欠片もない。

こいつの魔力と魔法の密度を考えれば、いずれ押し切られる。


再びカティフラクトが腕を構える。


「今度はかわせるかな?スピリ フォティノス!」


今度は先ほどよりも小さい閃光が飛んできた。


(下位魔法?何を狙って――)


俺はセンソーラ使って右腕を最短距離で払って閃光魔法の軌道をずらす。

だが、弾いた閃光の後にまた閃光が迫っていた。


(まさか、閃光魔法の連射?)


首をわずかに傾けて回避する。

だが、間を置かずに新たな閃光が迫る。

一拍ごとに重なり、途切れのない連射となって押し寄せてくる。

それでも俺は一歩も下がらず、センソーラで先読みをしながら最小限の体捌きだけで軌道を外し、前へ進む。


そして、踏み込みの反動に合わせて――


「くらえ!インフィニット デストラクション パンチ」


渾身の一撃を叩き込む。


だが――。


「無駄だ!ステレオン アイギス」


拳が届くより早く青白い薄膜が瞬時に展開し、硬い壁のような反発で拳を弾き返した。


「ぐっ……」


(こいつの防御魔法……たしか、煌月守衛軍の中でも一番堅いんだっけ……)


すぐさま後退し、距離を取る。


(今、この場でこいつと戦っていても、もたもたしていたら他の煌月守衛軍のやつらが来てしまう。何とかして逃げるしかない)


後退した足が静かな水面を踏み、冷たい感触が足首を包んだ。

そのひやりとした瞬間に――記憶が蘇る。


――泳ぐ。


そういえばエピメスはパンドラを背負ったまま完璧な動きで泳いでいた。

煌月家には泳ぐ習慣がないとパンドラが言っていた。

なのに帝国のあいつは呼吸すら乱さず、当然の動作のように水を進んでいた。

あれが偶然であるはずがない。


――そうか。

帝国の隠しアジト――それは、俺のすぐ背後に広がる湖の底。


そう気づいた瞬間、カティフラクトが怒気を帯びた声で迫ってきた。


「貴様はやはり普通ではない。パンドラ様が目を留める理由も今なら理解できる……だが、あまりにも危険だ。この場で排除する」


踏み込んだ足が泥を跳ね上げ、その飛沫の軌道を切り裂くように、右手へ白い魔力が凝縮していく。

収束した光は一点へ締め上げられ、まさに俺へ向けて撃ち放たれようとしていた。


「いくら魔法を解体できようとも、直接触れられては防ぎようがあるまい!」


その言葉は反論の余地もなく正確だった。

センソーラは魔力の構造をほどくことはできても、魔法そのものを無効化する力ではない。

ネイラの氷の魔法に直接触れられた時の背へ染み込んでいったあの冷たさが蘇る。

もしカティフラクトが俺の身体へ触れたまま閃光魔法を撃ち込んだら、その瞬間に俺の身体は貫かれる。


逃げ場を探す余裕など、どこにもなかった。

残された道はただ一つだけ。思考を挟む隙間すら許されない決断だった。


――湖に飛び込む。


息を大きく吸い込み、躊躇を断ち切って、そのまま水へ飛び込んだ。


「な、なんだと……?」


背後で驚愕の気配を感じたが、それはもう届かないところにあった。

水面を破った瞬間、冷たさが全身を包み込み、耳の奥で水圧が鈍い音をつくる。

息を止めたままさらに深く潜る。

だが、背後から近づく気配を察し、一瞬だけ後方を見た。


(……追ってきやがった)


泳ぐ習慣の無い煌月守衛軍が水中戦など想定しているはずもない。

それでもカティフラクトはためらわず飛び込んできた。

その覚悟の強さは追われる側だからこそ痛いほど伝わってくる。


だが――


一定の深さを越えた瞬間、彼の姿は急に視界から薄れていった。

光の乱れのせいか、距離が開いたのか、それとも彼自身が引いたのか。

何が起きたのか判別できないまま、気配だけがすっと薄れて消えた。


(……消えた?戻ったのか?いや、まだ近くにいる可能性もある)


胸のざわつきを無理やり抑えながら、さらに深く潜っていく。


やがて、前方から巨大な影が浮き上がっていった。

岩ではない。

自然に形作られたものとは違い、輪郭が滑らかすぎる。


(……建物だ)


さらに接近すると表面を覆う魔法の障壁のようなものが淡い光を放ち、水を押し返しながら内部の空気を保っているのが見て取れた。


(エピメスの言っていた隠しアジトって、この中なのか?)


指先でそっと障壁に触れると押し返すような反発が返ってくる。

外から強引に破るのは無理だと一瞬で分かった。


高い場所から飛び降りれば怪我をする可能性があるため、障壁に沿って泳ぎながら屋上に着地できそうな場所を慎重に探す。

障壁からは細く小さな管のような突起が湖面に向かって幾つも伸びていた。

その内部では規則正しく気泡が上昇している。

おそらく空気循環のための構造だろう。

その脈動が障壁にわずかな揺らぎを生み、周期的に緩む箇所がある。


その揺らぎの合間を狙える位置まで移動し、肺に残る酸素を整えて二本の指を前に出した。


(……ここなら突破できる。センソーラ)


指先を軽く突き出すと魔力の揺らぎに合わせて障壁が歪み、中心から静かにほどけていく。

そこへ身体を滑り込ませ、体を押し込むように抜けると、固い屋上が足裏を受け止めた。


「よし!入れた……けど、カティフラクトに見られていたら最悪だな。急いでパンドラを探さないと」


屋上の扉を押し開き内部へ降りると、建物は思っていた以上に老朽化していた。

壁は湿気で黒ずみ、所々が崩れかけている。

それでもここでは人が生活しているのがよく分かる。

階下を行き交う足音、複数の話し声が絶え間なく響いていた。


壁際に掛けられた黒いローブを手に取り、素早く羽織る。

今は外見を隠すことが何よりも重要だった。

足音が近くを横切るが、ローブのおかげで周囲から視線を拾われにくい。


(……ルナ、パンドラ。本当にここにいるのか。頼む、いてくれ)


階段を下りると視界が一気に開けた。

そこには湖底に沈んだアジトを丸ごと空気で包み直したような光景が広がっていた。

天井に反射した湖面の揺らぎが、あちこちへ淡い青光を落としている。


行き交う者たちは皆、足早で、どこか張り詰めている。

顔はローブに隠れているが、その気配だけでここがただのアジトではないと分かった。


(ルナ、パンドラ。どこにいる。必ず見つけるからな)


数分ほど歩いたとき、建物の影から複数の声が漏れ聞こえた。

周囲の声に埋もれていてもおかしくないのに不思議と、その声だけが輪郭を持って耳に届いた。


(この声は……間違いない……ルナの声だ)


胸が強く脈打ち、思わず足が止まる。

声のする方を見ると狭い路地の奥に小さな扉があり、数人が前で話していた。

表情は見えないが、声の抑揚、息継ぎの癖、語尾へ残る微かな揺れ――

記憶の中のルナの声と同じだった。


だが、扉の周囲には緊張の気配が滞り、とても近づける雰囲気じゃない。

一歩近づけば必ず気づかれる。


(……ルナが一人になるまで待つしかないな)


俺は路地の角に身を寄せ、しばらく動かなかった。

話し込んでいた者たちは短い確認だけを交わし、余計な言葉を残さず、ひとり、またひとりと姿を消していった。

最後に残ったルナは建物の奥へと歩き、扉の向こうへ静かに姿を消した。


(今しかない)


喉の奥で乱れた呼吸を整え、気配を限りなく消しながら建物の脇へ回り込む。

薄い窓枠の向こうに揺れる灯火の影がひとつだけ見えた。

中から響く足音は一人分だけで、そのまま部屋の奥へと遠ざかっていく。

それを確かめた瞬間、窓枠に手をかけ、指先で軋みを確かめながらゆっくり持ち上げた。


小さな金属音さえ許さない緊張の中で、窓は驚くほど静かに開いた。

俺はローブの裾を抑え、身体を細く折りたたむようにして窓から部屋の中へ静かに侵入した。


狭い部屋には淡い灯火がひとつ揺れているだけで、ルナは中央の机に片手をつき、紙片に目を通していた。

背を向けたまま、こちらの侵入に気づいた様子はない。

深く考え込んでいるのか、わずかな衣擦れにも反応しない沈黙が続いている。


俺はゆっくりと距離を詰める。

すぐ背後まで近づいた。もう、手を伸ばせば触れてしまう距離だ。


その一瞬――迷いはなかった。


俺は右手を伸ばし、彼女の口元をそっと塞いだ。


「――ん……っ、ん……!」


肩が固まり、体が小さく跳ねるように反応した。

抵抗ではなく、理解が追いつかない反射のような動きだった。


「……よう、ルナ、落ち着け。俺だ」


囁いた瞬間、彼女の震えはふっと弱まり、浅かった呼吸がわずかに整っていく。

その変化が手のひら越しに伝わった時、胸の奥で不安でも安堵でもない奇妙な感覚が波のように押し寄せた。


(……本当に、ここにいたんだ)


ここに辿り着くまでの道のりが一気に蘇る。

俺はそっと口元から手を離し、警戒しながら耳元に声を落とした。


「……説明してくれ。どうしてパンドラをさらったんだ。どうしてこんな場所にいるんだ。全部……教えてくれ」


その次の瞬間――

頬に強い衝撃が走った。

乾いた音が室内に吸い込まれ、思わず視線が揺れた。


「……え……?」


ルナは俺の頬を打った手を震えさせたまま、こちらを見ていた。

怒っているようで、泣き出しそうで、けれどどちらでもない表情だった。


「……バカ……!」


絞り出すような声。

怒鳴るでも泣き叫ぶでもなく、喉の奥でもう一度飲み込んで、それでも出てきてしまった声だった。


「どうして……どうして来たの……?手紙に書いたのに……!絶対に来ないでって……」


胸の奥で拳がわずかに震えていた。

怒りでも安堵でもない、言葉にできない感情がその震えに染み込んでいる。


「ここに来たら……もう上の世界に戻れなくなるかもしれないって……あなたは何も知らないまま……全部巻き込まれて……それでも……どうして来たの……?」


声にならない息が喉の奥で震え、必死にこらえても目の奥で涙が滲んでいるのが見えた。

俺はただ、その言葉を受け止めるしかなかった。

殴られる痛みなんてどうでもいい。

彼女の震えも、途切れた言葉も、どれもが……彼女の気持ちそのものに思えた。


ルナは拳を胸元に押し当てたまま、うつむいた。


「……ねえ……私……あなたに、こんな場所で死んでほしくない……来ないでって書いたのは、突き放したかったわけじゃない……本当に……本当に……ここに来たら……あなたが、危険な目に遭うかもしれないから……」


言葉が続かず、浅い呼吸だけが残った。

震えるその息に、かすかな泣き声が混じっていた。


「どうして……どうして来ちゃうの……?来てほしくなかった……でも……来たら……もう……私は……っ」


そこで言葉が途切れた。

泣くまいとする意地が残っているのに、涙がこぼれそうになっているのが分かった。

だから俺は静かに答えた。


「……怖かったんだ。ルナがどうなってるのか分からなくて。生きてるのか、苦しんでるのかも分からなくて。そんな状態で……待てなかった」


ルナは顔を上げた。

滲む涙をぎりぎりで堪える目が、まっすぐ俺を捉えた。


「……バカ……ほんとに……バカ……」


その言葉は叱責ではなかった。

会えた安堵と、守りたいという本能に近い恐怖と、どうしても押し込められない複雑な感情――それらが同時に溢れ、混ざり切らず零れた声だった。


ルナは胸の前で固く握っていた両手をそっと下ろし、小さく息を吐いた。

一拍の静けさが訪れた。

その沈黙の中で俺は呼吸を整え、乱れた心をどうにか落ち着かせた。

わずかな間を置いてルナが静かに口を開く。


「……でも、どうやってここまで来たの?ここは湖の真下だよ?」


驚きと呆れが半分ずつ混じる声だった。

この状況でもなお俺の行動が理解できないと言わんばかりの表情だった。


「え~と……エピメスにここの場所を教えてもらってさ。湖を泳いで潜って、あの魔法の層を無理やり突破して来ちゃった」


言った瞬間、ルナの目が大きく見開かれた。


「……はぁ?本当に天空はバカね。ここまで来るには小型の魔法船に乗る必要があるの。力任せで突破したなんて聞いたことないわよ」


「いや、そんな大事な説明はエピメスからされなかったんだよ……。それと、もう一つ……すげぇ言いにくいことがあるんだけど」


ルナは、あからさまに嫌そうな目を俺へ向けた。

どうせまた面倒事を抱えてきたんでしょうと、言葉よりも強い圧で伝えてくる視線だった。


「……何なの?」


「ここに来る途中で煌月守衛軍に追われてさ。で……逃げてる最中に見つかっちまったんだよ。たぶん、このアジトの場所もバレた」


息を整える暇もなく、ルナの顔色が変わった。


「……っ、やっぱり……!大変だわ。天空、ついて来て!」


ルナは一瞬で扉を開けると、そのまま外へ駆け出した。


「お、おい!」


その背を追い、俺も慌てて外へと飛び出す。

彼女は驚くほど速く走っていた。

その動きに俺は一瞬だけ目を奪われる。


「ルナさ、足速くなったよな……。それに、なんか雰囲気変わったな。髪も長くなってるし」


「天空も前より背が高くなったんじゃない?それに……筋肉がすごい」


「まぁ、下の世界に来てから色々あったしな。ここに来るまでマジで大変だったんだよ」


走りながら交わす言葉は、ほんの短い間だけ昔に戻ったようで、その感覚が胸を締めつける。

懐かしさと、もう戻れないという現実。その二つが会話の隙間から滲み出る。


やがて岩で構築された洞窟のような建物の前へ辿り着いた。

入口には数人の兵士が立っている。


「ルナ様、どうされたんですか?」


「ラザロに会わせて。緊急よ」


兵士の視線が俺に移る。


「そちらの方は?」


一瞬だけ、ルナはためらいがちに俺を見た。

ほんの刹那の沈黙――その後で驚くほど強い口調になった。


「私の彼氏よ!さっさと通しなさい!」


「……はぁ?」


思わず声が漏れた。

俺も、兵士たちも同時に固まった。

静かな洞窟の空気が一瞬止まったように思えた。


「急いでるの。通して」


「は、はい!」


兵士たちは慌てて道を開け、俺たちはその間をすり抜けるように進んだ。


「なぁ……あれ……マジなのか……?」


「いいからついて来て。説明してる時間がないの」


歩きながらも彼女の表情には焦りが滲んでいた。

ただ、その中に潜んでいた先ほどのひと言が俺の胸に妙な熱を残している。


――私の彼氏よ。


その言葉の真意を確かめる余裕なんてなかった。

なのに胸の奥に走る足音とは別の熱い鼓動がこっそり響いていた。


ルナの歩調はさらに速くなる。

待つのはラザロ――そして、この先にあるものは出会いか衝突か、まだ分からない。

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