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『異界樹物語』  作者: 大井翔
第三章

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第131話 願いの行方と秘めた思い

あれから二日が経った。

俺は自室のベッドに横たわり、天井の淡い光をぼんやりと見上げていた。

部屋を包む静けさの中で、あの夜の感触がまだ肌に残っているような気がした。


玉座の間で取り乱したパンドラは、俺を抱きしめたまましばらく動かなかった。

その手の震えは冷たさでも恐れでもなく、迷いを抱えたような優しいぬくもりを帯びていた。

やがて彼女は静かに身を離し、表情を整えると、煌月家の当主として俺に褒美を与えると告げた。


だが、俺はすぐに返事をしなかった。


「少しの間だけ考えさせてくれないか?」


その言葉にパンドラは穏やかに頷いた。


「ええ、オーシャン。あなたのお願いなら、わたくしにできる限りのことをいたしますわ」


その後、彼女は城の中を案内してくれた。

長い廊下をジェラントスと三人で歩いていく。


「オーシャン、よろしければこれから城内をご案内いたしますわ」


その声は誇らしさの奥にかすかな震えを含んでいた。


城の内部は夢と現実の境にあるようだった。

天井には繊細な彫刻が施され、夜空の星々を模しているかのように淡く輝いていた。

壁面には半透明の鉱石が埋め込まれ、光が差し込むたびにゆらめく光彩が走る。


そして――歩を進めるたびに壁に飾られた肖像画が目に入った。


どの部屋にも、どの階にも、パンドラの肖像画がある。

正装の姿、微笑む姿、そして目を閉じた静かな姿のもの。

そのどれもがこちらを見ているようで、俺は思わず足を止めた。


「なんか……パンドラの肖像画ばっかりだな。歴代のとか、両親のはないのか?」


俺がそう言うと、彼女はわずかに眉を寄せた。

その横でジェラントスが一歩前に出る。


「パンドラ様の父君と母君の肖像画は煌月家のしきたりにより処分されております。当主が代替わりするたびに先代の痕跡は一切残さぬようにしておるのです」


パンドラはわずかに俯き、静かに息を吸い込んだ。


「……そうでしたわね」


その声は、ほんのわずかに震えていた。

俺は思わず口を開いた。


「え……じゃあ、家族写真とか、そういうのも一枚も残ってないのか?」


ジェラントスが静かに答える。


「ええ、ございませぬ。当主様にとって、過去は栄光ではなく、重荷とされておりますゆえ」


パンドラは無言のまま、一枚の大きな肖像画の前で立ち止まった。

そこには、まだ幼い頃の彼女が描かれていた。

深紅の髪を背に流し、正面を見つめる瞳は幼さの奥に強い意志を宿している。


「この絵が描かれたのは、わたくしが十歳のときですわ」


淡い光がその横顔を照らす。

瞳の奥に、かすかな孤独が浮かんでいた。


「過去を捨てるのも家の務めですのよ。……けれど時々、思うのですわ。わたくしがこの城に生まれた意味も、こうして肖像画に残る意味も、きっと誰かに見てもらうためだったのかもしれませんわね」


ジェラントスは何も言わず、ただ静かに頭を下げた。

彼女の言葉の重さを知っているのだろう。


俺はその横顔から目を離せなかった。

彼女の目の奥に当主としての宿命と、ひとりの少女としての痛みが交わっていた。


「パンドラ……お前は、ずっとこの城にいるのか?」


「ええ。煌月家の血を継ぐ者として、この城と共に生きていきますわ。……たとえ全てを失っても、この場所だけは、わたくしの帰るところでしてよ」


その声には静かな決意と少しの哀しみが滲んでいた。


廊下の先に、もう一つの扉が見えてくる。

そこだけ空気の質が違う。

他の部屋には温もりがあるのに、この場所だけは冷たく重たい何かが漂っている気がした。

俺は思わず足を止める。

パンドラもジェラントスもそのまま通り過ぎようとしたが、俺は小さく声をかけた。


「……この部屋は?」


パンドラが振り向いた。

その表情には、いつもの笑みの奥に一瞬の翳りがあった。


「この部屋は――わたくしの兄の部屋ですわ。けれど、兄はわたくしが幼い頃に行方をくらましまして……今はどうなっているのか分かりませんわ」


「へぇ……パンドラに兄貴がいたのか。きっとパンドラみたいにすごい魔力を持ってるんだろうな」


軽く返したつもりだった。

だが、その瞬間、ジェラントスの表情がかすかに曇った。

目は沈み、ほんの一瞬だけ、何かを言いかけてやめたように見えた。


パンドラは俺の言葉に応えず、ただ無言で扉を見つめていた。

その視線は、まるでここに閉じ込められた時間を思い出しているかのように。


「入ってみましょう」


「パンドラ様……おやめになった方がよろしいかと」


ジェラントスの声には、いつになく焦りが滲んでいた。

だが、パンドラはその忠告を聞き入れず、静かに手を伸ばした。

冷たい金属の取っ手がかすかに鳴り、扉は音もなく開いた。


「パンドラ?どうした?」


返事はなかった。

ただ、開かれた部屋の奥から長い年月の閉ざされた空気がゆっくりと流れ出てきた。

湿り気を帯びた埃の匂い、古びた木の軋む音。

そこは、生者の気配が消え、時間だけが静かに眠り続けている場所だった。


パンドラは片手を軽く掲げ、静かに呟いた。


「――レフコ フォティノス」


淡い光が掌から広がり、部屋の内部を照らし出す。


そこは時が止まったままの空間だった。

床には厚く埃が積もり、机の上には開いたままの古書と羽ペンが残されていた。

干からびたインク瓶、倒れたままの椅子――どれも誰の手にも触れられず、ただ時間だけが過ぎていった。


壁には無数の刻み傷があった。

それは爪で引っかいたようでもあり、何かを刻みつけようとした跡のようでもあった。

形は不揃いで、何を示しているのか分からない。

だが、不思議とどれもが同じ一点――部屋の中央を目指して掘られていた。


俺は息を呑んだ。

空気が重い。

まるでこの部屋そのものが誰かの息を潜めているかのようだった。


そして――部屋の奥に一枚の大きな肖像画があった。


その額縁は黒檀で縁取られ、他のどの絵よりも古く、重厚だった。

描かれているのは漆黒の髪を持つ青年。

整った顔立ちにはどこかパンドラの面影があり、だがその瞳だけが別人のように暗く、冷ややかだった。


光が当たるたびにその瞳がかすかに揺らめいた。

だが、それは光のせいではなかった。

確かに俺を見ている。


「……パンドラ、この絵、まさかパンドラの兄貴なのか……?」


言葉が喉に詰まった。

肖像画の中の男の視線が確かに動いたように見えた。


パンドラの表情がかすかに曇る。

指先が震えていた。

ジェラントスは沈痛な面持ちで頭を垂れた。


「パンドラ様、どうか……お戻りを。この部屋に長く留まるのは、お体に障ります」


しかしパンドラは動かなかった。

瞳はただ、その肖像を見つめていた。


「兄の部屋を開けたのは今日が初めてですの。……それなのに懐かしい気がいたしますわ」


彼女の言葉に俺は何も返せなかった。

部屋を出たあと、パンドラと食事を取り、そのまま夜を迎えた。


翌日、ようやく二人きりで話す機会が訪れた。

だが、彼女は俺に多くを語ろうとはしなかった。

煌月家の当主である以上、これからも帝国に狙われる運命にあること。

そして――もう俺を巻き込みたくないという気持ち。


確かに、あの瞬間――彼女が俺に飛び込んできた温もりが胸の奥の迷いを拭い去った。

だが、心の底に残るひとつの影だけは消えなかった。


エピメス。

あの男の存在がどうしても頭から離れない。

パンドラを命懸けで守ったはずの男が、魔影軍の軍団長だったという事実。

裏切りなのか、それとも別の理由があるのか。

真実を知りたかった。

だからこそ捕らえられているというエピメスと直接話したいと願ったのだ。


しかし――パンドラは首を横に振った。

彼と会うことは許されなかった。

理由を尋ねても、彼女はただ「今はまだ早いのですわ」と告げるばかりだった。


その後も俺がどうして上の世界からここへ来たのか、どんな目的で動いているのか――彼女は一言も尋ねなかった。

まるで知ろうとすれば何かが壊れてしまうとでも思っているように。


沈黙が短く続き、やがて俺は話題を変えた。


「なぁ、パンドラ。お前、俺に褒美を与えるって言ったよな?それなら――俺をアルテミスハースト城に連れて行ってくれないか?」


彼女はわずかに目を瞬かせ、それから穏やかに微笑んだ。


「アルテミスハースト城にですのね?……よろしいですわ。わたくしの名を通して、あなたをお連れいたしますわ」


「本当か?」


あまりにあっさりと承諾したことに言葉を失った。

理由を尋ねることもなく、ただ頷くだけ。

彼女が何を考えているのか分からなかった。


だが――それで十分だった。

これで、イヴァンとルナを救う道がようやく開かれたのだから。


「では明日、戻ってきた煌月守衛軍にお願いして、同行を手配いたしますわ」


「戻って……きた?」


小さく首を傾げたが、それ以上は聞かなかった。

胸の奥に生まれた違和感を押し込め、ただ小さく頷いた。

……これでいい。

これでようやく、あの城へ行ける。


◇ ◇ ◇


翌朝。

俺はアルテミスハースト城へ向かう支度を整えていた。

バッグの中にはパンドラがくれた通行証と簡単な食料がいくつか詰められている。


「……時間だ」


外から声がした。

扉に近づくと無機質な声が天井から響く。


『オーシャン様が退出されます』


機械のような音声が淡々と告げると同時に扉が静かに開いた。

そこにはタナエルが立っていた。


「……行こう」


俺は小さく頷き、彼の後ろを歩く。

廊下には朝の冷たい光が差し込み、息を潜めるような空気が満ちていた。


「あんたがアルテミスハースト城まで同行してくれるのか?」


「いや。今はパンドラ様のために果たさねばならぬ責務がある。お前の同行はすでに部下に任せてある」


「……そうか」


胸の奥に小さな安堵が広がった。

この男と二人きりで道中を共にすることは、どこか落ち着かない。

タナエルの放つ気配は、あまりに危うい。

もし彼が俺を敵と見なしたなら、その瞬間に命を落とす――そう思わせるほど隙のない存在だった。

だが、彼の目に敵意はなかった。

それを感じ取った瞬間、張り詰めていた力がわずかに抜ける。


廊下の先、朝の光に包まれた回廊を抜けると、待機していた煌月守衛軍の部隊が整列していた。

その中央に立つ一人の女性が、ゆっくりと振り返る。

パソニアだった。

その穏やかな笑みを見た瞬間、張り詰めていた心が少し緩む。


「お待ちしておりました、オーシャン様。アルテミスハースト城への護送、準備はすでに整っております」


「なぁ……アルテミスハーストには、どうやって行くんだ?」


「ここから魔導車で二十分ほど進んだ先に『界路の祭壇』がございます。そこが煌月家とアルテミスハーストを結ぶ転送の中継地となっております。到着次第、転送魔法を発動いたします」


「転送魔法か。それで、直接アルテミスハースト城まで行けるのか?」


「はい。安全は保証いたします」


パソニアは変わらぬ調子で言い、恭しく頭を下げた。

なるほど――つまり、一気に行けるというわけか。

だが、胸の奥にひとつだけ引っかかるものがあった。


「そういえば……パンドラはどうしたんだ?てっきり見送りに来ると思ってたんだけど」


パソニアは少し言葉を選ぶようにしながら、穏やかに微笑んだ。


「パンドラ様は今夜の舞踏会のご準備でお忙しいのです。各国から要人が集まるため、陣頭指揮を執っておられます」


「舞踏会……?」


「はい。本日は煌月家の国家建設記念日にあたります。式典と晩餐会を兼ねた盛大な催しがございます」


「記念日、か……」


「オーシャン様には、いつでもお越しくださるようにとパンドラ様より伝言を預かっております。お帰りの際には、ぜひお立ち寄りくださいませ」


「そうか……あいつも当主として忙しいんだな」


パソニアは静かに頷き、後方の兵へ目配せした。

俺は軽く息を整え、魔導車に乗り込む。


運転席には煌月守衛軍の兵が一人。後部には三人が乗り込んでいた。

重厚な車体が低く唸りを上げ、石畳を滑るように走り出した。


◇ ◇ ◇


しばらくは誰も口を開かなかった。

魔導車の内部には魔力の流れを安定させる微かな振動音だけが響いている。


やがて、前席の兵士がぽつりとつぶやいた。


「今日は舞踏会か……せっかくお城に戻れたってのに、休む暇もないな」


「仕方ないさ。今回の舞踏会は、ただの式典じゃない」


もう一人の兵が低く返す。


「……何かあるのか?」


俺が問いかけると、三人のうち一人がこちらを一瞥した。


「タナエル様が魔影軍の軍団長を捕らえただろ?帝国の連中が、そいつの奪還を狙ってくると読んでるんだ」


「奪還……?舞踏会の夜にか?」


「ああ。帝国にとっても重要な人物だ。救出に動く可能性は高い。だから俺たちも前線から戻されたんだ。舞踏会は罠だ――帝国を誘い出すためのな」


重い言葉だった。

エピメスの名が脳裏をよぎる。


「……もし来なかったら?」


「その時はその時だ。上の命令だ、俺たちは配置につくだけさ」


車内に再び沈黙が戻った。

エンジンの微かな振動が思考をかき乱すように伝わってくる。


帝国が本当にそこまでして救出に来るだろうか。

だが――俺たちも、あの時そうした。

大魔法師様とゼリオクスが煌焔家に囚われた時、俺たちは命を懸けて奪還に向かった。


その時の光景が脳裏に浮かぶ。

全てを賭けて救出を決意したあの夜。


――もし、救出に来る帝国の軍が煌月守衛軍よりも強かったら?


胸の奥で何かが疼いた。


「パンドラが……危ない」


誰に言うでもなく漏れたその言葉は車内の振動に紛れて消えた。

だが、煌月守衛軍の精鋭が三人も側にいる。

彼等の強さは常人が踏み込める領域ではない。

きっと大丈夫だ――そう、自分に言い聞かせた。


◇ ◇ ◇


やがて車は森を抜け、白い石造りの大きな祭壇の前で止まった。

夜明け前のような静けさが広がっている。


「オーシャン様、こちらへ」


待機していた三人の魔法使いが礼をとって迎えた。

淡い光を帯びた魔方陣が祭壇の床に刻まれている。

そこから漂う魔力は穏やかでありながら、底知れない深みを持っていた。


「……ああ」


俺は頷き、車を降りる。

その瞬間、ずっと胸に引っかかっていた疑問が口をついて出た。


「なぁ……魔影軍の軍団長のエピメスって奴、舞踏会が終わったらどうなるんだ?」


一人の兵が短く答えた。


「拷問されて、全部吐かせられたあと……処刑だろうな」


処刑――その言葉が妙に冷たく響いた。

確かにエピメスは敵だった。

だが、あいつはパンドラを殺そうとはしなかった。

あの時、フィトリアの地下。濁流が襲いかかる中で、あいつは自分の命を投げ出してまでパンドラを助けた。

もし本当に敵なら見捨てることもできたはずだ。

なのに――なぜだ。


胸の奥が鈍く疼いた。

何かが違う。

このままアルテミスハースト城へ向かっていいのか。

まだ、何も見えていないというのに。


◇ ◇ ◇


三十分後。

俺を乗せた魔導車は再び煌月城の正門をくぐっていた。

つい先ほどまでアルテミスハーストへ向かうために界路の祭壇にいたはずなのに――気づけば、胸のざわめきに突き動かされるまま引き返していた。

どうしても、あのまま行く気になれなかった。


魔導車から降りると、すぐにパソニアが現れた。

彼女の表情が驚きにわずかに揺れる。


「オーシャン様……どうかなさいましたか?お忘れ物でも?」


「いや、そうじゃない。もう一度だけパンドラと会わせてくれないか。ほんの少しの時間でいい」


パソニアは短く息を飲み、静かに頷いた。


「……分かりました。ご案内いたします」


彼女はすぐに背を向け、長い袖を揺らしながら廊下を歩き出した。

途中、通路の壁にそっと手をかざすと淡い光が走り、案内の文字が空中に浮かび上がった。

パソニアはそれを見上げ、小さく頷いてから進路を変える。


「では、こちらへ――」


静かな足音を響かせながら進むと、やがて大広間にたどり着いた。

扉が開かれると同時に温かな光と音楽が流れ込んでくる。

天井のシャンデリアが幾重にも輝きを放ち、光が床の大理石に反射して揺れていた。


そして、その中心に――パンドラがいた。

黒のドレスを身にまとい、長い赤髪を背に流している。

周囲にはジェラントス、ポレモス、カティフラクトが控え、彼女の言葉を待っていた。


一瞬、息が詰まる。思わず声が出た。


「パンドラ!」


振り返ったパンドラの瞳が驚きに揺れ、やがて穏やかな微笑みを浮かべる。


「オーシャン?どうしてここに?もうアルテミスハースト城へ向かわれたと伺いましたわ」


「行ったさ。界路の祭壇までな。けど……途中で引き返してきたんだ」


「どうしてですの?」


その問いに答える前に、胸の奥に溜まっていた思いがこみ上げた。


「お願いを……変えさせてほしい。アルテミスハースト城へ行くことじゃなくて――エピメスと話すことにしたいんだ」


広間に一瞬、沈黙が落ちた。

パンドラの視線がわずかに揺れる。

彼女はゆっくりと息を整え、考えるように目を伏せた。


「それは……出来ませんわ」


「どうしてだよ。何でも力になるって言ってたじゃねぇか」


「オーシャン」


その声は静かだったが、芯のある響きを帯びていた。


「あなたをアルテミスハースト城までお連れするという約束は、わたくしが交わしたものでして――それは必ず守りますわ。ですが、エピメスと話したいのでしたら、ひとつだけ条件がございますわ」


「条件?」


「今夜、煌月家の舞踏会がありまして。国家建設を記念する式典でして、各国の要人をお迎えする大切な夜ですの。その護衛として――あなたにも出席していただきますわ」


「……俺が、護衛に?」


「ええ。わたくしの傍に立ち、警護してくださるだけで構いませんわ」


その微笑みは穏やかだったが、瞳の奥には、こちらを試すような光が潜んでいた。

しばしの沈黙のあと、俺は静かに頷いた。


「……分かった。それでいい。俺にできることなら何でもやる」


パンドラはわずかに微笑み、頷いた。


「ありがとう、オーシャン。では今夜――わたくしの隣にいてくださいませ」


その瞬間、胸の奥で何かが静かに鳴った。

エピメスと話す機会を手にした。

けれど同時に言いようのない不安が胸の奥に広がっていく。

舞踏会の夜――何かが起こる。

その予感だけが言葉にならないまま胸の奥に残った。


――そして俺は、運命の夜へと足を踏み入れることになる。

異界樹物語を読んで頂きましてありがとうございます。

ここから世界一面白いストーリーが展開していきます。


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