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第18話:協力少女とあわてんぼうの兄弟

 そう言うや否やルディリアは軽い足取り(とはいえ亀の足だが)で三日月の湿地の真ん中に進んでいった。


「ルディ? 汚れちゃうよ?」

「これだけ力が残っていれば十分だ……! 天を穿て! 神級闇魔法(オルグログラ)ァァアアアア‼」


 ルディリアが天に向かって咆哮を轟かせる。それと同時にルディリアの体から発せられた真っ黒な魔力は天に向かって一筋に伸び上がり風国全土を覆いつくした。

 夜……それよりも真っ暗になった風国は手の先すらもはっきり見えず、ただ狼狽えるお姉さまの声と誇らしげなルディリアの声だけが聞こえていた。


「成功だ!」

「どういうこと……⁉ 夜になっちゃったよ⁉」

「そんな規模の話じゃありませんよ……!」

「ちょっとルディ! 説明してよ!」

「前々から言ってるが吾輩の力は使えていなかっただけで戻ってきてはいたんだ。それがガラべドロ様の力によって一時的に旧来の状態よりも強く引き出されたんだ」

「それは分かりますが、これはいったい……?」

「さっき金髪が言ってたが風の神殿に行くには風の峠に向かう必要があるんだろ?」

「うん。だけどグレイアルムの目があるから……まさか見えなくしたって言いたいの⁉」

「あぁそういうことだ」

「ここにきての強行突破ですか……」

「皆さん!」


 声のする方からは風龍(ウィンドドラゴン)に乗ったレイサイが姿を現した。私たちの近くに降り立つと慌てた様子で詰め寄ってきた。


「この力……ルディリアさんのものですよね⁉ 一体なにを……」

「簡単に言えばカモフラージュってところだ」

「は、はぁ……? こんな巨大なものを見た王国が何もしてこないとは思いにくいのですが……」

「それは大丈夫だ。この魔導書を見ろ」


 ルディリアはお姉さまの持っていた天神の魔導書を指さす。サリさんの家で手に取った時点では光っていなかった魔導書の中央部の魔石が光り輝いていた。


「何が起きてるの⁉」

「天神の力を借りた。簡単に説明すると、吾輩の力で風国を覆うドームを作るだろ? そしたらそれにかぶせるように天神の力を使ったんだ」

「それがなんだというんです?」

「天属性は『素』力。このドームは外から見る分にはいつもの風国が見えるだけというわけだ」

「『素』力……? 何それ。リィは知ってる?」

「いえ……初耳です」

「知らないのか……? 各属性はそれぞれ固有の力を持っている。地属性は『体』力、水属性は『知』力というようにな。まぁ5神と天神がそれぞれ得意としたことがそのまま反映しているだけだが」

「そんな話聞いたこと……」

「まぁいい。気になるならサリ・ドランにでも聞いておけ彼女ならちゃんとした説明をくれるだろう」

「確かに。それじゃあラカルイアの人に勘づかれる前にさっさと動いちゃうとしよっか」

「そうですね。その前にキャリーオーバーしているレイサイさんを起こさなきゃですが……」

「はっ⁉ 僕は……」

「気絶してたな。まぁなんでもいい。早く風の峠に吾輩たちを連れて行ってくれ」

「は、はい! あ、その前に……」


 レイサイさんは何かを思い出したかのように風龍(ウィンドドラゴン)の裏に回ると女性を一人連れて現れた。


「ほら姉さん。彼女たちに悪意はなかったでしょう?」

「ドレイキア! さん……」

「何をしに来た。邪魔するというなら吾輩にも考えがあるぞ」

「あ、ここだと魔法が使えるから強気だ……」

「うるさい」

「はい」

「姉さん……」

「……あーしは絶対に謝らないかんね!」


 それだけ言い残すとドレイキアさんは風鳥(ウィンドバード)を呼び寄せて去って行ってしまった。


「なんだったんだ……」

「姉さんもあなたたちの実力を認めてくれたみたいですね」

「あれで⁉」

「えぇ。何はともあれ、姉さんの許可も下りたことですし、風の神殿に向かうとしましょう」

「許可下りてたんですね……?」


 私たちの間に未だよく分からない空気が流れている中、レイサイさんは私たちを風龍(ウィンドドラゴン)に乗せて闇夜に包まれた風国を北上していった。


「そういえば風国に残っていたグレイアルムはどうしたのでしょう……」

「確かに! あいつらがラカルイアの人たちに報告したら……! って、なんでルディは目をそらすの……?」

「まさか……」

「いや、何もしていない。ただ、ちょっとばかし……やっただけだ」

「なにを⁉」

「深くは聞かないでおきますが、グレイアルムの中にだって一般人はいるんですよ……」

「分かっていはいるが、お前たちこそ理解してるのか? やつらが吾輩たちの敵であることを」

「分かってはいるけどさ……」

「歓談中にごめんなさい。もう風の峠に着きますよ」


 レイサイさんがそう声をかけるとほぼ同時に風龍(ウィンドドラゴン)は少しずつ高度を下げて風の峠の頂上に降り立った。


「ここから歩きかぁ……」

「諦めてくださいお姉さま。風の神殿に行くには峠の頂上の上昇気流を使わないといけないんですから」

「あれですね。皆さんは何か風に乗れる道具を……」

「持ってないね……」

「いや、もしかしたらこれが使えるかもな」


 そう言ったルディはお姉さまからかばんを預かって中を探すと茶色の袋のような形をした何かを取り出す。


「それは……ガルアさんにもらったテントですか?」

「あぁ、風に乗るくらいならこいつにもできるだろう」

「レイサイさんは何を使うの?」

「私はここで待ってます。自由に動ける人が残っておくことに損はないでしょうから」

「確かにな。それじゃあ向かうとするか」

「うん! それじゃあまた後で!」

「えぇ。お気をつけて」


次回は5月25日です。


 * * *


(追記:5月19日)

ドレイキアさんの一人称や口調を変更しました。

(それにともなって16話の方も変更が入っております)

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