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第14話:開花少女と悪魔のごとく荒ぶった大魔導士様

「よし、この杖の名前は『ミレイハ』にしよう! えっと……サリさんのメモによると……なになに? この通り読み上げればいいんだね」


 サリさんのメモを手に取って杖とサリさんにもらった魔石を机の上に置きその場に立つ。メモに書かれた通り自分の出せる魔力をありったけ込めながら呪文を唱える。


「我が杖よ! 今よりお前の名はミレイハ‼ 我が力となり我を助けよ‼」


 呪文を唱えるのに呼応する様に目の前にあった杖は目がつぶれそうになるほどの光を放った。しばらくして光が収まると目の前にあったはずの杖は姿を変えていた。

 持ち手部分のただの木の枝だった部分には赤色と青色の魔石が埋め込まれ、杖の頭側に置いておいたサリさんの一際大きな赤色の魔石は杖の頭と同化し輝きを放っていた。

 しかし何といっても、一番の変化は杖自体の大きさが片手では持てないほどの大きさになっていたことだった。


「随分と変化したな」

「あれ? ルディまだいたんだ」

「誰もいなくなったら金髪が泣き出すと思ったからな」

「ちょっと⁉ じゃなくて……これすごくない⁉」

「確かに魔力量の増え方が尋常じゃない」

「だよね! 流石大魔導士様だね、いい情報を教えてくれた!」


 満足して杖をその場で回したり振ったりしていると、サリさんとぐったりとしているリぃを背負ったコワグさんが部屋に戻ってきた。


「リィ⁉ どうしたの⁉」

「リーライムに魔法を教えていたんじゃが、慣れていないのに大量の魔力を使ったこともあって疲れたみたいなんじゃ」

「なるほどな、それでどれくらいまで使えるようになったんだ?」

「水と風、鉄は中級まで地、炎、天、闇は上級をも使えるようになったのじゃ」

「凄い‼ って……あれ? 魔法って普通1つの属性しか使えないんじゃ……」

「リーライムに説明したんじゃが、そんなことはないんじゃよ」

「そうなの⁉ じゃあ私にも他の魔法教えて!」

「別にいいんじゃが……お主は考えるよりも体で教えた方が早そうじゃし、さっきリーライムに使った手段をそのまま使うとするかの」

「分かった!」


 * * *


 金髪が言うとサリ・ドランは金髪の腕を引っ張って銀髪を連れてきた道を戻っていった。

 2人が部屋を去ってからしばらくしないうちに銀髪が目覚めた。


「ここは……」

「お、目が覚めた? サリ様が無理させちゃって倒れちゃったの覚えてる?」

「あ……覚えてます……」

「とにもかくにもだ、予想外の戦力強化を得たわけだ」

「そうですね、これでかなり戦いやすくはなったと思います」

「よし、それじゃあそろそろ目の前の問題を解決するとするか……」

「ケミラル河の大洪水ですよね……?」

「そもそも何が理由で洪水なんて起こしてるんだ?」

「上流がラカルイアの方にあるので王国の誰かが私たちの妨害をしているのでは……」

「吾輩も同じ考えだ。そうなると……」

「ラカルイアに戻るしかないってこと?」

「金髪⁉ お前さっきここを出て行ったばかりじゃ……」

「儂がこやつの魔力を使って魔法を1回ずつ使って見せたら全部そのまま覚えたのじゃ……なんじゃこいつ、天才なのかの?」

「もう上級魔法までバッチリだよ!」

「マジかお前……いや、強くなる分には問題ないんだが……」

「凄いですお姉さま……」

「いぇーい! ラカルイアの元凶を倒すんだったら助けになれるよ!」

「いいや、無駄な戦闘を避けられるなら避ける気でいる」

「つまり?」

「水国からラカルイアの下層に侵入して、ラカルイアの中層から風国に出る。これが吾輩の作戦だ」

「なるほど……でも流石に危険すぎるのでは……?」

「じゃああの河渡るか?」


 そう言って、窓から見えるケミラル河を親指で指す。荒ぶった河を見た銀髪はしばらく黙り込んで頭をひねらせる。


「と、いうわけだ。もちろん銀髪の言う通り危険が伴うがあれを渡るよりかはマシだ」

「まぁそうじゃな。じゃが、それなら儂はこれ以上手を貸すことはできぬの」

「え⁉ そうなの⁉」

「ラカルイアの結界のせいか」

「そういうことじゃ。ラカルイアに入れるのはラカルイア生まれの人間、もしくは王直々に許可を得たものだけじゃ。儂の生まれは炎国じゃし、王から許可などもらうつもりもない、だからラカルイアの土地を踏むことはできぬ」

「そっか……それじゃあ私たちで頑張るしかないか!」

「本当にお世話になりました」

「うむ、頑張るのじゃ!」

「あぁ」


 サリ・ドランに背中を押されてスムスドン国立図書館を後にし、北のラカルイアへ向かう。予想通り、ラカルイアの入り口付近には大量のグレイアルムたちがうろうろしていた。


「さーて……どうする?」

「倒してもいいんだが……ここだと無限に応援が駆けつけるだろうしな……」


 かなりの絶望的な状況を前にどうしようもできないまま時間だけが過ぎていると、突然辺りを何かの影が覆った。


「ふはははははは‼ ラカルイアの雑魚ども‼ かかってくるのじゃ!」

「サリさん⁉」

『魔女だ! 魔女が襲ってきたぞぉぉおおお‼』


 外で警備に当たっていたグレイアルムはもちろんラカルイアの中からもサリ・ドランを倒そうとグレイアルムが大量に現れた。

 上空で巨大な火球を構えているサリ・ドランは吾輩たちの方を見てウィンクをすると、火球をグレイアルムたちに向けて放った。


「サリさん! ありがとう!」

「最後まで助けられっぱなしだったな……全て終わったら何か礼を……」

「ですね」


 そのまま誰に気づかれることもなくラカルイアに侵入する。グレイアルムが消えた水国入り口付近はとても静かだった。


「凄いな……魔女1人にどれだけの人数を割いているんだ……」

「この前に神狼を倒していることも影響しているんじゃないでしょうか?」

「それもそうだな。それで、ここから中層を目指すんだが……どうやって行くんだ?」

「主に2つの手段があります。1つ目は中央に見えているあの螺旋階段を使う方法です。ただ、この手段は厳しいでしょう」

「どうしてだ?」

「あの階段はお偉いさんかグレイアルムが使うものなの」

「なるほどな、難しいわけだ。もう1つは?」

「私は知らないんだけど、そんなのあったっけ?」

「本気で言っているのでしたら、お姉さまのことを怒ることになりますが……」

「え⁉ ちょっと待って……あ、あぁ! 確かにある!」

「良かったです」

「で、結局なんなんだ」

「ついてきてください」


次回は5月11日です。


 * * *


 告知です。

 私が今年受験生ということもあって忙しくなっているので投稿日に出せない日が出てくるかもしれません。

 その時はそういうことなんだなと思っていただければ幸いです。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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