第6話 欲が引き金となる
リタと出会って約一年の月日が流れた。
コウの中に膨らんだ欲が限界を迎えそうなっていた、観察だけでは満足出来ない所まで来てしまったのである。
リタの寝顔を見てる時、話かけてくれてる時、街中を歩いてる時、手伝いをしてる時コウはただ見てるだけだった、言葉はわかるのに言葉を発する事が出来ない事で、近くに居るのに遠くに感じていた。
リタはまだまだ成長して変わっていく姿を見ているだけの立場に満足出来なくなっていた。
コウは魔力源に意識を向け、久々に真っ白い部屋に訪れていた、初めて来た時と何も変わらない景色だった。
コウは無意識に【種族統合】の青い石を確認していた、
【種族統合】自分が所持してる特性に関連する種族を強弱関係なく、強制的に吸収して己の力にする、吸収した中から欲しい物を選んだ物のみ取得。
自分の持ってる特性を考え、その特性でリタと会話したり出来る物は無いかを考えてみた、無闇に選択すると人類を全て吸収してしまうので、人間には無くて自分にはある物を考える。
だが、コウは長年人間を観察していたが、全てを知ってるわけでは無い、表には出さないが普段我慢してる事があるのでは無いかと、そしてこの世界にどの様な生き物が居るかも知らないのである。
わかるのは確実に自分以外のコウモリは絶滅する事だが、それに関しては別に抵抗は無かった、人間と違って魔物や動物は生きる為なら共喰いする事があるからだ、変わり者のコウでもその考えは魔物である。
コウの心配するのはリタに影響の出ない事だけ、今のコウは人間に興味があるのでは無く、リタに興味があるのでリタ以外が消えても何の影響はない。
【種族統合】があれば今の環境を変える事が出来る希望になっていた、スキルを獲得した時は使う事が無いと思っていたが、今はどの様に使おうとしか思っていない。
コウは吸血の特性に絞ればリタに影響が出ないのではと結論を出す、もし吸血に絞って吸血特性のある生き物を全て吸収しても、リタと会話出来ないかも知れないとも考えたが今よりも選択肢が増える事を祈る事にした。
あとはスキル発動後に自分がコウだと認識してもらえるタイミングを探る。
リタが帰宅後すぐに寝てしまう為、起きてすぐか寝る前かの2択だと、起きてすぐだと手伝いに行くため寝る前が好ましいだろう。
リタが帰宅したらスキルを使う事を決め、リタの帰りを楽しみにしているコウであった。
コウのこの選択が、長年変化の無くつまらない世界が変わるきっかけであり、コウが変化が無かった理由を知ることとなる。
会話が出来ないのでリタの描写がほぼ無いのでリタとコウの成長を表現したい物です。