第3話 少女の強い気持ち
名前を呼んでもらえる様になって嬉しいのだが、コウモリは喋らない為この嬉しさを伝える事が出来ない。
リタは、家族の様に歓迎してくれた様に感じた、リタは自分の食べ物を確保するので精一杯だと思うので、自分の食べ物は自分で確保して、リタの前で餌は必要ないと思われる為に食べる様にした、果物でも生肉でも何でも食べるので食べ物を摂るのは簡単であった。
リタの姿は、黒くて長い髪の毛に黒い瞳で表情も暗いのが、瞳の奥に微かに感情が伺えた。
「おはよう」と「おやすみ」は毎日言ってくれるので、誰とも関わりたくないって訳ではなさそうだった。
幼い子供が1人で生活してる姿は、自分が幸せそうな人の姿に憧れて観察して見てこなかったが、リタも家族に憧れていたのだと思う、なぜ1人なのかを聞く手段が無いから自分だけでも家族として常に側に居ると決めた。
とある豪雨の日、リタは珍しく家から出る気配が無かった、普段なら外が明るくなって少ししたら街の手伝いに行くのだが、今日は危ない為か家にいた。
「12歳になったらこの辛い生活も終わるから頑張らないと」
リタは、コウに向けていきなり話しかけてきた。
「12歳になるとね、国が運営する魔法軍人学校の入学が義務で、住む所も食事も支給されるの」
「6年間の魔法軍人学科で能力を認められたら、軍人として生活には困らない生活ができるの」
リタが辛い日々を頑張る理由を聞かせてくれた、ずっと1人で抱えてると心が折れるのだろうか、人間でも無いコウモリに話しかけて、目標に向かって強く生きようとしてる姿がそこにあった。
「魔力は人並み以上だとお父さんが言ってたから、私なら大丈夫」
表情は変わらないのに、リタの声と瞳で哀しさが伝わってきた。
コウモリでは無く人であれば、こんな時どんな言葉を贈ればこの子は表情を緩めてくれるのだろうと考える、リタに出会う前に見てきた人達はとても明るく笑い、それが人間特有の表現方法だと思っていた、リタが明るく笑うにはどの言葉をと考える日々が楽しくもあり辛くもあった。