第21話 圧倒的な力の差
フーガスト率いるフォース軍の足元に、赤黒いドロドロした液体が地面から滲み出てる事に気が付いた時には、すでに足にドロドロした液体が絡み付き動けなくなっていた。
「フーガスト教官•••これは何でしょう!?全く足が動きません」
フォース軍の1人が焦った様にフーガストに問いかけるも、この状況を理解できてる者は誰1人居なかった。
「こんな現状聞いた事も見た事もないぞ」
フーガストが初めて見る現状に戸惑う。
「激痛で一瞬意識が無くなったぞ•••人間なら即死だな」
砂煙の方からフーガストに問いかける様に歩きながら近寄る姿がそこにはあった、服の胸の所が綺麗に円状穴が空いていたが服は血に染まっていたが、身体には傷ひとつない。
「貴様はさっき殺した餓鬼•••か?」
フーガストが問いかけるがその問いかけの返事は来なかった。
「いきなり攻撃するって事は敵って事で良いとは思うが、何か情報を集めた方が良いのかな?」
コウは1人でブツブツと呟きながらフーガストに近寄り足を止める。
「俺も理解できない点があるし、状況がわからんがお前らは邪魔だな•••クソ痛かったからお前らも同じ痛みを知れ」
コウがそう発言すると、フォース軍の足元から無数の血の棘が上目掛けて勢い良く生え伸びる、無差別の様に伸びる棘だから的確にフォース軍の心臓目掛けて伸び貫く。
フォース軍が声を出す隙を与えない程の速さで、全員の心臓を貫き絶命させる。
「これがこの世界での現状ならばどうにかしないといかんな•••」
コウが無惨な姿になったフォース軍を見て呟き、空を見上げて目を閉じる。
「古得はこんな争いを生む為に、国独特の能力を使った訳じゃないのにな•••」
コウが目を閉じたまま大きな溜息を吐くと、フォース軍の亡骸に背を向けウィズダムに歩き出す。
コウはフーガストの攻撃を受けて時の事を思い出しながら歩く、不老不死という事はわかっていたが生命維持に必要な部位を欠損したのは初めてだったのだ。
過去に不老不死が存在したのは、古得ただ1人で不老不死の最期とは何なのかを考える、死ぬ程の激痛を感じても死ぬ事はなくスキルで再生してしまう。
「俺が死ぬ時は古得の様にスキルでの消滅だけなのだろう」
そこでもう一つの疑問が芽生えた、コウは心臓を貫かれ確実に一度は生命活動が停止する程のダメージを受けた、激痛は感じ血が大量に出たのだが意識はあった。
決して死ぬ事が出来ないのが不老不死なのならば、跡形も無く吹き飛ぶ攻撃や受けた場合はどうなのだろうと、再生する為の肉片が無くなった場合この意識はどうなるのだろうかと。
もし身体を失っても霊体となり生き続けるのが不老不死なのならば、古得はまだどこかで身体を失っても存在してるのかも知れないと。
「なぜ自分が不老不死なのか•••分かる事は無いだろうな」
コウは、吸血鬼となってからコウモリの時には感じなかった気持ちが芽生えてるのだが、全く理解が出来なかった、数千年知らなかった感覚の対処方法がわかる事もなく、今は保留する事にした。
「この様な無差別な争いがあるのなら、リタがいつ命を落としてもおかしくはない•••リタの為にもどうちかするかな」
コウはキングワイルドボワを再度引き摺りながらウィズダムに向かって歩き続ける。