第20話 武力国家の戦い方
西門で敵の襲撃を警戒していた軍人が遠くの方に、1人の人影を確認した時、大きな音と共に砂煙で人影が消える。
「敵の襲撃だ、遠くで詳しくは分からないが大きな獣と1人が確認できた途端に砂煙で姿が確認出来ない」
1人の軍人が目撃した事を周りに伝えると、周りの軍人が身構え砂煙の方を凝視する。
門の内側でコウの確認をお願いして待機していた、リタとガルフの耳にも門の外での軍人の声が届く。
「攻撃を受けたのはコウじゃ無いの?」
リタの黒くて綺麗な瞳に少し涙が含まれるながらガルフの方を向き問いかける。
「獣と1人•••現在獣をソロで討伐に向かってるのは、コウ君くらいだろうが、姿を確認するまではまだ断定できない」
ガルフは襲撃を受けたのは確実にコウだろうとわかっていたが、リタの気持ちを考えると濁した発言をするしかなかった。
「フーガスト教官•••あの様な子供まで躊躇なく攻撃しなくても宜しいのでは無いでしょうか?」
フォースの魔法軍人学校教官フーガストの横で、フーガストがキングワイルドを引きずっている男の子に、躊躇なく強力な攻撃魔法を放った事に疑問を持った学生が問う。
「戦争を知らない子供の発言だな、ここであの餓鬼を無視する事で将来的に自分の家族や仲間が、殺される可能性が少しばかり増す、全てを失った後で復讐相手が青年だった場合、あの時の餓鬼なのでは無いかと考えたら後悔はなお増え、後悔で死ぬのだ」
フーガストは自分が経験したのか、物凄い憎しみを含んだ口調で学生言葉を返す。
学生はフーガストの言葉に返事をする事が出来ずに目線を下に向けて、戦争に対しての心構えが教官と違う物だと実感した、教官が元大佐という事で何かあれば守って貰えると軽い見学程度の感覚で来ていたのだ、他の学生も同じ様な気持ちで同行していた為学生達の表情が固まっていた。
「学生達にはまだ早かったかな?学生以外の奴らは気を引き締めろよ、俺が攻めている事はウィズダムの奴らにも伝わってるだろうから、名のある奴らが出てくるぞ、名のある奴ら討ち取って昇格したい奴らはこのチャンスを逃すなよ」
フーガストが同行した軍人達を鼓舞して攻撃態勢に入る。
「武力最強国家の本気を見せてやろう、各々の最強魔法を展開して一気に門に向けて放つぞ」
その声を聞いた進軍勢が術式を展開し始めて魔力を込める。
フォース軍はウィズダムの反撃されない為に、遠くから強力な魔法で門を破壊して突撃する構えをとる。
ウィズダムの西門からフォース軍の魔法術式を展開する輝きが確認できた事で、避難態勢に切り替える。
「フォース軍の魔法術式展開の輝きが確認しました、防御魔法で防げる威力では無い為門から離れて」
武力に特化したフォース軍の攻撃をまともに受け止める事ができない為、避難警告と被害を極力抑える為に防御魔法の術式を展開する。
リタとガルフも避難する様に誘導され、西門から離れる。
フーガストが総攻撃の合図を出そうとした時、違和感を感じ手が止まる。
「これは•••なんだ•••」