第16話 知識と疑問
2人で肌寒さを感じながら帰り道を歩く。
「暖かい時期になったと思ったのに夜は少し冷えるね」
リタがコウの方を向き話しかける。
「魔法で温めようか?」
「大丈夫、大丈夫」
「でも人には全身を包む毛が生えてないから寒いな」
「でもね、寒さを1人で感じるのは辛いけども、誰かと喋りながらだと辛さを感じないのよね、いつもなら1人で帰ってるこの道も違って感じる」
「こちらとしても、生きてるけど生きてる喜びも感じない時間を過ごして、いろんな犠牲を伴って現在に至る、人とは良いものだ」
2人はその様な気持ちを話して、帰り道を楽しみながら帰宅する。
帰宅するといつもの様にリタがすぐにベッドに向かう。
「寝る時は踏まない位置で寝てね、寝起きは確認不足になるから」
「程よい距離を保つよ」
そう言うとリタは背を向けて横になる。
「今日はお疲れ様、おやすみ」
「今日はありがとう、おやすみ」
コウは昨日よりも少しベッドから距離を取り床に仰向けになる、両手を頭の下に回して枕代わりにすると、吸血鬼の特性を調べる為とスキルや魔法の知識を得る為、真っ白な部屋意識を向ける。
玉座の横に座り本を出現させる、古得の項目まで進み【知識】の項目を選んだ瞬間に、頭に凄い痛みを感じる。
「ゔぅぅ」
痛さで両目を閉じてしまう程だったがすぐに痛みはなくなり、不思議な感覚があるが古得の知識が自分の中に入り込んだ感じがした。
「得た知識に吸血鬼の戦い方から特性までも含まれてる」
古得から得た知識には異世界の知識も混ざっていたので、セカンドと地球の知識を把握しないとと思うのだった。
元々自分の経験で得た知識では無い為、整理がひつようとなる、特に異世界の知識も混ざるとなると尚更だ。
「まぁースキルと魔法の使い方がわかれば、明日の技能審査は問題ないな」
コウは今日の自分の言葉遣いが失礼なものだと反省した、敬語を知らない事はこの世界では失礼だと感じたのだ。
そこで少し疑問に思うこともある、古得は吸血鬼で最近までこの街に居たとは考えにくい、古得の経歴をまた調べる必要がある。
古得の常識がいつの物かを知らない事には会話が成り立たないと思ったからだ。
次は古得の過去編