第12話 道中の些細な会話
コウはリタと共にギルド館を後にして、町の中心部にある魔法軍人学校に向かう。
「この時期に掃除の依頼って事は、入学式に向けての掃除だと思うので頑張らないと」
リタの真面目さを真横で感じながら、魔法軍人学校に向けて歩んでいく。
移動中にコウは、魔法軍人学校がどのような所かを伺う事にした。
「魔法軍人学校ってどんな所なんだ?」
リタが今の苦しい生活も学校に入学するまでの我慢だと言ってたので、この機会にその気持ちの意図も兼ねて良い機会だと思ったからだ。
「そうね、コウもこれから人として生きたいのなら入学する事を考えた方がいいかな、魔法軍人学校は、戦争の絶えない世の中で他国に滅ぼされない為の戦力を育成する所よ」
「どうしてそこまで戦争を繰り返してる?」
「詳しい事は子供の私達は知らないのよ、学校でそこらへんの経緯も教わると思うは」
コウモリの姿をしてる時、全身を鎧で包む人の姿は何度か見たことはあるが、コウには興味を向けることはなかったので観察対象にはなれなかったのだ。
「でも、元コウモリで年齢も偽ってるけど入学できるのか?」
「その事に関しては問題ないよ、12歳からとなってはいるけども12歳以下で入学する事も出来るのよ、ただし12歳の成長段階の子供を対象にしてるため、12歳以下で入学しても、周りとの差が開いて評価される事がないまま技能査定されるは、その審査結果が今後の収入につながるから好んで不利になる人は居ないは、年齢の確認する手段もないので12歳だと伝えればそれで入学条件は十分なのよ」
「なんだか適当な感じがするけど大丈夫なのか?」
「大丈夫なんじゃない?詳しくはわからないけども今までそれで争いが起きたとは聞かないは、何かあればキールスさんが教えてくれるので」
来年魔法軍人学校に入学するのは、問題が無い事を知らされ安心した表情を浮かべる。
人間の姿になったばかりだが、コウは表情を無意識に変化させてる事に気が付く。
コウは、表情の変化は人間が元から持つ特徴なのだろうと考えていると、リタがなぜ常に無表情なのか気になってしまうが今その事を聞くべきではないと思ってしまった。
「そういえば、突然コウモリが人の姿になっても追い出さなかったのは何故なんだ?」
「うーん、コウの身体を包んでた輝きを見た時、恐怖や驚きよりも安心と希望のような物を感じたからかな?」
「安心?希望?」
「あの綺麗な輝きは、私の生きる世界を照らしてくれる光だと感じたの」
「予想外の答えで反応に困るな」
「一人で生きるのも退屈だったのもあるけどね」
「どうして・・・」
コウがなぜ一人であの家に居るのかを聞こうとした時、コウの言葉をかき消すようにリタが「ここが魔法軍人学校よ」
コウの目の前には、立派な門がありその奥にはお城のような大きさの建造物があった、町のどこからでもその建物を確認できるのではと思うほど立派だった」
「元々は、国一番の貴族様が所有していた屋敷らしいは、貴族制度が無くなってから魔法軍人学校になったみたいよ」
「まだまだ知らない事が多いなぁー」
「焦ってもどうにもならないのだから、細かな所から知っていきましょ」
コウはリタの言葉に微笑んで頷くと、門の横に鎧姿の人が居るが目にはいる。
「あそこに居るのが役人の人だろうか?」
「そうだと思うは、受諾書渡して掃除しましょうか」