第1話:うわっ、俺のスキル弱すぎ…?
「いやお前…弱すぎだろw」
心無い言葉を浴びせられる俺。どうしてこんなことに…
ーーープロローグーーー
俺の名前は速水リョウ。どこにでもいる高校生だ。
「にしても楽しみだな〜今日の夏祭り!あのどケチ市長が娘のために花火を上げるんだとよ」
オレたち庶民はそれにあやからせてもらうぜぇ、と市長に対して敵意剥き出しの彼の名前は一之瀬トウヤ。俺の親友だ。
「…あんまり言ってると、○されそう」
静かな口調で話す金髪ハーフの彼女は如月カノン。
俺たちは保育園の頃からの幼馴染。小中高、奇跡的に一度も違うクラスになったことがないほどの仲良し3人組ってやつだ。
「あと5分で始まるみたいだ!広場に行こう」
俺たちが広場に着くと既にそこでは人々がひしめき合っていた。これでは落ち着いて花火を見ることもできなさそうだ。別の場所に行こう、と2人を促そうとすると
「なんだあれ、でっけー花火だな!ここまで奮発しやがるのかよあの市長は!」
「…こんな大きいの、みたことない」
2人が見上げる空には、そこらのお祭りで見る〆のどデカい花火よりさらに2回りは大きい花火が打ち上がっていた。
「これ、すごいな本当に…何万出したらこんなでかいのが上がるんだ」
感動している俺たちを照らす花火の輝きは止まることを知らない。打ち上がってから1分は経ったはずなのに何故か光が消えないのだ。なんならさらに輝きを増しているんじゃないか?
「…流石におかしくねぇか?これ」
トウヤが疑問の声を上げる。俺とカノンもそれに同意するが周りはそれをおかしいと思っていない様子だった。花火はさらに輝きを増す。とうとう直視することすら出来ず、俺たちは目を開ける事すら出来なくなった。
ーーー1話「うわっ、俺のスキル弱すぎ…?」ーーー
光が止んだのを感じた俺は目を開ける。瞼越しに眼球を焼いてくるほどの光のせいでまだチカチカする目を擦って辺りを見回すと、そこには見知った顔ばかりだった。
(みんな、うちのクラスのやつらか…?)
あの花火によってこの意味のわからん空間に飛ばされたのだろうか…突然の状況に全員困惑している。
「…ねえ、ここどこ」
「うおあっつあああああああ!!!」
後ろから急にカノンが話しかけてきた。おかげで俺の心臓が口から飛び出るかと思った。
「びびびびびびびっくりさせないでくれよ!…俺もここがどこかはわからない」
「…だろうね、知ってた」
カノンは見つかった。ここにはクラスメイトが全員集まっている。多分近くにトウヤもいるだろう。歩き出そうとしたその時、
「よくぞ来た皆の衆!」
といかにも偉そうな声をしたおっさんの声がして来た。声がした方を向くと声の通りというべきか、宝石が散りばめられたマントを羽織った王様を絵に描いたような人物が立っていた。
「余の名はエスカトール2世!異界より召喚されし勇敢なる者達よ、早速だが…」
「おいちょっと待てよジジイ!ここはどこなんだ!?俺たちは夏祭りで花火を見ていたはずだろうが!」
王様が何かを言おうとしたがそれを遮ってクラスのDQN(名前なんだっけ…)が怒りを露わにする。
「そう興奮するでない…ならば何故そなた達がこの世界に召喚されたかを教えてやるとしよう」
仰々しく語り出す王様。その内容は要約するとこうだ。
破壊神と創造神の2人が戦いを始めた。これを破創戦争という。やがて戦いは終結し、2人の神は深い眠りについた。2人の戦いによって放出されたエネルギーによって新たな2つの命が地上に生まれた。一方は破壊神の力を受け継いだ民。もう一方は創造神の力を受け継いだ民である。2種族は力を合わせ共に地上を住みやすいものへと変えていった。しかしある時から、破壊神の民は創造神の民に対して敵対するようになっていった。破壊神の民の王は魔王と呼ばれ、創造神の民の王は勇者と呼ばれ幾万年、戦いを続けている…
「…で、それが俺たちを呼んだ理由なのか?そんなカミサマ達の戦いなんか知らねえよ!早く帰しやがれってんだ!」
「余の前で騒ぐでない…少し黙っとれ」
王様がため息をついて何かを言葉にすると喚いていたDQNが口を抑えて急に静かになった。それを見ていた俺は何が起きているかまるでわからなかった。すると後ろから
「…いわゆる魔法ってやつでしょ、あれ」
カノンが冷静に話しかけてきた。
「魔法…!?ありえないだろ、それはラノベの中だけのものだ」
「…でもそうとでも言わないと説明できない、あのDQNの状態」
「確かに…そうだけど」
カノンに諭されるがやはりにわかには信じ難い。魔法だって?そんなもの実在する訳がないだろう…
DQNの方に目をやると衛兵らしき男達が無理やりDQNを押さえつけていた。
身動きが取れないDQNを尻目に王様が話を再開する。
「さて、そなた達が呼ばれたのは他でもなく、魔王を討伐するためである!」
少しの間、辺りが静かになる。その後、生徒達から罵声が飛ぶ。ふざけるな、だの無理に決まってる、だの各々もはや悲鳴のように王様を批判した。すると1人の男子が
「あ、これ異世界転生ドッキリか!タチが悪いドッキリだな〜早くネタバラシの奴ら来いよ!」
と我見破ったりと言わんばかりに大声で笑った。周りもそれを聞いて安堵した様子だ。
「どうやら嘘をついていると思われているみたいじゃのう。平和ボケしたそなたらにもこれを見せればわかるかの?」
王様が衛兵に命令すると部屋の奥から大きな檻が運ばれて来た。生徒達はそれを見て絶句する。何故ならその檻の中にはこの世のものとは思えない、まさに魔物と呼ばれるべき“化け物“が入っていたからだ。
「いっ、いやだぁぁぁやめてくれ!!」
絶叫に思わず振り返った俺たちが見たものはこれまた異形、豚男のような生き物だった。ほれ、今日の餌じゃぞ、と言いつつ豚男を檻の中に入れる王様。餌を認識した化け物は即座に獲物を仕留め血飛沫と共に食い散らかした。
その様子を見ていた生徒数人が発狂した。無理もない、俺だって普段からグロ映画を見ているのに吐きそうなほどだったのだから。
「だよねェこれ現実だよねェ!ねねおじさん、もちろんボク達には何か特別な能力的なの、あるんでしょオ?」
唐突に発せられた狂気的に笑う男の声。その少し不快な声を発しているのは犬塚クライ、クラスで浮いているいわば陰キャだ。
「ほほう察しがいい者もおるようで安心じゃ。そう、そなたらには一人一人特別な能力が備わっておる!その力を存分に引き出せば魔王にも対抗できるじゃろうて」
満足気に話す王様。特別な力?そんな非現実的なものが…とは思ったがここにそんな常識はおそらく通じない。
「王様!それはどうやったら確認できるんですか?」
生徒の1人が問いかけると王様は嬉しそうに能力の確認の仕方を教えてくれた。生徒達はそれぞれ自分がどのような能力を持っているのかを確認しだす。あるものは炎を操る能力、またあるものは傷を癒す能力など様々なものだった。
自分に宿る能力を知ったからか、生徒達は自分の能力を他人に自慢し始めた。俺の能力はなんだ?そう思いつつステータスパネルを開くと
【速水リョウ】
種族:異世界人 Lv1 力-189 守り-161 速力-213 運-6721
という様に自分のステータスが表示されていた。謎に運が突出しているのは別としてこのステータスは周りを見る限りかなりひ弱な部類らしい。平均はおそらく450らしい。基礎ステータスの下に「異世界スキル」と書かれたパネルがある。それをタップして出てきた俺の能力はなんと!
[呪い無効]
「…は?これ…だけなのか?」
いや別に呪いを無効するのは弱くは無いが…俺は王様に尋ねる。
「王様!呪いを使う魔物ってこの世界にはいるんですか?」
「おらぬ」
「えぇ…」
「おらぬものはおらぬ!さしずめそなたの能力はハズレ枠じゃの」
マジでこのおっさんをぶん殴ってやろうか。そう俺が画策していると周りの生徒達が俺のことを凝視している。なんだ?と思った次の瞬間、
「いやお前…弱すぎだろw」
最後まで読んでくれてありがとうございました!
小説投稿というのが初めてだったので至らぬ点あると思いますがお許しを…
やっぱり小説書くのって楽しいですね!




