第8話:囲み取材と言う名の事情聴取その2
第八話になります。
よろしくお願い致しますm(_ _)m
馬車の中は重苦しい沈黙に包まれ…とは行かず、あれこれわぁわぁと四人に質問攻めに遭ったが、とりあえず屋敷に着くまでは休ませてくれ、とオブラートに限界まで包んで言ってみたら本当に到着するまでは黙っていてくれた。
超聞き出そうな面してたけど、こっちも疲れたし、対策練りたかったから本当にすまぬす。と、内心で謝り倒しておく。
10分で到着するとか思わなかったけどな!
近ぇよ!!
流石伯爵家だな、おい!
アルラ自体、王宮に行く事が無かったから知らなかったんだろうねぇ。こればっかりは致し方無いが…10分で対策は練れなかったわ。
屋敷の車寄せへと馬車は滑り込み、停車する。
先に伯爵が降りてお母上をエスコートしながら降車させる。続いてアルラの兄、エルネストが降り、アルラをエスコートして降車させてから最後に弟のジョシュアが降りた。
「おかえりなさいませ、旦那様、奥様、坊ちゃま方、お嬢様。」
ホールボーイが両開きの玄関扉を開くと、家令のウォルターが恭しく礼をしながら出迎えてくれる。
伯爵は「うむ。今帰った。」と言うと、家令のウォルターに言付ける。
「急だが、明日、カンバネリス公爵家の昼餐に招かれたので、明日いっぱいの予定や来客は全てキャンセルしてくれ。
あぁ、あとこれから話し合いがあるから半刻後に居間に茶と軽食の用意を頼む。」
ウォルターはほんの少しだけ、眉を動かすと「畏まりました。只今。」と返事をすると従僕に何かを命じたようで、従僕はコクリと頷くと地下の調理場へ向かっていった。
自分は伯爵に付いて執務室へ向かうのだろう。
お母上も侍女と共に自室へ向かったし、兄や弟も着替える為に自室へ向かおうとしたが、まだ私が心配らしく、アルラの部屋まで送ってくれた。
何故か弟ジョシュアの目がキラッキラしてるんだが…?
初めて入るアルラの部屋は、予想とは違い爽やかなペールグリーンとペールピンクの色合いで纏められたすっきりとした部屋で、とても居心地の良い雰囲気の部屋だった。
ついついラデ○レを思い出すわ。
柔らかなクッションが沢山置かれたソファにボスン!と埋まるようにぐったりと座ると、私は
「うおぉぉぉ~っふ…」
と盛大にため息を吐く。
…気が重い。重過ぎる。
乙女ゲームかライトノベルかわからんが、強制力をブチ壊してブック破りまでしたのに、アルラと入れ替わる兆候が全く無い。
もしかしたら、新たなシナリオでも用意されたのだろうか?
いやー、でも逆断罪をやらかしてから一時間程でシナリオって用意出来るか?
アップデートだってプログラムが用意してあってもユーザーに事前の報告が必要だよねぇ。
ライトノベルなら整合性を取らないと、話がとっ散らかって収集つかない事態になるし。
ぬうぅぅぅぇあぁぁぁぁ〜!!
真剣に、マジで今スコッチとタバコが欲しい。もしくは大音量で音楽が聴きたい。
面倒臭ぇ。
覚悟を決めろ、私。
今更うだうだ考えても仕方無ぇ。
想定はもう出来てるし、後は予測や予想、推測に基づいて話を進め、出来るなら協力を仰ぐ。
ヤバいクライアント相手に何度もやってきたプレゼンを思い出せ。
何で技術職の私がやらされてんだ!って度々キレ散らかして、営業マンと殴り合いもした。
アレが今、役立つ時だ。
パンッ!と両頬を張る。
っし!第2試合開始じゃオラッ!!
サイドテーブルにあったベルをチリリと鳴らし、侍女を招き入れて先ずは楽な部屋着に着替えよう。
入ってきたのは、アルラより6歳上のシエナ。アルラにとっては気心の知れたお姉さんポジションの侍女らしい。
シエナは疲れた顔のアルラを見ても想定内だったのか、アルラをドレッサーまで招き、ティアラやアクセサリーを外していく。
「アルラ様、デビュタントボールは如何でした?」
「…疲れました。あれで終わるのであれば良いのだけれど…。」
「本格的な社交は学園を卒業してからになりますから、あと2年は大丈夫でしょう。
まぁ、旦那様達が吟味して下さいますから。」
「気が重いわ…。色んな意味で。」
最悪、このシエナを始め、伯爵家の使用人にも事情を説明しなきゃダメだろうなぁ…。
アルラと私は性格も何もかも違い過ぎるから、早いうちに違和感が疑惑に変わってしまう。
うんうん唸っているうちにドレスは脱がされ、楽な部屋着に着せ替えられていて、今はきっちり結い上げられた髪を解かれ梳られている。
おぅ、リアル侍女すげぇ。
手際が見事過ぎてわからんかった。何か勿体無い事したなー。
何時もより楽な身支度を終え、シエナに先導されて決戦の地、居間へと向かった。
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(アンブロジア伯爵side)
家令と共に執務室へ入った私はドサリと椅子に身体を投げ出すと、少し乱暴にアスコットタイを外し、襟首を緩めた。
その様子に家令は
「旦那様?如何しました?」
と聞いてきた。
まぁ、厄介事が起きた時の私の癖であるから、家令が気付くのも当たり前か。
ふうっ、と息を吐いてから私は、意を決して吐露した。
「第一王子がデビュタントボールで、カンバネリス公女に不当な婚約破棄騒動を起こした。」
と。
家令は目を見開き、「…は?」と驚いていた。
いや、驚くよな。
それが当然の反応だ。
最も尊き王族と、貴族の見本たる高位貴族がやらかして済む事じゃない。
しかし。それ以上に驚愕の事態が起きた。
まさか、我が愛娘があんな事をするとは誰が予測出来ただろうか。
大立ち回りと言っても良い。
大人しく、少し引っ込み思案な私の天使。
それが…馬鹿ではあるが自分よりも体の大きい男達を相手に完膚無きまでに叩きのめした。
それも素手で!!
しかも見たことのない体術まで使って。
ジョシュアに至っては「姉様、頑張れ!」なんてキラキラと目を輝かせて見ていたしな!
憤怒の表情をしていた騎士団総長すらも最後まで啞然としていたからな…。あれはもう致し方無い。
熱い紅茶を淹れてもらい、ひと口飲んで少し気分を落ち着かせる。
会場で起きた事を詳細に家令に伝えると、婚約破棄のくだりでは苦々しい顔をしていたが、アリーの話をしだしたあたりで信じられないものを見たような顔になり、最後には顎が床につくんじゃないか?と思う程にカパッと口を開けて呆然としていた。
その顔は見た事が無いな。
家令の百面相に思わず苦笑いが漏れる。
多分、第一王子達や聖女候補の男爵令嬢に対してではなく、私の天使に対しての驚愕だろう事は容易に察することが出来る。
アルラは妻である我が女神、ブリジットに似て魔力の量もあり、また扱いに長けた子であるし、よく妻の実家の国の魔術書を熟読していたから使えたのかも知れない。
それにガブリエラ嬢とは学園でも仲良くしていたようだし、許せるものでは無かった事も理解出来る。出来るが…
やり過ぎだろう?!どう見ても!!
剣にも怯まず、魔法を打ち消し、結界すら素手でバキバキに砕くとか…。
謎の演出や妙な鐘の音、最後にはアルラコールで会場中が妙な熱気に包まれていたし、何なんだアレは!!
だが…私の中に、妙な熱が宿ったのもまた事実。
ジョシュアのように無邪気にはしゃげはしなかったが、熱く、こみ上げた気持ちは我が女神たる妻と出逢った時とはまた違ったもので。
その正体を掴むためにも。
私は未だ表情の直らない家令を従え、居間へと向う。
コンサートやライヴで声援を送れなくなったのもかなりキツイですが、プロレスの試合も出来ないのか??と、何か今から戦々恐々としてます( •̀ㅁ•́;)
花道から出てくる選手の筋肉にもタッチ出来ないのかなぁ…(´;ω;`)
新日が来るので、是非とも観に行きたいっっっ!!!
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