第62話:いい日、旅立ち2
第62話になります!
今回もよろしくお願い致しますm(_ _)m
……。
オイ、一体何が起きた?
めっちゃ煙上がってんじゃん。
私どころか、ガブリエラもレオーネも、ルドルフさん達もポカーンとしてるがな。
「星、星?何が起きたの?!」
姐さんの声が風魔法で私に伝えられる。
姐さん達は平地にいる為、現状がわからない。
「貴族街で爆発が起き、一角から派手に黒煙が上がっています。王宮に近いので高位貴族の屋敷と思われます」
「星、あれは…イェーガー侯爵家のタウンハウスよ!」
ガブリエラが身体強化で視力を強化し、確認したのであろう。ナイス!
「そして…何かが凄い速さでこちらへ向かって来る!」
魔力感知を発動させたレオーネがそう告げる。
『総員戦闘準備っ!』
風魔法で辺り一帯に響くように私が告げると呆けていた面々がハッ!と再起動し、戦闘態勢に入る。まぁ、まだアンカー兼結界魔道具は作動しているんで、生半可な攻撃は通用しない、と思いたい。……大丈夫だよね?
そう思いながらルドルフさんを見ると「大丈夫ですよアルラ様。あの結界魔道具は内側に仕込んでありますし、魔法では破壊出来ません」とにこやかに伝えられる。
左様ですか…じゃ、いっか。
「来るっ!!」
レオーネの叫びと共に私達が馬車で来た方向を向くと、土煙を上げながら猛スピードで接近する敵影を確認。そして敵影はそのまま速度を緩める事無く接近し
ゴツッ!!!!!
結界に派手に衝突し、跳ね返って地べたに転がった。
……何コレ。
「あの…アルラ様?あれは一体……」
気の使い様も無い、このスベり過ぎて耳がキ○ン状態にも関わらずルドルフさんが恐る恐る質問を投げかける。
いやぁ…公爵様、マ神様。貴方達がおっ立てたフラグが盛大に回収されたよ。マジ恨む。
「アレは…我が国の魔法バカです。この船を確認し、駆けつけたのでしょうが…目的はアヴァロンの魔導技術と魔術、そして私です。」
私はそう答えるとルドルフさんや他のエルフからはものっそい戸惑いのオーラと表情をされた。うん、わかるけど続きがあるから聞いて?
「あのバカには我がアンブロジア伯爵家も大層迷惑を蒙りまして。姐さ…母様が狙い撃ちにされ、付き纏われ、とうとう父様がブチ切れて抗議し、何とか収まりましたがつい先日、標的が私に変更され一方的に求婚されました」
「「「「「「「は?」」」」」」」
一拍置いて事情を理解したエルフ達から一気に怒りのオーラと魔力が吹き上がる。
自分とこの王の身内がバカに迷惑かけられたって知ったらそうもなるわいな~。
派手にぶつかった馬鹿野郎はフラフラと立ち上がり、芝居がかった仕草で飛行船に向けて何か話し始めた。
「ははははっ!これは素晴らしい技術、素晴らしい魔術、素晴らしい魔導船だ!
アルラ嬢、やはり貴女は私の理想!私の目に狂いは無かった!しかし…私の求婚を受けていながら黙って一人、彼の国に向かおうとは何と酷い裏切りでしょうか?貴女は非常に興味深い。私も一緒に彼の国に向かいましょう」
えぇ〜…クラウスよ、馬鹿突き抜けてヤベぇ方へイッちゃってね?悪いクスリでもキメたか脳が溶けちゃったんか?
んで、ぶつかった衝撃で頭と鼻からダクダクと血ィ流しながら言われてもなー。うっわ、鼻曲がってもうてるやん。
「アルラ様、彼奴の言っている事は真でしょうか?」
ルドルフさんが戸惑いつつ、そんな事を聞いてくるので首が千切れんばかりに横に振り、否定を示す。
「無理無理無理無理無理っ!超絶無理っ!生理的に無理ですっ!!私、断りましたしあんな奴と結婚する位なら舌噛み切りますっ!!」
速攻で猛烈に否定するとルドルフさんは「では殺ってしまっても構いませんね?」にっこりと、それはそれは黒い笑みを浮かべていらっしゃった。
「う〜ん、殺るのはちとマズいですね。仮にも貴族嫡男ですし、魔法師団副団長ですので拘束した上で出来れば魔力か魔法を封じる手段があれば良いのですが……」
クソウザかろうが何だろうが、犯罪者引き渡し条約とかそんなモンが存在しないこの世界じゃ殺っちゃうと国際問題になっちゃうんだよ、落ち着け?
あれでも高位貴族である侯爵家の嫡男様で最年少で魔法師団副団長に就任した逸材らしいから(笑)
ルドルフさんは何かを思いついたようで「いいものがあります。すぐに取って参りますので、話を引き伸ばして時間を少しだけ稼いでいただけませんか?」と提案してきたのでそれを了承。ルドルフさんは船内に戻っていった。
私は風魔法を使い、馬鹿野郎に向けて話す。
「貴方の求婚は断・固!お断りしたはずですよ?イェーガー侯爵子息様。魔法狂いの貴方に実験動物のような扱いしかされないのがわかっていて、何故私が付き合わねばならないのか理解に苦しみますね。もしくは医師の世話になって下さいませ」
「何をおっしゃっているのやら。素晴らしい魔法を追求したいのは当たり前ではありませんか!私は国の為にも!魔法の発展の為にも!魔法を追求し続ける義務があります。貴女の才能は素晴らしい!その優秀な血を残すべきだ。何故わからないのです?」
わかるかボケェェェェェ!!
おんぶに抱っこ、タオパンパの完全なる依存、人任せやないか!
んで、お前との子を作るだぁ?冗談じゃない!お前の為に腹を痛めて子を産むなんぞ出来るかぃ!!
「貴方のおっしゃっている事、破綻しているのを存じてないのかしら?国の為と言う大義名分は陛下は望んでおりませんよ。大体、貴方にしか使えない魔法に何の意味があると?私に頼るしか能が無いのでしたらそのままひとりで底辺を這いずっているがよろしい!セクハラ野郎が!!」
どこぞのパクリ上等!な国と同じ思考回路かよ。マジ寒いわ!
「ふ、ふふ…その底辺の魔法で貴女の乗るその船を墜としたら…貴女はどんな顔をするのでしょうね…?」
そう言うと馬鹿野郎は即死級の魔法をこちらに向けて放つ。
チッ!早ぇな!思わず舌打ちすると即死級の魔法は結界に触れた途端、霧散した。
「なっ?!」
馬鹿野郎が驚愕するも、魔法陣で展開された結界は起動を止めるか一定のダメージを喰らわない限り、消えない。
その隙を狙い、服に仕込んでおいた苦無に呪符を付けてクラウスの影に向けて投擲し『呪法:影縫い』を発動させ、動きを縫い止める。
「ぐっ……ぬうぅ!」と馬鹿野郎は脱出しようとしているが、残念!魔法じゃねぇから解除は出来無ぇんだな~、これが。解除したいなら、ウチんトコの神様知らなきゃ無・理・ゲー♪
私はそのまま『縮地:空』で馬鹿野郎の前に移動すると拳を強化し
「こんの……クソ野郎がぁぁぁぁっ!!」
と渾身の力を込めて右、左とワンツーの後に拳を楔型に握り、コメカミを撃ち抜き馬鹿野郎の脳みそを激しく揺らす。
案の定、瞳の焦点が合わなくなりユラユラと揺れ始めると次の技に入る為に蝶野のケンカキックを下っ腹の金的近くに「オラッ!」と喰らわせる。
「ジョバーがっ!横からっ!しゃしゃってんじゃねぇよ!!
喰らえ!ジャ○ボ鶴田の封印されしっ、超高角度ジャーマンスープレックスぅぅぅぅぅ!!」
一撃必殺っ!
身体強化を施し、丹田に力を溜め込み一気に放出し馬鹿野郎の腰を抱え込んだ私は新体操選手並みに超高角度かつ急角度のハイスピードなジャーマンスープレックスで馬鹿野郎の脳天を綺麗な弧を描きながら地面に叩きつけた。
ゴツッ!!といい音と衝撃がしたのを確認し、更におかわりを。
「もういっちょ!オラァァァァァァ!!」
技の反動と腹筋、柔軟性を使い、技を極めたブリッジ状態から馬鹿野郎を抱えたまま反転し、更に連続で技を喰らわせる。
「三沢に捧げるっ、投げっぱなしジャーマンスープレックスっっっっ!!」
反転した勢いで、そのまま馬鹿野郎を後ろ向きにぶん投げる。ガッ!ゴッ!と何度か良い音がしたから後頭部にはアホほどタンコブが出来ているであろう。
即座に立ち上がり、ムカつくままに白目を剥き泡を吹いた馬鹿野郎の顔面にストッピングを何度も食らわせていると「ア、アルラ様、持って参りました!」とルドルフさんがやって来たので交代する。
「アルラ様…誰でしょう、コレ?」
うん、ゴメン。顔面変わる位ヤッちまったからわかんないか(笑)「さっきの魔法バカですよ?」と答えたものの、ルドルフさんはめっちゃドン引いていたがちゃっちゃと作業に入り始めた。後ろでは公爵様が爆笑し、公爵夫人はにこやかに微笑み、マ神様は眉間をさすり、姐さんはイイ笑顔で親指をクリッと下に向けていらっしゃった。ちなみに息子達や使用人達は皆、キラッキラした目で私に声援を送ってた。
久々のプロレス技だったもんねぇ。しかも半ギレモードで容赦無く派手な技をカマシたもんだから仕方ないか。
ルドルフさんはおもむろに馬鹿野郎の服のボタンを弾き飛ばすようにバリバリッとひん剥くと、心臓の手前にある魔力生成回路に箱からベースの一弦位の太さの銀と思わしきワイヤーを取り出し、先端を差し込む。ルドルフさんは『………』と何かを呟くとワイヤーはスルスルと馬鹿野郎の体内に入り、そのまま見えなくなった。
「アルラ様が失神する程のダメージを与えていて下さって助かりました。おかげで抵抗されず、すんなりと終わりました」
ひと仕事終えたかのようなルドルフさんの笑顔からまだ黒さは抜けきってない気がするのだが…何を仕込んだんや?
「あら。随分と怖いモノを仕込んだわね、ルドルフ。」
さくさくと草を踏みながら姐さんが言う。
「怖いモノ、とは…ルドルフさんは一体何を仕込んだんでしょうか?」
別のエルフが急いで持ってきたロープで馬鹿野郎を亀甲縛りで縛り上げ、親指もしっかりモールに仕込んだ刺繍糸でガッチガチに縛りながら問うてみる。
「あぁ、あれはアヴァロンでも重犯罪人にしか使わないモノよ?魔力回路を縛り、魔法を使おうものなら魔力回路を破壊する拘束具ね」
……思った以上にヤベェ代物でした。
「アルラ様、ブリジット様に無礼と迷惑行為を働いた不届き者ですし、国際問題に発展する事態を収めるとしては当然の処置ですね。」
ルドルフさん、めっちゃキレてたんすね。
まあ、この馬鹿野郎がこれ以上やらかさない為にはちょうど良いんじゃないかな?魔法史上主義者が魔法使えなくなるのは我慢ならんだろうし、貴族なら領地経営とか稼ぐ手段もあるしな。
「ブリジット様、この不届き者を縛ったロープは摩擦に強いですから、このまま引き摺っていっても大丈夫ですよ」
「あら、それは助かるわ!馬車には乗せたくないし、折角アルラが素敵に縛り上げてくれたのだし、皆に見てもらわないと♪」
訂正。ホントにおっかないのは姐さんだった件。晒し者にする気満々ですやん。
「そ、それでは今度こそ本当に出立いたしますね、母様?」
「ええ、いってらっしゃい。この馬鹿については任せてちょうだい」
「お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします。
では、行ってきます!」
そう言って私は『縮地:空』で甲板部分まで駆け上がり、乗り込むとガブリエラとレオーネから抱きつかれ、無事を確認されもみくちゃにされながら喜び合う。
飛行船アリエルは結界を解き、アンカー兼バラストを回収・収納すると翼状のセイルを拡げ、エンジンの駆動音を響かせ上昇し発進体制を取るとゆっくりと優雅に飛行を始めた。
邪魔は入ったが、フラグも回収&ベキベキにへし折った。
さぁ、行くぞ!待っていやがれアヴァロン!
今更ながら、気分転換に体育館の天井に挟まったマッチョを叩き落とすゲームにハマっております(^_^;)
延々とマッチョを叩き落とすんですが、何故か首が痛いと思う現象が起きる不思議。
ポイントとブックマークがまた増えておりまして、マッチョに代わり『ジャスティス!』と感謝を盛り沢山お伝えしたく思います。ありがとうございます!
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今回もお読みくださいましてありがとうございましたm(_ _)m
 




