第57話:卒業試験一日目
第57話になります!
よろしくお願い致しますm(_ _)m
運命の卒業試験当日。
私は仮眠を一時間取っただけの、ほぼ完徹に近い状態で食堂に向かい、家族に挨拶をする。
ぅおぉ…朝日が目にしみてシバシバするぜぇぇぇぇ。ポーションをアイ○ン代わりにして目を洗ったら治らないかね?コレ。
化粧でも隠しきれないクマをがっつりこさえ、目は半眼、顔色も更に白くなっているアルラの外見に伯爵家の面々と家令、料理長達が驚いてガタガタッ!と音を立てて身じろぎした。
「せ、星…?」
「貴女、大丈夫なの?!昨日は寝なかったのでは無いでしょうね?」
マ神様や姐さんが話しかけてくるも、まあこの状態は心配されても致し方無いわいな。
「一応、仮眠は取りましたので大丈夫ですよ?一夜漬けで試験内容を総浚いして詰め込みましたので、落第などはしないと思います」
へらりと微笑みながらそう答えるも…何だろう、この居た堪れない空気。
実際、受けたことの無い試験は本当に緊張するし、大学一年目の初めての前期試験は寝れなくて徹夜して受けたのを思い出した。私、そこまで楽観的でもないしビビリなんだよね。一度体験や理解すれば何て事無くなるけどもさ。
更に言うならば、アルラの名誉の為にも失敗は出来ないんだよ。もし仮に落ちようもんなら「ちょっとお聞きになりまして?あの子、卒業試験落ちたんですってよ?」「優秀らしいですのに…みっともないですわぁ?プークスクス☆」とか言われんのが我慢ならん!中身がアルラであろうが私であろうが外野にそんな事は言わさねぇ!!
フラフラと席につき、念の為頭の回転を良くする為に普通に糖質を取り入れた朝食を腹八分目に収めるようにゆっくり味わって食べる。
ポーションで眠気は解消出来るとは言え、栄養で補う所は補ったほうが良いだろう。今食べたものは昼食まで効果が保たれるからね。
食後のコーヒーは、特別に挽いてもらったエスプレッソ用の極細挽き。これでいつものようにカフェイン摂取で脳細胞を活性化させる。
っし!いつものルーティンも終わったし、学園に乗り込みますか。
立ち上がり、私は伯爵家の面々をぐるりと見ると決意表明のように告げる。
「アルラの名誉にかけて、またアンブロジア伯爵家の為に、そして目的の為にも…無事に三人で合格してみせます!」
皆は私を凝視しながらも、決意表明を聞くとふんわり笑みを浮かべ「…っ、ああ!星の努力は皆が知っている。頑張ってこい!」とエル兄が肩を叩き激励すると、次々にジェシーやマ神様、姐さんが抱きしめながらエールを送ってくれる。
シエナに至っては「せ、星様ぁぁぁぁ〜!」とガン泣きしながら抱きつこうとした所で家令に「涙や鼻水がつくから止めなさい」と頭をガッチリ鷲掴みにされていた。うん、安定のシエナだな。
何より近い位置で見守ってくれた人々だ。無碍には出来ないし、期待にも応えたいし、何よりこのクソったれなシナリオを終わらせなければデッドエンドと言う超絶フザケた最期になってしまうからね。
あんのクソったれ性女とこのゲーム作った制作のせいで、とんでも無ぇ事になったわ。マジでシバき回す!!破き損ねたシナリオも某番組みたいなシュレッダー祭りにしたるからなぁぁぁぁ!!
決意と怒りに燃えた私を乗せ、馬車は無事学園へ到着。馬車を降りると校門で待っていたガブリエラとレオーネが「星、おはよう!」「遅かったな、星」と、こちらへ向かってくる。
「おはよう、ガブリエラ!レオーネ!昨日はよく眠れたかい?」
カバンを片手に持ちながら二人と無事に合流。
徹夜した私とは違い、血色も良いのでちゃんと睡眠は取れたんだろうなーと推測する。ポーションの需要は私にしか無さそうだ。
一年半分の勉強量を三ヶ月で詰め込みつつ入学してからの勉強も更に浚ったので、私の勉強量はマジで半端無かった。途中、アルラの知識も流れ込んで融合したとは言え、そこは異世界の知識。あっちの世界の住人である私に馴染む訳が無い。仕方無いので「これは小説で、この勉強は設定なのだ」と暗示をかけて自分に落とし込んだ。
だって私はいずれ帰る身(精神)だから。
アルラは生きている。だから身体は返さなくちゃならない。私のステータス画面も、身体の状態は恐らく仮死状態ながら生きているって表示だったし。何でそうなったかは知らんけど。
ガブリエラやエル兄の話だと、高位貴族は卒業までの勉学は習得している者も入るしカンバネリス公爵家はもちろん、アンブロジア伯爵家も例外ではなくアルラも修めているハズだと。学園に通うのは貴族同士の繋がり作りと今までの教育の実地研修の為だって言われたしな。
あ、もちろん研究職などに就きたい貴族や平民はアルラが履修しているような薬学とか専科もちゃんとある。惜しむらくは美術や音楽の専科は無いのが残念ではある。
「大丈夫だ!朝までがっつり頭に詰め込んで来たからなっ♪寧ろ今エンドルフィンで脳内ハイになってるから早く行こう!」
イイ笑顔で親指をグッと衝き上げる私を見てレオーネが「えん、ど?脳内ハイ??意味はわからんが…調子は良さそうだな」と呆れたようにツッコみ、ガブリエラは「頑張って合格しましょうね!私達三人で」と私とレオーネの間に入り、腕を組む。
「「もちろん!」」
私とレオーネは揃って返事をし、三人で笑い合いながら玄関を潜り、試験会場へ向かった。
試験会場の特別室に到着し、其々指定された席に着席し、試験官を待つ。
カンニングや不正行為などが無い様に入口にも、特別室にも職員が配置されており、ライヴ会場や空港のセキュリティみたいにカバンの中もチェックされると言う厳重さ。飛び級自体が異例なだけに、まぁ致し方無いっちゃ無いんだけどね。
そんな事をつらつらと考えながら待つこと暫し。
「飛び級受験の三人、揃ってるかー?」
ギィッとドアを開け、教員が入室してきたので私達は立ち上がりカーテシーをする。
「ガブリエラ・カンバネリス嬢」
「はい」
「アルラ・エールー・アンブロジア嬢」
「はい」
「レオーネ・コルネイユ嬢」
「はい」
其々名前を呼ばれ、出席確認を済ませると教員は私達に筆記用具を配る。
「いやぁ、入学時の飛び級はたまにあるが、卒業時の飛び級はあまり例が無くてな。
今しがた配った筆記用具は、不正が出来ないように個人の魔力を使い記入出来る貴重な魔道具になる。今回はそれを使って試験を受けてほしい」
ほーん。個人認証するペンか。アルラの記憶にもあったし、こんなもん使うとか学園側も結構ガチじゃん?
「では、其々ペンを持って魔力を流してくれ」
私達はペンを持ち、言われるままに魔力を流すとペン先が光りだした。
ガブリエラは赤、レオーネは紺碧に。そして私は水色に。魔力認証が済むと持ち手が光の色に変化する。それを確認した教員はひとつ頷くと
「よし。認証が済んだので解除するまでは入れ替わりなどの不正は出来ない。発覚すれば留年待った無しの長期停学になるから気をつけるように。
では――――――――始め!」
その合図で一斉に問題を捲り、読み込んでからペンをスラスラと走らせる。
国語、数学、歴史、地理学、魔法歴史学、基礎魔法学と礼儀作法の座学と実技、古レムラ語、社会学の試験だがあらかじめ公爵家と伯爵家、レオーネとの話し合いで基礎の四教科(国、数、歴、地)と社会学、礼儀作法は三人共に履修済みである為に巻きで試験を終わらせ、翌日に魔法歴史学と基礎魔法学、古レムラ語、魔法実技と言うスケジュールで回すと言う取り決めになった。
アルラは基礎魔法学と魔法歴史学の単位は取得しているので、試験はパス。マジ助かったぁぁぁ!アルラ、ありがとう!
ポーション片手に日々勉強したのと基礎四教科に関してはあっちの世界の義務教育内容と然程変わらなかったので、気をつけるべき点だけ重視してガリガリと書き込む。
試験は一教科90分とセンター試験や講義ひとコマと同じ位だったので焦る事無く、しかし巻きながら確実に記入してゆく。
そして午前中に三教科を終わらせるハイスピードで進め、昼を挟んで地理学、社会学、礼儀作法を終わらせ、一日目は終了。
まさかこんな早く終わらせるとは思ってなかったようで、礼儀作法の実技担当のマダムがキレかけてたけどそれについては正直スマン。私達以外はホントに慌てふためいてたもんなぁ…。
「では、筆記用具に込めた魔力を抜き出してくれ」
教官の指示で私達はペンから魔力を抜き出し、机に置く。
机に置かれたペンを教官が手に取り、自分の魔力を込めて一本ずつ認識させる。
なるほど。魔力残滓で不正を防ぐ意味あいか。考えてんなぁ。
土属性の深緑色を放つペンから教官は魔力を抜き出して元の状態に戻す。
「三人共、一日目はこれで終了だ。明日も同じ時間から始めるから、くれぐれも遅刻はするなよ?
ではご苦労さん!」
ペンを専用のケースに厳重にしまい、そう言って教官と監督していた教官は退出していった。
「星、レオーネ、手応えはどう?」
教官達が去って即ガブリエラが聞いてくる。何かふんすふんす!してるガブリエラも尊可愛い♪
「基礎科目だったから、礼儀作法以外はあれで九割方出来たと思う。私はな」
キレかけたマダムのお茶会、あれはマジでヤバかったもんな…うん。
マダムの化粧にヒビが入ったの、初めて見たわ。
「私も多分大丈夫かなぁ?ガブリエラの兄様達とエル兄のおかげもあるけどね♪
ガブリエラは…言わずもがな、かな?」
「私も兄達に扱かれたから、今日試験をやった分は大丈夫よ。甘い兄達だけど、試験に関しては容赦無かったのが意外だったわ」
そりゃあ可愛い可愛い妹の命が掛かってんだから必死にもなるよね、兄様達。
それに王子妃、王妃教育も受けていたガブリエラならそこを考慮して学園側も試験無しでも良かったんじゃなかろうか。平等をうたっている学園だから忖度しなかったと思えば、納得もいくけどな。
「じゃあ今日の試験に関しては問題無しでオッケー?」
「もちろんよ」
「ああ、問題無い。寧ろハイペースに進み過ぎて驚いたわ」
ですよねー。
小論文もあったとは言え、一科目おそらく75分位で出来る配分だったと思うんだけども“盲点”が出た。教科担当者が長期間変わっていなかった為に、出題傾向が兄様達の時と一緒だったのだ。
そりゃ余裕で突破出来るわな。
「いやぁ、それでも私は心臓がバクバクだったわよ~?緊張しすぎて手が震えて指真っ白だもの」
「お前がか?悪い冗談だ」
うん、めっちゃ冗談です!
でも今は言わない。特別室に何の仕掛けがしてあるかわかんないからね。
「まずは本日分の試験も終わった事だし、帰りましょうか?頭を使い過ぎてお腹が空きましたもの」
「そうね、明日もあるのだしそうしましょう」
「私も剣の手入れがしたいから帰るとするよ」
そう言って私達は連れ立って特別室を後にすると、見張りの職員が特別室に鍵をかけた。
玄関を出て直ぐにレオーネが「さっきの冗談、あれは何で言ったんだ?」と聞いてくるので、あぁやっぱ勘付いたかと思いつつ返事を返す。
「私達の試験の進み具合に疑問を持たれないようにするため、ってのがまずひとつ目。特別室に何か仕掛けがあるんじゃないかと思ったんで、試してみたのがふたつ目。」
そう言うとガブリエラが「特別室前に職員がいたものねぇ。」とうんうん頷いている。クッソ可愛ぇな?!
「仕掛けだと?」
「うん。魔力感知を薄〜く掛けてみたら反応があったもんで、気になったのよ。会話が聞かれるような風魔法や伝達魔法だとちょっとマズいよなーって思ってね。」
レオーネとガブリエラはもの凄く驚いているが、盗聴盗撮は珍しくは無いのよ~?ハンザイだけどな。まぁ、こっちじゃ法整備もガバガバのユルユルだから自衛するしかないんだけどね。
「まぁこれはナイショって事で♪さ、明日もあるし帰ろうぜぇ」
夕焼けが眩しく全てをオレンジ色に染め上げる中、私達は連れ立って其々帰宅の途についた。
祭の中継作業がツラい…(´;ω;`)
例年より運行が早く終わるのも盲点でしたし、規制が厳しくてカメラワークががが。
そして北村麻子さんが情熱大陸に!!
おめでとうございます♪
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本当にありがとうございますっ、ありがとうございます!!今日は喜びのエナドリと鮎の塩焼きをキメますよぅ(≧▽≦)
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