第54話:それはさながら馬と鹿の様に
第54話になります!
今回もよろしくお願い致しますm(_ _)m
姐さんとガブリエラのお説教から最後はジャパニーズ土下座☆で「ごめんなさい」をして、ようやく開放された私とレオーネ。
おぉおぉぉぉおぅ〜っふ…。
久々の正座で足の痺れが半端無ぇぇぇぇ!無理に歩くと足がグネるやつやん!?プルプルしながらゆ〜っくりと立ち上がり、また正座をし一分待ってまた立ち上がる。私なりの痺れのとり方だけど、時間ある時はよく使うんだよ。
ようやく痺れから開放されて、屈伸していたら隣から呻き声が。
「お、お前…何でそんなに、平気なんだ…?!」
お貴族様は正座なんてしないよなー。いや、そもそもこの世界に『正座』なんてモンが無いもんな。そりゃ未知の感覚か。
私はしゃがんでツンツンとレオーネのマックスに痺れているであろう足をつつく。
「ぐおっ!おま、止め…あぁあ!」
つつかれる度にピリピリと痺れが襲う感覚に悶絶する姿が面白くてケラケラ笑いながら答える。
「いやぁ正座ってさ、私の世界…いや、国では今みたいに反省にも使われるんだけど武道や茶道、香道、書道などあらゆる事で普通にやるからねぇ。慣れてんだわ。
そら、もう一回正座して30数えて立ってみ?痺れが取れるからさ」
そう言うとレオーネは訝しみながらも正座をし、きっちり30数えてからゆっくり立ち上がると「…痺れが、消えた?!」と驚く。
「な?消えたっしょ?芝生の上だったからこれでも大分マシなんやで。固い地べたやレンガ、タイルの上で長時間正座なんかやったら間違いなく膝ブッ壊すわ。」
「あれでまだマシなのか?!」
「全然マシ!試しにあそこのタイル床に正座してみなよ。出来たモンじゃねぇから」
恐る恐るレオーネはタイル床へと正座すると「…無理だ!膝、痛ったぁぁぁ!!」と転がっていた。
「いやぁ、姐さん怖ぇわ~。ガブリエラも怒らしちゃイカンわ〜。もう正座イヤっすわ~。」
「…本当にな。まさかあんなに怒るとは。そしてお前の国、めっちゃ怖い」
「それこそ文化の違いだわ。知識として知るよりも体験して識るほうが実りがあるぞ?異文化はドンドン体験しとけ?」
「こんな苦痛を伴うものはなるべく遠慮したいものだ」
「体験するまではわかんねぇんだし、それ初見で看破すんの難しいからな?今もキレたガブリエラがあんなおっかないの、初めて知っただろうがよ」
それを聞いた途端、遠い目をしだすレオーネ。まぁそうもなるわな。キレてはいたけどもガチギレじゃなかったし、ガブリエラだってまだ16の乙女だ。女子校生になりたての年齢なんだし、高位貴族とは言え私等と仲良いんだからそんな表情も感情も見せるだろうよ。人間、そんな綺麗じゃねぇぞ?
「まぁ…ガブリエラが怒る程心配していたのは理解している。あれはやりすぎた。すまん、星」
れ、レオーネが謝った?!うわ、気持ち悪い!!
「お、おぅ?いや、私も悪ノリしすぎた。ごめんなさい」
お互いに頭を下げて謝り合う。
そして、暫しの沈黙の後に私は風魔法を応用した音声遮断空間を発動させてから、レオーネに改めて向き直る。
「レオーネ、確認したい事があんだけど?
アンタさぁ……野郎だよな?」
「!!」
「言いたくなきゃ黙っててくれてもいい。…バレたくないんでしょ?ガブリエラには」
青くなったり白くなったり顔色が忙しなく変わっているが、バレないとでも思ったんか。
ゴクリ、と唾を飲み込むと意を決した表情になり口を開く。
「な、んで……わかった?」
「わからいでか。わかりやすかったし、メスの匂いもオスの匂いも上手く隠しちゃいるが…中途半端なんだよアンタ。
それにさ、ガブリエラに惚れてんでしょ?」
「!?あ、な…っ!」
瞬時に顔面から血が噴き出るんじゃね?って位赤面するレオーネ。
…わかりやすっ!!
「図星ダヨネー。私も女だし、それなりに人生生きてっから解ったんだけどもさ。」
こう前置きしてから私は続ける。
「別にそれを咎めようとかそんな野暮はしないよ。アンタの事情もうっすらわかるし、思いを伝える事は今は出来ないんだろう事も理解している。
ただな…我慢出来ないんだよ…」
「我慢出来ないって…何が…」
「中途半端過ぎっっっっ!胸に布切れ詰め込んで底上げしてるけど、触ったら一発でバレるし形崩れてるし、オトコ体型丸出しだしっ!しっかり女装あんのかよお前ぇぇぇぇぇ!!」
「……は?」
「やるなら徹底的に!半端してんじゃねぇよ!!私がこっちで作ったボディスーツあるから、それを着ろ!それで体型は誤魔化せる。後は麝香を入れた香水、これをつけろ。これで至近距離にいても雰囲気や香りは誤魔化せる。」
ポカーンとした顔のレオーネは自分が何を言われたか分かっていない様子。
まぁそうだよねー。男だってバレたのもビックリだろうけど、バレないようにしていたのがバレバレだった、ガブリエラに惚れてんのもバレバレ、更にはバレないようにお膳立てしてやる!って一遍に言われても頭ん中の理解が追い付かないわな。
ってか、これバレたら学園を問答無用で退学&社交界では変態のレッテル貼られるのは確実なクソヤバい案件なのだよ。
あと二ヶ月とは言え、リスクは減らしたいし社交界でのダメージも無いように行動するとなると用心し過ぎるに越した事はない。どこでバレるかわからんのだし。
そーれーをーだーなー?!下着の概念もガバガバで在って無いようなこの世界で、乳型に布切れを整形して括り付けるだけで女装て…ガチの女装子舐めてんのかゴルァ!と言いたくなる私の気持ち、理解して?!地球にいる皆ならわかるよね!
男の体格と女の体格で、どうしても変更できないのが胸の形とウエストの位置なんだよ。これを誤魔化せるアイテムが、姐さんとグレーシー夫人に見せたボディスーツ!胸にはスライム素材でリアル生乳に近い感触と温度を出せるし、ウエスト位置は同じくスライム素材で肉部分を足してボディラインを滑らかにすればドレス着ても「ゴツい女」か「女騎士だしな〜」で済むし、余程遊んでる子息以外の童貞野郎共ならば分かりはすまい。尻は鍛錬すれば盛り上がるし、駄目なら尻ブラすればイケる。
匂いに関しては、あっちの世界でも愛用していた麝香をベースにした香水を作る事で解決するだろう。調香は趣味だし私が使いたいから大丈夫!妊婦は使っちゃダメよ?
ちなみに麝香の粉末は王都のマニアックな薬草店にあった。…ホント何なん?この世界。
そうこうしているうちにレオーネの脳も再起動したらしく何かヘコんでたけどな。何でこんなベタな事でヘコむんだか理解に苦しむわぁ。人生死ぬまでトライ&エラーだ。
そしてようやく復活したようで、覚悟を決めた顔で私に言う。
「私は…思っていたより馬鹿野郎だった。多分、それを知っていてなお公爵家や伯爵家の方々に見守られていたんだな…。私一人の力なんてたかが知れているのを思い知らされたよ。
星、頼って…いいか?」
そう言った顔は、何だか今にも泣きそうな感情も孕んでいて。
最初から完璧な人間なんておらん。己の弱さを、強さを知るモンが魂の輝きを増して周囲を魅了するのだ。
「いいじゃんか、自分ってモンが見えたんだから。こっから巻き返してやればいい。ひとりで出来る事なんざたかが知れてんだ。上に立つ身分のアンタなら理解してるだろう?
今は、存分に頼れ。仲間じゃん?」
私はそう言うと、ニッと口角を上げてレオーネの胸に拳をどんっと当てた。
思っていたよりも「かじるバターア○ス」の糖質が少ない&美味いので冷凍庫のレギュラー入りを果たしました。
今回、レオーネの秘密が暴露されたんですが…星のレオーネに対する荒い扱いの理由の訳がこの中途半端さでした。「やるなら半端すんじゃねぇ!」と。
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